【高断熱ペアガラス】サーモスXと APW330 の比較

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リクシルのサーモス X と YKK AP の APW330 は、高断熱のペアガラスを検討する場合にまず候補となる窓シリーズです。

サーモスX は 2015 年に発売された比較的新しいアルミ樹脂複合サッシの窓であり、APW330 は 2009 年から発売されているオール樹脂サッシの窓です。我が家は結局 APW330 を採用しましたが、この 2 つで悩み、両方を検討したため、その違いについて紹介したいと思います。

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断熱性能の違い

断熱性能については U 値で確認できます。ただし、同じ条件の同タイプの窓で比較するために数値を探すのは大変なので、大雑把に言うと、同じガス入りの Low-E ペアガラスで比較した場合、断熱性能はほぼ同じです(注: サーモス X にはトリプルガラス仕様もあります)。

どちらも大手ハウスメーカー標準のアルミ樹脂複合サッシより 3 割ほど高性能になっています(各種ペアガラスの断熱性能の比較についてはこちら)。高断熱仕様の木造住宅であれば全館冷暖房が可能になるレベルの快適な住まいを実現することができ、温暖地でも今後普及が見込まれます。

サーモス X は熱伝導性の高いアルミを使用しているため APW330 より不利に感じますが、サッシのフレーム幅がスリムで断熱構造がしっかりしており、樹脂スペーサー(※)が標準となっているため、同程度の断熱性能を実現しています。

※スペーサーとは、窓枠のあたりにある、ガラスとガラスをつなぐ部品のことです。

ただし、元々アルミ スペーサーが標準だった APW330 も樹脂スペーサーを選べるようになったため、樹脂スペーサー仕様であれば APW330 の方が若干上回る断熱性能を実現できます。特別仕様ということになっていますが、価格差も小さいため、今後は樹脂スペーサー仕様がメインになるものと思われます。

参考 樹脂スペーサーとアルミスペーサーの断熱性能差は大きくないが…

デザインの違い

サーモス X はフレームがスリムであり、このためにシャープでモダンな印象があります。一方、APW330 はフレームの幅はありますが、それはそれで優しい印象があると思います。

また、選べる窓の種類は APW330 の方が豊富なラインナップを取り揃えています。

ちなみに、サーモスと APW はどちらもグッドデザイン賞を受賞しています。

防犯上の問題

APW330 で家を建てて気づいたのは、外から鍵が見えないということです。鍵を二重でかけることができるだけでなく、外から見ただけで鍵が開いているかどうかがわからないようになっているのです。

一方、サーモス X では外から鍵を見ることができてしまいます。

鍵のかけ忘れは、たまにはあるものです(わが家は子どもが勝手に開けます)。そんなとき、泥棒が目視で鍵が開いているのを見つけてしまえば、侵入されるリスクは高くなるでしょう。外から見えなければ、窓を触らなければ確認できないため、たとえ閉め忘れていても侵入されるリスクは小さいと思われます。

結露の問題

家を暖かくした場合、ペアガラスでは、よほど乾燥していない限り、結露が発生します。しかし、その量は窓しだいです。

先ほど、サーモス X の断熱性能も同程度と説明しましたが、フレーム(窓枠)とガラスを分けて考えると、やはりサーモス X の方がフレームの断熱性能が劣ります。そのため、冬季にはフレームの表面温度が低くなります。したがって、フレーム部分に結露が発生するリスクはサーモス X の方が高いと言えるでしょう。

APW330 は、アルミスペーサー仕様では厳寒期に少し結露が発生します。しかしすぐに乾く程度なので、我が家では拭いていません。APW330 樹脂スペーサー仕様であれば、かなりの程度、結露を抑えることができるのではないでしょうか。

サーモス X についても、東京近郊で実際に使用している人から聞いたところ、すぐに乾く程度なので問題ないそうです。温暖地ではよほど結露に悪い条件が重ならない限り、大きな問題にはならないでしょう。

関連 APW330(アルミスペーサー)とサーモスXの表面温度と結露について

期待の新製品

こうして見るとリクシルのサーモス X はやや劣勢のようですが、リクシルにはエルスター S というシリーズもあります。これは APW330 より新しいオール樹脂サッシのモデルであり、その性能は APW330 を上回っています。今後、これが普及して低価格で採用できるようになれば、有力な選択肢となるでしょう。

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コメント

  1. はるくんパパ より:

