当サイトではこれまでに、三井ホームの住宅仕様について、後悔した点や問題と思われる点をいくつか書いています。そのため、それを参考に三井ホームでのオプション仕様を検討される方もいらっしゃいます。
ここでは、よく受ける質問や、オプション仕様とする場合の注意点、私がもう一回建て直すとしたら採用したいことなどについて、まとめて紹介したいと思います。参考までに、わが家の仕様や地域別の注意事項についてはこちらに書いています。
断熱性能に関して
三井ホームの断熱仕様について、当サイトで指摘しているのは、屋根の断熱が弱いことと、標準仕様の窓の断熱性能が高くないことです。
屋根のオプション対応
『ホントは安いエコハウス』では屋根の熱抵抗値の最低ラインが 5 と書かれているのに対し、三井ホームの DSP(ダブルシールドパネル)の熱抵抗は約 3.8 と、なかなか足りてません。
以前は標準の 6 インチに対して 8 インチの DSP(ダブルシールドパネル)が選べたようですが、残念ながら現在は製造していないようです。そのため、8 インチが標準になれば一番いいのですが、現状の選択肢としてはロックウールの断熱を付加するか、諦めるか、ということになります。
強化したほうがいいことは確かですが、付加断熱はなんとなくスッキリしないし、コストがかかりそうなので、私なら検討だけして結局あきらめるかもしれません。
窓のアップグレード
最近の温暖地の高断熱住宅では、サーモスX や APW 330 の樹脂スペーサー仕様が人気です(参考:【高断熱ペアガラス】サーモスXと APW330 の比較)。全館空調の暖房費は断熱性能(Q 値)にほぼ比例するし、Q 値を上げる方法としては、高断熱窓の費用対効果が高いからです。
参考
・UA値、Q値が冷暖房費に比例しない理由
・断熱性能は窓、壁、換気で決まる(部位別の断熱性能比較)【更新】
いっぽう、三井ホームの標準仕様は現在も、それより劣るサーモスII-H です(追記:APW 330アルミスペーサー仕様が標準になったとの情報もあり)。そのままでも、全館空調を採用する場合には大きな問題はなく、アップグレードする場合に追加費用を光熱費で回収できるかというと、なかなか時間がかかるかもしれません。
しかし、全館空調を採用しない場合には快適性に大きな差が出るし、全館空調を採用する場合でも、全館空調が直接入らない風呂やトイレの低温改善、加湿時の結露のことを考えると、アップグレードしたほうがいいのかな、と思います。
参考
・全館空調の部屋間の温度差を測ってみた【追加版】
・ペアガラスの結露の発生量を実際の画像で比較する
・トリプルガラスへのアップグレードで元は取れるか?
ただし、APW 330 ペアの樹脂スペーサー仕様は三井ホームでは特注となり、高くつくので意外と採用しづらいところがあります。APW 330 ならペアガラスの樹脂スペーサー仕様よりも真空トリプルのほうが安いということもあり、三井ホームでは、ペアのアルミスペーサー仕様か、サーモス X か、真空トリプルかといった選択になりそうです。
断熱性能の高い真空トリプルが安く採用できるのであれば魅力的ですが、この場合、防犯合わせガラスや日射熱取得型Low-Eガラスを選択できないという情報もあります。生活タイプや地域などによって最適解は異なりそうです。
また、真空トリプルを採用するとなると、全館空調が過剰設備になってくるという問題があります。全館空調は三井ホーム標準の断熱仕様をベースとして設計されており、10kW 以上くらいの冷房能力があります。全館空調の冷暖房能力が過剰というのは、APW 330 ペアガラス(アルミスペーサー)にアップグレードしたわが家でも実感することです。全館空調についての詳細は、後述します。
参考
・高断熱住宅に最適なエアコン能力を検討する(全館空調は非効率?)
