全熱交換型換気で熱交換されるのは一部だけという問題と対策【更新】

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熱交換型換気は必要か」などの記事で述べたように、全熱交換型の第一種換気システム(三井ホームのスマートブリーズや一条工務店のロスガードなど) では、換気によって入れ替わる空気のうち、すべてが熱交換の対象になるわけでありません。

熱交換の対象となる換気量は実際、どの程度なのでしょうか。

試算した結果

わが家のケースでざっと計算してみたところ、換気ユニットを通じて換気される空気の割合は総換気量の半分以下でした。内訳は次のとおりです。

全熱交換型の第一種換気システムでは、レンジフード、風呂、トイレには排気専用の換気扇が設置され、排気される分の熱が回収されることはありません。

また、当然ですが、家のすき間から出入りする漏気も熱交換されることはありません。

試算条件は以下のとおりです。

・レンジフードの風量は強度「中」の場合の風量です。わが家のレンジフードには常時換気モード(風量: 170 ㎥/h )があります。わが家ではあまり使用しないため上記の計算には入れませんでしたが、これを常時使用したとすると、1 日あたりの換気量は約 4500 ㎥ にもなります(住宅の常時換気設備の代用として使う機能のようです)。
・風呂の換気扇については、「強」か「弱」だけを選択できるようになっています。わが家では風呂場を乾かすために 1 日の半分ほどを「強」にしているため、上の計算では強と弱の平均の風量を使用しています。
・トイレの換気扇は常時「弱」で稼働していますが、人感センサーで使用時に「強」になります。風量は弱より少しだけ大きい数値を使用して計算しました。
・玄関にも湿度センサー付きの換気扇がありますが、稼働していないことが多いので省略しています。
・漏気量は、C 値 1.2 程度の第一種換気システムでの推定値です。実際はもっとあるかもしれません。

ちなみに、換気対象の空間の体積は、約 360 ㎥ です。このため、1 時間あたり 0.5 回の換気を行うために必要な換気量は、180 ㎥/h となります。わが家の換気ユニットの風量はこれより大きめの設定になっていますが、十分な換気が行われていない住宅が多いため、あえてそうしているのかもしれません。

それにしても、熱交換換気される空気の割合が半分もないことには驚きです。熱交換型の第一種換気システムを扱っているハウスメーカーで公表しているのは換気ユニットの熱交換効率だけであり、この事実を公表しているところは見たことがありません。

続いて、この試算から得られる教訓を考えてみたいと思います。

暖房費の節電効果は顕熱交換型が有利

熱交換型換気システムには、全熱交換型だけでなく、顕熱交換型もあります。顕熱交換型では排気中の水分を回収せず、汚染物質を回収しにくいため、ダーティーゾーンと呼ばれるトイレや風呂などの空気も熱交換型換気の対象に含めることができます。

顕熱交換型でもレンジフードの換気と漏気は対象外になりますが、仮に 8 割が熱交換型換気の対象になるとします。全熱交換型の熱交換効率を 90%、顕熱交換型の効率を 80% とすると、熱交換される熱量はそれぞれ、42 %、64% となり、顕熱交換型のほうが圧倒的に有利になります。

ただし、だからといって必ずしも顕熱交換型が良いというわけではありません。全熱交換型換気システムは湿度を維持する効果があり、夏の除湿、冬の加湿に有利だからです。

なお、熱交換型換気システムは、消費電力が大きいとトータルの節電効果はなくなってしまうので、暖房費の節約効果を期待する場合には注意が必要です。

全熱交換型換気の効果を上げる方法

全熱交換型換気システムを採用する場合でも、換気対象外となる換気を減らせば、熱交換型換気のメリットを高めることがきます。

局所換気を減らす

1 つ目の方法は、トイレを減らすことです。トイレが複数あるといざという時に安心ですが、掃除の手間や更新のことを考えると、一つも悪くありません。

数を減らさないまでも、欧米のように風呂場とトイレを一体化させる方法も、局所換気の割合を減らす効果がありそうです。日本でも、ホテルなどは風呂とトイレが同じ部屋になっていることがよくあります。

とはいえ、この方法には抵抗があるという方も多いでしょう。

風呂の排気用換気扇を止める

2 つ目の方法は、風呂の局所排気を止め、CF(循環ファン)を設置することです。排気用換気扇を止めることで外部の空気が入ることによる空調への負荷が減り、気流によって風呂場を早く乾かすことができます。

この方法は、次のサイトで公表され、詳しく説明されています。

日本の浴室はトイレ一体の欧米とは違い、ダーティーゾーンではないという主張には同感です。また、風呂場の換気扇だけでは風呂の渇きが遅いことは実体験からも問題に感じており、この方法には大きなメリットがあるように思います。

この方法は、循環ファンがない場合、換気扇を止め、風呂場に向けてサーキュレーターを回すことでも同様の効果を得ることができます。

CF(循環ファン)を設置する場合に少し心配になるのは、風呂場の漂白時です。カビに対して塩素系漂白剤を使用したとき、換気システムの熱交換素子に影響は出ないのでしょうか。そもそもこの方法ではカビが発生しないのかもしれませんが、もし発生した場合は、漂白時のみ窓を開けて換気できるようにしたほうがよいのかもしれません。

早速わが家でも導入できないかと考えてみましたが、浴室が常時換気に組み込まれているため、排気用換気扇を完全に止めることができません。簡単な工事が必要になってしまいますが、三井ホームに「換気扇を止めたい」なんて言ったら変人扱いされるうえ、住宅の保証を切られる可能性も考えられます。

まずは、換気の強モードを使うのをやめ、サーキュレーターを使用することから始めようかな、と思っています。

参考
第一種換気と第三種換気に関するまとめ(記事紹介)
浴室の換気扇を止めたほうが省エネ・快適になる理由
キッチン換気はあえてのショートサーキット

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