壁・天井(屋根)・床に必要な断熱材の厚みはどの程度か?

実際に高断熱住宅を建てるとなると、壁・天井(屋根)・床の各部位にどの程度の断熱材を採用すべきか、住宅会社の標準仕様で問題ないかが気になるところかと思います。私が自宅を建てたときはそこまで気が回りませんでしたが、ハウスメーカーによっては屋根の断熱が弱いとか床が弱いとかいうことがあるので、できれば確認し、必要に応じてオプション対応を検討したほうがいいでしょう。

各部位に望ましい断熱材の厚みは地域や工法によって異なるので、ここでは日本の多くを占める温暖地の木造住宅での断熱材の厚みについて紹介したいと思います。

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断熱性能の評価は熱抵抗値

断熱材の断熱性能を検討する際に重要な指標として、熱抵抗値(R 値)があります。

断熱性能は熱伝導率と材料の厚みによって決まり、その両方を考慮した指標が熱抵抗値です。

熱抵抗値が大きいほど断熱性能が高いことになります。

ちなみに窓などの断熱性能は構造が単純ではないために熱貫流率(U)という指標が使われていますが、これは熱抵抗値の逆数とも同じものです。断熱材についても、熱伝導率と材料の厚みから熱貫流率を計算することができます。

各社のパンフレットなどで使われる指標は統一されていないので、熱抵抗値がわからない場合は計算してみてください(以下ツールも用意しております)。

断熱材の熱伝導率と厚さから熱貫流率Uおよび熱抵抗値Rを計算するツール

断熱等級4の基準値

必要な断熱性能の厚さを考えるにあたって参考になるのが、品確法で定められる断熱等性能等級4の技術基準PDF)です。

この文書には地域区分や工法別の熱抵抗値の基準、断熱材の種類と熱伝導率なども載っているので、いろいろと参考になります。

断熱等性能等級 4 なんて UA = 0.87 相当の基準だから不十分だと思われるかもしれませんが、開口部(窓やドア)の基準が低すぎるのが問題なだけで、他の部位については最低基準として考えると有用だと思っています。

ちなみにここで取り上げるのは、一般的な木造軸組工法(在来工法)の充填断熱工法と、枠組壁工法(ツーバイ)の充填断熱工法の一部の仕様です。さらに細かい情報や、外張り断熱工法や他の工法について気になる方は原典をご確認ください。

それでは、各部位の熱抵抗値の基準を確認していきましょう。参考までに、一般的な高性能グラスウール(熱伝導率 0.038)の場合の厚み(早見表の最低厚さ)も併記しておきます。

屋根または天井の熱抵抗値の基準

屋根:4.6(高性能グラスウール 185mm 以上)
または
天井:4.0(高性能グラスウール 160mm 以上)
※軸組工法、枠組壁工法とも同じです。

屋根は夏に非常に高温になるため、分厚い断熱材が要求されます。その基準値は、天井裏に断熱材を入れる天井断熱と、屋根面に断熱材を入れる屋根断熱とで異なります。天井断熱では小屋裏が外気に通じており、換気によって熱を逃がすことができるぶん、屋根断熱よりも基準は緩くなっています。

それでも、この基準を確保できていないハウスメーカーは、意外とあるので要注意です(三井ホームとかアイフルホームとか…)。

参考 屋根の断熱性能が低すぎるという問題を調べてみた結果

壁の熱抵抗値の基準

軸組工法:2.2(高性能グラスウール 90mm 以上)
枠組壁工法:2.3(高性能グラスウール 95mm 以上)

壁は外皮面積が一番大きく、住宅全体の断熱性能に大きく影響する部位です。しかし充填断熱の場合、壁に入れられる断熱材の厚みは構造上の成約を受けるため、簡単に増やすことはできません。そのためか基準はこの程度になっていますが、それでも、熱抵抗値 2.2 ということは熱貫流率(U)で 0.45 であり、リクシルの高性能5層ガラスサッシ「レガリス」(U値0.55)よりも高断熱です。断熱の弱点である窓の影響がいかに大きいかということがわかります。

枠組壁工法のほうが要求基準が高いのは、熱橋部(木材)の割合が大きいためだと思われます。

床の熱抵抗値の基準

軸組工法:2.2(高性能グラスウール 90mm 以上)
枠組壁工法:2.0(高性能グラスウール 80mm 以上)
※外気に接する部分(オーバーハングなど)の床は別です。

床面が寒いと体感温度が下がるため、分厚い基準になっているかと思いきや、そうでもありません。床下の温度は冬でも意外と暖かく、内外温度差が小さいことが影響しているのでしょう。Q 値や UA 値の計算においても、床面には温度差係数 0.7 を乗じる規定があります。同じ熱抵抗値でも、温度差が 0.7 倍なら壁の 1.4 倍相当の断熱基準ということになり、ある程度は重視されていることが伺われます。

私としても、床を暖かくするには床の断熱材にこだわるより、コールドドラフト対策(気密性能および窓の断熱性能の強化)や連続暖房のほうが重要だと思っています。

参考 エアコンを連続運転するメリット

最後に

ここでは断熱材の断熱性能について述べましたが、断熱材に必要な性能は断熱性能だけではありません。

断熱材を評価する視点としては、耐火性、防蟻性、耐久性、コストパフォーマンス、気密の取りやすさ、施工性、環境への影響などさまざまです。断熱性能だけにとらわれることなく、総合的に判断されることをお勧めします。

参考
断熱材と断熱工法は何がよいか?
断熱性能は窓、壁、換気で決まる(部位別の断熱性能比較)
標準仕様で高断熱・高気密に対応すべき理由

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