・防犯合わせ複層ガラスは必要か
・暖房負荷から必要なエアコン能力(kW)を計算するツール
国産スギ材の活用
ツーバイシックス工法は外壁に占める枠材(熱橋部)の割合が高いため、木材からの熱損失が大きい傾向があります。この熱損失を減らすには、一般的な SPF 材よりも熱伝導率が小さいスギ材を使うことが有効と思われます。
三井ホームは、関西エリアを中心にツーバイフォー工法における国産材利用を推進しています(参考ページ)。
建てた後に気づいたことなので打診したことはありませんが、私としては三井ホームで是非採用したい仕様です。興味のある方は聞いてみてください(追記:地域など条件はあるものの杉材を部分的に採用できるケースはあるそうです)。
詳細 熱橋部の計算からわかった国産スギ材ツーバイシックス工法の意外なメリット
ユニットバスの選択(2022追記)
ユニットバスは断熱の弱点になりがちです。三井ホームではリクシルやハウステック、トクラス、TOTOなどを選択できますが、断熱性能はメーカーやシリーズによって異なります。
全館空調を採用する場合は浴室暖房を設置しなくても寒くなりにくいとは思いますが、個人的にはもっと調べておくべきだったと後悔しています。
参考 ユニットバスの断熱性能比較(リクシル、TOTO、Panasonicほか)
気密性能に関して
三井ホームの温暖地標準仕様では、C 値 1.0 を切る高気密は困難です。しかし、いろいろ考えるとやっぱり実現したいものです。
H25 省エネ基準では、等級 4 の仕様として気密工事が定められており、住宅金融支援機構の工事仕様書を見ると、温暖地では C 値 5.0 以下相当、寒冷地では C 値 2.0 以下相当の仕様が規定されています。わが家の仕様を見ると、三井ホームの標準仕様はこの温暖地の標準仕様に基づいており、気密を取りやすい面工法のおかげで概ね C 値 2.0 以下になっているものと思われます。
まだ確認が取れていないのですが、『本音のエコハウス』によると、H28 省エネ基準では温暖地でも C 値 2.0 以下相当の仕様になるという情報があります。これが現実になっているのであれば、気密シートの厚さが 0.1 mm から 0.2 mm になるなどの変更が行われ、枠組壁工法の三井ホームなら C 値 1.0 以下にはなるのではないかと思うのですが、現在はどうなのでしょうか。
いずれにしても、寒冷地と同じ気密仕様は温暖地でもそのうち標準化されそうなので、これには期待が持てます。まだ対応していなければ、寒冷地並みの気密仕様を求めたいものです。
参考
・C値(相当すき間面積)について
・第一種換気に要求される気密性能についての疑問
・温暖地で気密性能 C 値を改善する方法
気密に関する追記(2022.3)
わが家の気密性能を改善しようといろいろ調べた結果、三井ホームの気密の問題点や改善箇所がなんとなくわかってきました。
現時点で一番有効と思われるのは、ボード気密工法にならい、構造用合板の継ぎ目をすべて気密テープでふさぐ方法です。
対応してくれるかどうかは不明ですが、これなら比較的簡単かつ低コストに高気密を実現でき、内側の細部の気密処理(コンセントボックスなど)が不要になります。
これが無理な場合、以下の点の改善を要望することが効果があるのではないかと考えています(効果の程度は現在検証中)。
・コンセントボックスの気密処理
・窓サッシまわりの気密処理(ウレタン充填など)
・べーパーバリアの下端を床にタッカー止めするのではなく、気密テープを貼る
・高気密型の床下点検口を採用する
全館空調・換気システムに関して
全館空調を採用するかどうか
窓の項目で少し触れたように、窓を高性能化すると全館空調が過剰になる問題があります。窓をトリプルガラスにした三井ホームの断熱レベルはスウェーデンハウスに近づくため、スウェーデンハウスと同様、1、2 台のエアコンで十分に全館暖冷房を行えるようになるからです。
・全館空調 vs. エアコン(全館空調のメリットが得られる条件)
高額な全館空調を採用しなくても同様に快適な住宅が実現するならば、それも良い方法だと思います。
全館空調には、外観・室内ともに「見た目がすっきりする」、「各部屋のプライバシーを確保しやすい」というメリットもあるので、さまざまな観点から検討することをお勧めします。
