コンセントボックスの気密を改善する方法【築後も可能】 | さとるパパの住宅論

コンセントボックスの気密を改善する方法【築後も可能】

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壁内と室内の空気の移動を防ぐためには、コンセントボックスの気密処理が重要です。

コンセントやスイッチのために壁に空いた穴から冷たい外気が入ってくると、暖房の効きが悪くなり、室内で温度差が生じたりしてしまいます。

また、反対方向に室内の湿った空気が壁内に入ると、壁内結露の原因になる可能性もあります。

とはいえ、スイッチ・コンセントボックスの気密処理は、寒冷地はともかく温暖地の住宅工事ではそこまで普及していません。

わが家の新築時もスイッチ・コンセントボックスの気密処理が行われておらず、コンセントはカバーを外すとこんな状態です。

ポッカリ穴が開いています。
でもやっぱり気密処理はしておきたいと思い、築後の気密コンセントボックスの施工について調べてみました。

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コンセントボックスの気密処理が必要なケース

コンセントの気密処理が重要とはいえ、処理が必要かどうかは住宅の工法によります。
住宅内外の空気を仕切る気密層(気密ライン)の配置によっては、コンセントの処理は不要です。

コンセントの気密処理が必要なのは、壁紙の裏の石膏ボードの裏で、防湿気密シート(ポリエチレンの防湿フィルム、べーパーバリア)によって気密層を確保している場合です。シート気密工法とも呼びます。

この場合にはコンセントボックスで気密層に穴が開くことになるので、気密処理が必要というわけです。シート気密工法は、グラスウールやロックウールなどの繊維系断熱材を使用する住宅の多くで一般的に採用されています。

これ以外に、外断熱のある住宅や、空気を通さない発泡プラスチック系断熱材を使用する住宅、ボード気密工法を採用する住宅などでは、断熱材や構造用面材が気密層になるケースがあります。この場合、室内側の内壁面は気密層ではないため、コンセントボックスの気密処理は不要になります。

自宅がどれに該当するのかよくわからない場合は、冬の寒い日に暖房の効いた部屋でコンセントボックスに触れてみて、そこが冷たいかどうかで判断してもよいかもしれません。

家中のすべてのスイッチ・コンセントボックスの処理が必要かというと、そうでもないと思われます(詳細は次の記事項目を参照)。

コンセントの気密漏れ箇所チェック

第三種換気ならコンセントボックスの気密処理は不要?

コンセントボックスの気密処理について調べていると、「そんなことしても意味がないから不要」という意見も結構あることに気づきました。第三種換気(家を負圧にして外から外気を取り入れる一般的な換気方法)では、どうせ外から外気が入ってくるのだから、なおさら不要だと言う人もいます。

これについては一理あるかも、とも思いましたが、問題なのかどうかは以下が関係していると思います。

  • 住宅が高気密か低気密か(コンセントボックスの隙間がどの程度か)
  • 室内/壁内間の気流の方向はどちらか
  • 室内の湿度が多いかどうか

コンセントボックスの隙間はどのくらい?

コンセントボックスの隙間を調べた結果は2つ見つかりました。

『本音のエコハウス』という本の p.100 によると、昭和60年当時の在来工法の住宅(C値 12 ㎠/㎡)において測定したコンセントの隙間は、C値0.83 相当だったとのこと。割合としては大して多くありませんが、床面積の 100㎡ をかけると、約 83㎠ の隙間(相当隙間面積)があったことになります。高気密といえる C 値 1.0 ㎠/㎡ の住宅 100㎡ の相当隙間面積が 100㎠ であることと比べると、かなりの量になります。

また、昔見つけた2003年の論文での隙間の分布調査によると、C値 1.2 ㎠/㎡ の住宅(なかなか高気密な在来工法の住宅)においても、コンセントとスイッチで合計 31㎠ の相当隙間面積が確認されています。この住宅の全隙間の約2割を占める面積です。

いずれにしても、コンセント・スイッチの隙間の量は結構あり、住宅の気密性能への影響を考えると無視できる量ではなさそうです。

コンセントボックスの気密化はなぜ必要か?

私がコンセントボックスの気密化が必要だと思う理由は、3つあります。

1つは、住宅の計画換気のために気密性能は高いほうが良いと思うからです。気密性能が高いときちんと換気できる理由については以下に書きました。

参考
気密性能はどこまで求めるべきか(C値)
低気密・中気密は何がどう問題なのか

2つ目の理由は、冷気の侵入を防ぐためです。ただしこれは、エアコンが効く程度の気密性と断熱性がある住宅限定です。すき間が多く室温と外気温が変わらないような昔の住宅では、効果は薄いでしょう。

3つ目の理由は、壁内への水蒸気の移動を減らすためです。室内が負圧にならない住宅(第一種換気の住宅、または第三種換気でも低気密な住宅)では、室内の水蒸気が隙間を通って外に移動することがあります。この水蒸気がすべて外に排出されるなら問題ありませんが、壁内や小屋裏で結露になって蓄積してしまうとすると問題です。気流止めで対処することが第一とは思いますが、壁内への空気の侵入経路を塞ぐことも大事でしょう。