    考察楽しく拝見しました。
    地域によっては断熱性能に加え、日射熱取得を考慮に入れる必要があると思います。
    冬場の日射熱取得に関しては、ガラス面積の大きいサーモスXが断然有利となります。
    夏場適温まで下げる熱量より冬場適温まで上げる熱量の方が大きく、経済的な部分を考えると、断熱の数値だけでは計れません。実際私の住んでいる西日本では年間での光熱費に換算すると、サーモスX(エルスターXとの比較ですが)の方がコストが安いというデータもあります。
    後は紫外線の影響がどう出るか・・・?ですかね。
    北海道なら兎も角、関東以西の紫外線量は比較にならない上に、
    アルミに比べ樹脂の紫外線劣化は約5倍早いとの事。。
    北海道ですら樹脂サッシの塗装専門業者がいるくらいですので耐久性が不安です。
    と言う事で、性能とトータルコスト(ランニング含め)を考えて、
    我が家はサーモスXを選択しました。
    これからの家づくりで必要なキーワードは、「断熱」よりも「パッシブ」だと
    強く感じる今日この頃です。

    • さとるパパ より:

      コメントありがとうございます。
      こちらの記事などで書いているように、冬場の日射熱取得が重要との認識は私も同じです。日射熱利用については、ガラス面積に加え、方角ごとの日射取得・遮蔽の方法、ガラスの種類(日射熱取得率)などいろいろと考慮する必要があるでしょう。熱取得だけを考えるとガラスの種類の影響は特に大きく、リクシルのペアガラスでは高遮熱型をクリアタイプにするだけで日射熱取得が 55% もアップします。三井ホームなどは温暖地は全方位で遮熱型が標準ですが、南面には有効かと。

      西日本でサーモス X(トリプル?)のほうがコストが安いというデータは意外です。日射熱を多く取得できるメリットは寒冷地のほうが大きく、温暖地ではむしろデメリットになる可能性もあります。シミュレーション結果は日射遮蔽条件などで大きく変わってくるため、一概にコストが安くなるとは言えないのでないかと思います。

      樹脂サッシの耐久性については近々記事をアップする予定です(追記:以下の記事です)。素材自体の耐紫外線性能はアルミより劣るでしょうが、窓全体の耐久性として実用上問題はないという認識です。

      樹脂サッシの耐久性について

      サーモス X も APW もどちらも有力な選択肢なので、耐久性、微妙な断熱性能の違い、結露、日射熱取得などのうち、何を重視されるかだと思っております。

      今後の記事内容の改善に役立たせていただきます。ご意見ありがとうございました。

    • くろーばー より:

      はるくんパパさんへ

      昔のコメントに失礼します。しかも横入り(*^_^*)

      完全にリクシルのデマに流されているケースですね。パッシブハウスジャパン理事の松尾先生のお話をよく聞かれた方が良いですよ。

      サーモスXがAPW330より光熱費が安くなるなんていうエネルギー計算はどこでされたのでしょうか。

      建物燃費ナビでもそのような結果はでませんよ。

      そして、相変わらずの樹脂サッシが紫外線に弱い話ですが、紫外線による加速実験も済んでおり、実際に日本よりも暑い地域でも用いられていますが、問題なく使用されています。

      パッシブも断熱も、そして気密も大事な要素ですが、ウソはいけません。

      おそらくリクシル担当者や宣伝を鵜呑みにされての情報だと思いますが、しっかり勉強して、またご自身でもしっかり確認をとってから発信すべきです。

      ちなみに松尾先生はサーモスXの開発に関われた設計士の先生です。
      温熱環境の第一人者のお一人なので著書や講演でしっかり勉強してください。

      さとるパパさん。
      コメントの横入り、失礼しましたm(__)m

      • さとるパパ より:

        くろーばーさん、コメントありがとうございます。

        このような眉唾な話が出回っている件に関しては、くろーばーさんの次のブログ記事で松尾先生のコメントを読み、経緯を知ってそういうことかと合点がいきました。同様の話を聞いて疑問が生じている方は是非ご一読ください。

        https://yotubanoclover.muragon.com/entry/590.html

        リクシルはサーモスXを重点的に販売していく方針のようですが、自社でもつくっている樹脂窓を不当に過小評価するのはあってはならないことだと思います。

        松尾先生の著書は私もお勧めで、次の記事で紹介しています。

        https://www.2x6satoru.com/article/book-ecohouse.html

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