・三井ホームで全館空調なしという選択
・個別エアコンにできて全館空調にできないこと
2022追記:スマートブリーズ・ワンというルームエアコンを使用した全館空調が選択できるようになりました。ダクトを使う点やそれなりに費用がかかることには注意が必要ですが、コストに関しては従来の全館空調よりは魅力的に思えます。
参考 三井ホームの新しい全館空調システムについて【エアコン1台の全館空調】
全館空調を採用しない場合のオプション
コストを抑え、全館空調を採用しない場合には、さまざまなオプションが考えられます。
エアコンで温度差を小さくするためには、全館空調とは異なる次のような工夫が必要になります。
・より高断熱にして開放的な間取りにする
・窓のサイズを見直す
・エアコンの設置場所を考えて連続運転する
・第一種換気を採用する
・給気口の配置を考える(第三種換気の場合は特に)
・CF(循環ファン)を導入して部屋間の空気循環を強化する
トリプルガラスレベルでは温度差が発生しにくいため、こうした対策の必要性は小さくなりますが、ペアガラスではこうした工夫が特に重要になってくるでしょう。設計者がどこまで適切に対応できるかは未知数なので、自分でも勉強して考える必要がありそうです。
・断熱仕様を変えずに家中の温度差を小さくする方法
・高断熱ペアガラスでエアコンを連続運転するとどうなるか?【アンケート結果】
第一種換気を採用するかどうか
全館空調を採用しない場合でも、三井ホームで全熱交換型の第一種換気システムを導入することは可能なようです。フルオーダーかセレクトオーダーかによって違いもありそうですが、ダクトレスはともかく、Panasonic のダクト式第一種換気は採用できそうです。
暖冷房費節減の効果は小さくても、冬の乾燥を緩和したり、部屋間の温度差を小さくする効果は期待できます。メリット・デメリットがあり、一概にどちらがお勧めとはいえませんが、よく検討したいものです。
・第一種換気と第三種換気 – 特徴とコスト、デメリット
・熱交換換気(80%)の給気温度は本当に暖かいのか実測してみた
・冷房期の第一種換気のデメリット?【熱交換換気と再熱除湿の関係】
第一種換気(全館空調)を採用する場合の注意
全熱交換型第一種換気を採用する場合、わが家と同様に熱交換されるのは一部だけという問題があります。第一種換気+局所換気による換気過剰の悪影響を小さくするためには、浴室換気扇のスイッチを「強/弱」のみではなく「オン/オフ」できるものにするのがよいと思っています。浴室の乾燥についてはこちらに書いたとおりです。
Low-E ガラスは遮熱タイプか断熱タイプか
冬の日射熱取得を考えると、高断熱住宅では温暖地でも南面は遮熱タイプではなく断熱タイプの Low-E ガラスが勧められることがよくあります。
温暖地の三井ホームではすべて遮熱タイプというのが標準ですが、窓シリーズによっては安く断熱タイプを採用できることもあります(タイプの違いはLow-E面の配置の違いのみです)。
全館空調と日射熱取得は相性が悪いので微妙ですが、わが家のように関東レベルの温暖地の南面で、軒の出やベランダによる直射日光の遮蔽が可能である場合に限っては、断熱タイプを選んでもよいのかなと思います。ツーバイ工法では大きな窓に制約があるため、大きな効果は期待できませんが、オーバーヒートの心配も小さいのではないでしょうか。
・日射の管理で実現する省エネ住宅
・冬に日射熱でオーバーヒートしないかチェックする方法
・日射熱による暖房費節約効果を消費電力と日射量計算から推定する
その他全般
バルコニーや網戸など、高断熱住宅で不要なもの、あると望ましいものについては以下でまとめて紹介しています。
・高断熱住宅で不要になるもの、あると望ましいもの 【コスト削減】
フローリングについては好みですが、こんな記事も書いています。
照明などについて:
・後悔している住宅仕様:寝室の窓とシャッターとダウンライト
・LED照明のタイプで後悔。寿命と交換タイミングの問題【築7年】
最後にお願い
当サイトなどを参考に三井ホームの標準仕様から変更した結果、想像とちがった、失敗した、良くなったなどということがあれば、お手数ですがフィードバックをいただけないでしょうか。
問題があっても金銭的な責任はとれませんが、今後や過去の記事改善に反映させていただきます。
