冬に日射熱でオーバーヒートしないかチェックする方法

高断熱住宅では住宅内外の熱移動が少ないため、侵入する日射熱が室内環境に大きな影響を与えます。日射熱は、冷房期はなるべく入らないようにし、暖房期には取り入れるようにすることが重要で、季節ごと、方位ごとに考える必要があります。

これについては書籍『エコハウスのウソ 増補改訂版』に詳しいですが、同著者の同様の内容が次のページでも読めるので、3 回くらい読むことをお勧めします。

熱対策やっかいな屋根 高反射塗料などで多層防衛: 日本経済新聞
今年の夏も関西地方を中心に猛暑が続いた。できれば、暑さから解放されて涼しい家で過ごしたいものだが、省エネに詳しい東京大学大学院准教授の前真之氏は、「夏偏重の省エネ対策」を疑問視する。南面の日射遮蔽をやりすぎると、冬に日射取得ができなくなる。

なお、暖房期に熱を取り入れる場合も、熱を取り込みすぎると暑くなりすぎること(オーバーヒート)が問題になります。冬の室温 26 度は、夏の 26 度と違って結構不快なものです(以下参考)。

https://nao2.muragon.com/entry/235.html

ここでは、冬にオーバーヒートにならないかどうかを簡易的にチェックする方法を紹介したいと思います。同じ方法で、どの窓タイプを選べば日射熱取得をうまく活用できるかを検討することもできます。

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方法

上記のページの図2(夏至、春分・秋分、冬至に各方位の壁に入射する日射量)を見ると、冬至に入射する日射量は南面が圧倒的に大きく、最大で約 600 W/㎡ となっています。

これを基に日射熱取得量(W)を計算し、それと住宅の日中の熱損失量を比較することにより、日射熱取得が熱損失より大きいならば無暖房でもオーバーヒートすることがわかる、というわけです。

ただし、この方法はあくまで簡易的なものです。より高度なシミュレーションができる場合や、専門家の意見を聞くことができる場合は、そうしたほうがよいでしょう。

南面の日射熱取得量を算出する

この日射熱取得量 [W] は、次の式で計算できます([ ] は単位です)。

日射量[W/㎡] X 南面の窓面積[㎡] x 日射熱取得率

日射量は、上記のデータより、600 W/㎡ くらいでしょう。

日射熱取得率は、窓サッシのカタログなどに記載されています。だいたい、日射遮熱型の Low-E ペアガラスで 40%(0.40)、日射取得型(Low-E層の位置が逆のタイプやクリアタイプ)で 50~64% 程度です。

なお、この日射熱取得量は日射が良好な場合の計算なので、一部が日陰になるなどの条件がある場合は、適当に割り引くとよいでしょう。

住宅の熱損失量を計算する

一方、日射熱を受ける時間帯の住宅の熱損失量 [W] は、次の式で計算できます。

Q 値[W/(㎡・K)] x 延床面積[㎡] x 内外温度差[K]

Q 値は概算なら UA 値から換算することができます(ツール)。

ここでの内外温度差は、(許容する最高室温、℃)から(冬の晴天時の昼の気温、℃)を引いた値です。私の場合、快適なのは 24 ℃までかなと思います。

これは、必要な暖房能力を計算するツールで計算することもできます(必要暖房能力=熱損失なので)。

より正確に、人体から家電からの内部発熱まで考慮する場合は、その分を熱損失量から差し引きます。

この計算からわかることと対策

日射熱取得量 > 熱損失量

この計算で、日射熱取得量が熱損失量より大きい場合、オーバーヒートのおそれがあります。断熱性能が高い(Q 値が小さい)住宅ほど熱損失量が少なくなるので、このリスクが上がるわけです。

対策としては、日射遮熱型の窓ガラスを採用すること、南面の窓を減らすこと、カーテンを使用すること、などが考えられます。

ただし、日中は誰もいないから暑くなってもいい、というのであれば気にする必要はありませんし、暑くなったら窓を開けて冷やせばいい、という考えもあります。多少のオーバーヒートを許容するほうが、暖房費の節約=エコにはなるでしょう。

無暖房住宅というものは日中に結構なオーバーヒートを起こしている住宅だと認識していますが、よく知らないのでもし間違っていたらご指摘ください。

日射熱取得量 < 熱損失量

逆に、日射熱取得量が熱損失量より小さい場合はどうでしょう。家中の温度を一定に保つためには暖房が必要になるので、日射熱をもっと取得したほうが、少しだけ暖房費の節約になることがわかります。日射取得型の窓ガラスを採用したり、南面の窓を増やしたり、レースのカーテンを開けたりすれば、日射熱取得を増やすことができます。特に、設計段階であれば、日射熱取得型の窓にすることは大きな変化が期待できます。

なお、日射熱を受ける部屋がリビングなどの広い空間であるならば問題ありませんが、閉め切った個室に大きな窓がある場合はその部屋だけオーバーヒートすることもあるのでご注意ください。

現実とのギャップ

上記の推計には注意も必要です。わが家で冬の日中の暖房負荷と日射熱取得の関係を調べてみたところ、この計算よりも暖房を使用していませんでした。

熱損失量 2.9 kW (内部発熱も考慮)に対して日射熱取得量は 1.6 kW しかないのに、暖房が止まったまま室温が維持できていたのです(消費電力はほぼ換気相当分です)。東西面の日射熱や、壁・屋根が日射熱で暖まっていることが影響して、実際の熱取得はこの計算より大きくなるのかもしれません。暖房が止まっている間に実際は家の温度が一部下がっていたかもしれませんし、いろいろな誤差が考えられるので、あくまで参考程度としておいてください。

この計算により、わが家の場合、庇(ひさし)がある南面の窓は日射取得型にしておけばよかったな、と微妙に後悔しています。冬の日射熱では床が直接暖められるので、なかなか気持ちのいいものです。

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