断熱性能は窓、壁、換気で決まる(部位別の断熱性能比較)

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断熱性能を上げるためにはどうすればよいでしょうか。
まず始めに、壁と窓の熱貫流率(W/㎡・K)を確認してみましょう。熱貫流率とは、材料の厚みも考慮された、熱の伝えやすさを表す指標であり、値が小さいほど熱を通しにくく、断熱性能が高いことになります。熱伝導率(W/m・K) と似ていますが、これは単に材料の熱の伝えやすさを表す指標であり、材料の厚さが 1m のときの値です。厚さが半分になれば、熱貫流率は倍になります。住宅の壁や窓からどれだけの熱が逃げているのかを把握するために重要なのは、熱貫流率になります。



壁と窓の熱の通しやすさを比較する

壁や窓の熱貫流率

これを見ると、一般的な高性能グラスウール16Kの壁と比較し、ハウスメーカーで一般的なアルミ樹脂サッシのペア(二重)ガラスは6倍も熱を通しやすいことがわかります。

一番大きい窓からの熱損失

関東の次世代省エネレベル(Q=2.7)程度の住宅では、家全体の熱損失のうち、窓からの熱損失が約半分を占めます。このことから、断熱性能を上げるには、窓の断熱性能を上げるか、窓の総面積を減らすことが一番簡単な方法であることがわかります。日本の窓の断熱性能は世界的に低いレベルでしたが、最近はマシになってきており、価格も下がってきています。とはいえトリプルガラスや真空トリプルはまだ高価であり、重量が増すという問題もあるため、関東以西ではLow-EペアガラスのサーモスXや樹脂サッシがお勧めです。しかし、それだけでは、一般的な木造軸組工法の壁でQ値1.6を切るのは困難です。

次に大きい壁からの熱損失

多くの住宅では、窓に次ぐ熱損失は、屋根・壁・床から発生しています。なかでも壁は面積が大きい分、影響が大きいため、窓に次ぐ改善ポイントとしては壁の断熱性能が重要になってきます。

壁の断熱性能を上げるには、壁を厚くするか、発泡プラスチックなどの高価な断熱材を利用するか、外断熱を施すかといった対応になります。軸組工法の壁の厚みは柱の太さの制限を受けますが、ツーバイシックス工法は充填断熱だけでも 140 mm の厚みを確保できるため、グラスウールでもなかなかの断熱性能を発揮できるというメリットがあります。

高レベルでは見逃せない換気による熱損失

換気による熱損失は、Q 値で表すと 0.4 相当になります。上記の方法で窓や壁の性能を上げると、相対的に換気による熱損失の割合が増え、1/3 くらいを占めるようになります。これには、換気により排出される熱を回収できる熱交換式換気システムを導入することで熱損失を減らすことができます。第一種換気システムが必要になり、初期費用が高くつきますが、80%~90%程度の熱交換率が達成できるようです(ただし全熱式の場合、トイレや浴室からの排気の熱は回収されません)。

とはいえ、熱交換型換気を採用しても換気による熱損失が 9 割も減るわけではないので、過剰な期待は禁物です。全熱交換型換気では湿度を制御しやすくなるので、それによる快適性への影響のほうが重要なポイントだと思います。

ちなみに基礎や屋根の断熱も重要ですが、どこも標準で分厚い断熱材を使用しており、大きな差は出ない印象です

追記:屋根は夏の日射でかなりの高温になるため、屋根の断熱性能は高い必要がありますが、壁程度の断熱性能しかないケースも多いようです。詳細は「屋根の断熱性能が低すぎるという問題を調べてみた結果」をご覧ください。

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