問い合わせフォームはこちらです。今後の三井ホーム・オーナーのためにも、どうぞよろしくお願いいたします。
コメント
面白く読ませていただきました。当方山田ホームズフェディリアリミテッドです。窓は同様ⅡLOW-Eです。
窓や外壁に早朝露が付く季節になりました。窓枠周囲はつかずに、そこから数センチ離れたところからつきます。
つまり、窓枠から熱が逃げているんだなとわかります。
全館空調システムを採用しています。
樹脂枠は、枠が大きく、2020年に建てた店舗兼住宅のカナダの輸入住宅は、窓が小さく、腰高で上下にしか開きません。
上半身を出すのが精いっぱいの窓面積。
また、メンテも3年目ですが大変です。商店なので毎週早朝から窓枠でクモが糞を大量にするのでその汚れ落としで1時間取られます。
さすがに自宅は勘弁してほしいとおもい、敢えて複合サッシを選びました。
汚れも目立たず、クモも巣を作りません。
電気代が怖いので屋根には9kwhの太陽光発電システムを搭載して売電で稼いで電気代が掛かってもチャラに持ってこようとしております。
幸い、ローン代12000円。余剰売電15000円くらいで、電気代はたまの電気自動車の充電も含めて12000円以下。
意外に食いません。
モニターを見ると家電すべて入れた使用量は最低で300W。コンプレッサーが稼働時でも1500Wくらいです。
真冬を経験していませんが、夏場も少なかったので、まあ、Ⅱで十分だったのかもと納得しています。
予算が許せばサーモXが良かったのですが。
樹脂窓との価格差でエアコンの電気代は償却できないと感じております。
結露も全館空調システムで玄関からすべて均一の温度なので、結露がするのか興味をもって眺めております。
また読ませていただきます。よろしくお願いいたします。
コメントありがとうございます。虫の多い環境のわが家では樹脂サッシでもクモの巣や糞は問題になりませんが、クモで苦労することもあるのですね。
高断熱窓との価格差は地域などにより差がありますが、トータルコストで安くなるかどうかという観点ではたしかに難しいケースが多いように思います。
最近は電気自動車の普及が進んできて、太陽光発電との相性がよく蓄電池のように使えるので良いですね。
理想の住宅仕様も人それぞれなので、また何かお気づきの点などございましたらよろしくお願いいたします。
いつも大変ためになる情報ありがとうございます。
つい最近北海道で三井ホームにて建築した者です。
三井ホーム北海道ではYKK AP APW430が標準なので窓サッシは一応合格点かと思います。
しかし、他(断熱材の厚さや気密処理等)がそれほど良くないために思ったより暖かくないです。
ちなみにうちも全館空調を導入しています。
より暖かくなればと思い気密処理のために床下に潜りましたが、
配管の穴にはウレタンは吹き付けられいなく、「高い買い物してこの程度なのか、しかも自分で気密処理するならその分の金額は差し引いてほしい、、、。」と少し意気消沈していました。
意気消沈していましたが、さとるぱぱ様の記事を読むと、完璧製品を作る企業はなく、
少しでも良くするためには自分でも色々対応しなければならないと気づけました。有益な情報と気付きをありがとうございます。
数十年と住む家ですので、自力で色々対処していきたいと思いますし、
有益な情報を提供していただけるので日々勉強して改善すれば今以上に愛着が湧き、
不出来な子ほど愛らしいモードにもなれるのかな?と思う余裕は持てるようになりました。
本音を言えば建築完了後にも情報収集すればするほど、
地元の有料工務店で建築したかったなという気持ちがふつふつと湧いています。(笑)
乱文失礼しました。
これからもサイトから色々勉強させていただきますので、
ご無理のない程度に更新していただけると幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。
コメントありがとうございます。
三井ホームでも北海道は仕様が特別と聞いていましたが、気密処理は完璧でもないのですね。
私もブログを書きながらいろいろと学ぶうちに気づく問題点が多く、その度に残念な気持ちにはなります。
とはいえ他の選択肢もなく、後悔はしていないので、今の住宅とは一生付き合っていこうと思っています。
サイトは更新頻度は落ちても続けていくつもりですので、今後ともよろしくお願いいたします。