コンセントボックスの気密処理の方法

やっと本題に入りますが、コンセントボックスの気密処理には、新築時に行う方法と、築後に行う方法があります。
基本的に電気工事士の資格が必要な作業なので、新築時に処理してもらうのがお勧めです。

新築時の方法としては、以下のような気密カバーを使用し、防湿フィルムなどに気密テープで貼り付ける方法が一般的でしょう。

未来工業の気密カバーとか、日本住環境のバリアーボックスとか、Panasonic の防気カバーとか、いろいろな製品があります。

そのほかにも、気密パッキンという次のようなものもあるようですが、これでは、コンセントボックスの穴全体をカバーすることはできないので、効果は限定的な気がします。

建築時にコンセントボックスの気密処理を依頼したらコレだった、ということもあるのでご注意ください。

築後に後付けの気密コンセントボックスを後付けする方法

近年では、日本住環境から後付けタイプの気密ボックスも販売されています。

通常の気密カバーと比べ、外周部が分厚く壁紙に密着するようになっているためか、気密テープで貼り付ける必要がありません。厳密には防湿フィルムの気密層と連続せず、間に壁紙と石膏ボードを挟むことになりますが、壁紙も石膏ボードも通気性はないので気密がとれるということなのでしょう。

これならば、新築時に気密処理していなかった場合でも、築後に設置することが可能です。

施工の説明動画は以下のとおりです。

簡単そうではありますが、この施工にも第二種電気工事士の資格は必要です。配線器具の電線の抜き差しは、要資格の電気工事であるからです(経産省の参考ページ)。

電気工事士資格なしでDIYで気密ボックスを施工する方法

電気屋さんに依頼して 20 か所もやってもらうのはちょっと大変だなと考えていたら、ふと、配線工事を行わずに後付け気密カバーを取り付ける方法を思いつきました。

正式な方法ではありませんが、電線を抜かず、気密カバーの一部を切って被せ、切った部分を後から気密テープでふさぐという方法です。

無資格でもコンセントカバーの交換が可能なのと同様に、それなら無資格でできるのではないかと思ってさらに調べていると、実際にその方法を紹介している動画を発見しました。

動画で使用しているのは後付けタイプの気密ボックスではありませんが、後付けタイプなら、より高気密になりそうです。

日本住環境の後付け型気密コンセントボックスは、Yahooショッピングや楽天で1個単位で購入できます。

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気密テープについても、近所で探すのが面倒だったのでネットで購入しました。

きちんと施工したい場合は、電気工事店に依頼するほうが確実です。

以下のようなサービスもありますが、電気工事店であればどこでも対応可能と思われるので、地元の業者を探して問い合わせることをお勧めします。温暖地ではこのような工事の経験者は少ないかもしれませんが、工事内容自体は特に難しいものではないでしょう。


資格不要の方法を実際にやってみたところ、1つあたり10~15分くらいで取り付けることができました。きちんと取り付けるには、どこに穴を開けるべきかを事前によく確認することが肝要です。安全のため、作業時は一応ブレーカを落としました。

コンセントボックスを見て驚いたのは、金具にサビが付いている箇所が結構あったことです(比較画像はこちら)。コンセントボックスに湿気が入っていたか、結露が発生していたということでしょう。放っておいたらマズかったかもしれません。

思ったほど壁紙に密着する感じではありませんでしたが、たぶん住宅の気密性能は改善していることでしょう。

追記:すべての作業が終わってから簡易気密測定法で測定したところ、レンジフード稼働時に玄関ドアにかかる負圧は確実に増えていました。私なりに計算したところ、相当隙間面積は推定で 45 cm2 前後減ったことになります。誤差は大きいですが、1 個あたり 2cm2 ほどです。わが家の場合、C値で 1.4 → 1.1 くらいになったものと思われます。

効果が出たようで、感無量です。

さらに追記:今回の件をきっかけに電気工事士免許に興味をもち、試験を受けて免許を取得しました。

関連記事 電気工事士の資格を取得しようと思います。

コメント

  1. むらやん より:

    いつも参加になる情報提供、ありがとうございます♪
    資格無くても気密コンセントカバーを施工できる方法があるねですね!
    フカシ壁のコンセントからホコリが溜まるほど気流が漏れているので、塞いでみようと思います。
    後付けタイプのカバーは、周りにクッション材が付いているのが違いでしょうか?壁紙との隙間をシーリングしても良いかなぁと思ったり…

    • さとるパパ より:

      お久しぶりです。コメントありがとうございます。
      資格なしの方法は製品の正式な使い方ではないのでお勧めしていいものか微妙ですが、効果はありました。
      フカシ壁のコンセントは問題が小さいかと思い省略しましたが、箇所によっては漏気が発生するのですね。
      後付けタイプの周囲の白い部分は私もクッションか粘着性ある素材なのかと思っていましたが、プラの下敷きのように硬くて分厚く平坦なだけでした。それでも、コンセントカバーの枠で壁紙に押し付ける形になるので、気流は概ね止まる感じです。後付けでないタイプも1つ購入しましたが、そちらはペラペラで、周りもエンボスでデコボコの部分がありました。シーリングしても良いかもしれませんね。

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