第一種換気システムには熱交換が行われるものが多くあります。寒い冬に換気しても室内で暖められた空気の熱を排気せずに回収するため、給気が暖かくなります。夏は反対に、冷房で室内外に温度差があるときに給気が涼しくなります。したがって、冷暖房費が節約できます(換気の電気代は上がりますが)。
わが家の全館空調(三井ホームのスマートブリーズプラスII)にも東芝の熱交換換気が組み込まれており、その熱交換効率は約 80% です。理論的には、外気温が 0℃、室温が 20℃ ならば給気温度は 16℃、排気温度は 4℃ になることになります。
ほとんどの住宅会社はこの理論上の温度を紹介するだけですが、ヒノキヤの Z 空調の紹介ページには「メーカー実験による実測値」が載っており、理論上の熱交換率(約 70%)とほぼ同じ温度が示されています。
私は疑い深くないほうですが、「これはホントかな」と気になったので、自宅でチェックしてみることにしました。
測定方法
外気温が 10℃、室温が 23℃ のときの吹出口(横向き)の温度を測定します。こんな測定法でいいのか疑問が残りますが、青液温度計を以下のようにテープで貼り付けました。
まず全館空調の暖房をオフにして、換気だけの運転にします。暖房の影響が残らないように、測定は 2 時間後としました。天気が悪い日だったので、その間、外気温の変化はほとんどありません。気温差も小さいので、室温の変化もありません。
外にある排気口の温度についても、同様の方法でバルコニーから測定してみました。
結果と考察
室内の吹出口(給気口)の温度を確認したところ、21℃ もありました。
約 85% も熱回収されているような数値です。実際に生活していて、吹出口の風に当たるとちょっと寒いと感じていたので、想像以上の結果です。第三種換気では給気温度が外気温とほぼ同じになるため換気による寒さ対策に工夫が求められますが、熱交換換気であれば、換気によって個室の温度が下がることはほとんど心配ないでしょう。
しかしながら、外気から取り込まれた空気は、吹出口までに暖かい屋根裏空間にあるダクトを 10m 以上通過してきています。温度が高いのはその間に暖まっただけであり、実際の熱交換効率はもっと低い可能性もあります。本当に熱交換されているなら、排気の空気温度が低くなっている必要があります。
排気口温度の測定結果はというと、14 ℃でした。ちゃんと室温より低くなっています。この結果からの計算上の熱交換効率は約 70% ですが、こちらも熱交換後に排気口までのダクトで暖まっている可能性があるので、実際の熱交換効率はもっと高いことが予想されます。
総合すると、今回の結果から、実際にも 75% くらいの熱交換は行われていると見てよいのではないでしょうか。今回の測定の精度は低く、温度差が大きいときや冷房時など、条件次第で効率は変わってくるとは思いますが、私としては予想以上の効果です。
本当は、もう少し外気温が低く、温度差が大きいときに測定してみたいものです。が、そんなときに長時間暖房を止めるのは難しく、また、春が来て暖かい日が多くなってしまったので、調査はこのくらいにしておこうと思います。
参考までに、全館空調の暖房を連続運転しているときの吹出口(給気口)の温度は約 28℃でした。寒いときはもっと高い温度になっていることでしょう。
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