三井ホームで全館空調なしという選択

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三井ホームの全館空調は人気の仕様でもありますが、その初期費用、維持費用はどうしても高くなってしまいます。我が家は全館空調を採用しましたが、正直なところ、少し後悔している面もあります。ここでは、全館空調を採用しない場合に費用や快適さがどうなるのかを検討し、全館空調なしとする場合のお勧めの方法を紹介したいと思います。

全館空調なしの場合の初期費用と維持費用

全館空調には、冷暖房だけでなく、建築基準法で必要とされる24時間換気が組み込まれています。このため、全館空調を採用しない場合には、別途換気システムを導入する必要があります。たしか、最も単純でローコストな第三種換気になると思います。この見積を取らなかったため具体的な数字はわからないのですが、全館空調を採用する場合より 150 万円は安くできるものと思われます。

換気システムのほかに必要なのは、エアコンです。三井ホームの断熱性能ではあまり大きなエアコンは必要ないため、3LDK でエアコン 4 台を導入すると、1 台 10 万円として、初期費用は 40 万円となります。1 台あたりの年間電気代を 2 万とすると、年間の電気代は 8 万円です。10 年ごとに買い替え、毎年 1 台 15,000 円でクリーニングを行うとすると(注)、10 年間の総費用は約 174 万円(年間 17.4 万円)となります。

全館空調の費用については次の記事で紹介したので、これと比較すると、全館空調なしの場合、初期費用は 100 万円以上安くなり、電気代を含む年間の維持費用は 1 万円ほど安くなります。

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費用だけを見れば全館空調を採用しない方がずっと安くなりますが、快適さも失われることになります。続いて、全館空調を採用しないデメリットを紹介します。

エアコンのクリーニングが 15,000 円というのは一般的な業者の相場であり、年に 1 回というのは一般的な推奨期間です。実際のところは、悪臭がするまでクリーニングをしない場合が多いと思います。しかし、掃除業者のエアコンクリーニングでは問題が起きることもあり、クリーニングはエアコンメーカーに依頼するのが確実です。その場合、1 回につき 4 ~ 5 万円の費用がかかります。これを 3 年に一回行った場合、同じ維持費用となります。

全館空調なしの場合のデメリット

全館空調なしの場合のデメリットをざっと考えてみます。

  1. 部屋ごとに温度差が発生する
  2. 家の内外の見た目がすっきりしない(ただし天井高は高くなります)
  3. 効率的な換気が行われない

1 について詳しく述べると、三井ホームの断熱性能では、温度差があるとはいっても、冬場に 10 度を下回ることはないと思います。ただ、冷暖房のない部屋に移動すると、寒さを感じることでしょう。ふつうの住宅に慣れている方にとっては普通のことなので不満はないかもしれませんが、部屋中の温度が一定という体験をした人にとって、これは大きな違いです。

また、暑いときや寒いときだけエアコンを付ける間欠運転をする場合、床の温度はすぐに上がらないため、足元が寒く感じると思います。部分的に床暖房を入れたり、ホットカーペットを使えばその部分だけは解決できますが、その分、冷暖房費用もかかります。

ただ単に全館空調をなしにする場合、全館空調を採用する場合と比べると、快適性はだいぶ劣ることになるでしょう。

それではどうすればよいのでしょうか。実際にやってみたわけではないのですが、上記の問題を克服できると思われる方法を紹介したいと思います。

全館空調なしで快適に過ごすオプション

簡単なことで、窓を樹脂サッシのトリプルガラス(APW430、APW330 真空トリプルなど)にアップグレードするのです。この記事でシミュレーションを行ったように、窓の断熱性能を上げると室内の温度が上昇し、部屋間の温度差は小さくなります。トリプルガラスにすれば、三井ホームの断熱性能はスウェーデンハウスのレベルになります。スウェーデンハウスに住んでいる方の体験談を読めば、その暮らしがいかに快適かがよくわかります。アップグレードによる一番大きな違いは、エアコンを低コストで付けっぱなしにできることです。これにより、床を含め、家中を暖かく快適にすることができます。つまり、全館空調の快適さに近づくのです。

ちなみに、標準仕様でエアコン 4 台を連続運転したとすると、冷暖房費は全館空調の場合とあまり変わらないかもしれませんが、エアコンから離れる部屋ほど寒いと思います。全館空調ほどの快適さは得られず、また、電気代が高いと感じるため、そのような運用はなかなかする気になれないでしょう。

アップグレードすると初期費用は上がりますが、維持費用は安くなります。概算ではありますが、総費用を検討してみましょう。

全館空調なしでトリプルガラスにした場合の総費用

トリプルガラスにすると、エアコンは 1 階と 2 階の 2 台で良いと思います(注)。暖かい空気は上に、冷たい空気は下に移動するため、2F のエアコンを冷房用、1F のエアコンを暖房用とし、冷暖房能力が不足する場合だけ 2 台を稼働させればよさそうです。

スウェーデンハウスの例を見ると、連続運転を行ったとしても、年間の冷暖房の電気代は 6 万円前後に収まるのではないかと思います。これを基に先ほどと同様の計算を行うと、エアコンの初期費用は 20 万円、10 年間の総費用は 107 万円(年間 10.7 万円)となります。

トリプルガラスにアップグレードすることでどれだけ費用が上がるのかは見積をとっていないため不明ですが、仮に 50 万円とします(この価格差は今後小さくなっていくものと思われます)。

全館空調の費用と比較すると、初期費用は 80 万円くらい安くなり、電気代を含む年間の維持費用は 8 万円ほど安くなります。

標準仕様で全館空調なしとした場合よりは高くなりますが、維持費が安くなるため、この計算だと 10 年もしないうちに元が取れることになります。

ただし、この方法にもいくつか問題はあります。

エアコン 2 台でよいという根拠は、熱損失の計算によります。仮に Q 値を 1.4 W/(㎡・K) とし、132 ㎡(40 坪)で室内外の温度差を最高 25 度とすると、その熱損失は 1.4 x 132 x 25 = 4.6 kW となります。この熱損失は、2.5 kW クラス(木造 7 畳クラス)のエアコン 2 台で対応できることになります。

この方法の問題点

この方法の主な問題は、三井ホームの標準仕様と離れるために、三井ホームが適切な対応をとれるかが未知数なことです。

エアコン 2 台で冷暖房を行うには、家の中央に吹き抜けを設置し、ある程度開放的な間取りを採用した方がよいでしょう。これは設計士の腕しだいであり、自分で勉強して工夫する必要もあるかもしれません。

また、三井ホームの気密性能は C 値 1 を切らない程度であり、高性能とは言えません。次の記事で紹介しているように、第三種換気システムで効率的な換気を行うには不十分なため、工夫が必要です。

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高気密に対応してくれるかは担当者とのやり取り次第です。高気密化が難しい場合は排気型セントラル換気を採用できればよいのですが、三井ホームに対応できるかどうかは不明です。全館空調ではなく、第一種換気のみを採用するという選択肢もあるかもしれません。

最後に

問題があるとはいえ、全館空調を採用しない場合、標準仕様では快適な生活を十分に得ることができないため、トリプルガラスにすることはお勧めです。上記の計算どおりに行くかどうかは未知数ですが、標準仕様より快適になることは確実です。三井ホームが適切な対応をとれなかったとしても、標準仕様よりはマシです。そして、全館空調を採用するよりは、かなり低コストにすることができます。過去に戻って我が家をもう一度建てることができるなら、そうしたいと思っています。

高断熱住宅のエアコンについては、次の本に詳しく書かれています。私はこれから読んで勉強し、必要に応じて記事を見直す予定です。

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『三井ホームで全館空調なしという選択』へのコメント

  1. 名前:くろーばー 投稿日:2018/01/05(金) 18:28:56 ID:355c5825f 返信

    さとるパパさん、こんにちは。

    毎回、とても分かりやすい記事で楽しく勉強させてもらっています。

    我が家の場合、住宅メーカーの標準がAPW330でした。
    ここからトリプルガラス窓へのオプション価格が、

    掃き出し窓2枚(APW330真空トリプルガラス)
    それ以外の窓すべて(APW430)
    延床31坪(4LDK)

    の、我が家で73万円でした。
    参考になれば(^o^)/

    まだ普及していないトリプルガラス窓ですが、寒い地域から徐々に普及してきているので、早く安くなってほしいですね。

    • 名前:さとるパパ 投稿日:2018/01/06(土) 14:51:26 ID:6de05715e 返信

      情報提供ありがとうございます。

      窓の価格は地域や大口割引などで結構差があるみたいですが、三井ホームの標準はサーモスII-Hなので、差額はもっと大きい気がしてきました。

      温暖地でトリプルというのは当初やり過ぎかと抵抗があったのでペアにしてしまいましたが、いつか一気に広まって安くなるのではないかと期待しています。

  2. 名前:くろーばー 投稿日:2018/01/06(土) 22:43:35 ID:18eb9ffad 返信

    そうですね。

    YKKが近年、神戸に樹脂窓の工場をつくったので温暖な関西でも伸びていくかと思います。

    実際に樹脂窓を採用している住宅メーカーも増えてきているので、どこかで330から430に一気に切り替わる時期が来るのでしょうね。

    まだまだコストパフォーマンスでは弱いトリプルガラス窓なので、これからのサッシメーカーに期待ですね。

    今年リクシルが高断熱玄関ドア「リクシル2」を販売しますが、個人的には玄関ドアの性能向上にも期待したいなと思っています。

    やはり窓と同じく開口部が一番の熱損失ですもんね。

    さとるパパさんのブログ、これからも楽しみにしています(^o^)/