空気線図でわかる相対湿度と絶対湿度、結露と乾燥の関係

空気線図というものがあります。
湿り空気線図、湿度線図とも呼ばれ、湿った空気の絶対湿度と相対湿度、温度などの複雑な関係が 1 つの図にまとめられています。
湿度や結露、乾燥について考えるとき、空気線図を理解していると、非常に役立ちます。

私が自宅を建てた当時は重要だということは聞いていましたが、難しそうな気がしてよく見ていませんでした。
Wikipedia の説明を見ても難しい用語が並んでいるため、物理化学が得意な人以外は敬遠してしまうのが普通でしょう。

しかしながら、住宅の湿度や結露や換気やらを考えていくと、空気線図を避けて通ることはできません。
相対湿度だけで考えようとすると理解できない現象が、絶対湿度と温度との関係を含めて考えることで抜群にわかりやすくなります。
使えば使うほどに理解が深まり、応用が利くようになるため、敬遠していた人も是非使っていただきたいと思うようになりました。

この記事では、空気線図について、なるべく平易に、じっくり解説してみたいと思います(私も部分的にしか理解していないので、わかる範囲で)。

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空気線図とは

Wikipedia に載っていた空気線図は以下のとおりです。

これについて説明していきます。

目盛りの単位について

横軸は、乾球温度(℃)とありますが、ふつうの空気の温度のことです。説明不要でしょう。
青字の湿球温度は、気にしなくて問題ありません。

縦軸は、絶対湿度(gm Water / gm of Dry Air)とあります。
絶対湿度の表記にもいろいろありますが、この図の場合、乾燥空気(Dry Air、略して D.A.) 1 グラム(gm、以下 g)に対して水(水蒸気)が何 g 含まれるかという、重量絶対湿度です。

重量絶対湿度のほかに容積絶対湿度(g/m3 など)というものもありますが、詳細はこちらの記事に書いています。

たとえば、絶対湿度が 0.015 g/g D.A. なら、乾燥空気 1 g に対して水が 0.015 g 含まれるという意味ですが、これでは単位が小さすぎて実感が湧きません。

単位換算のために 1,000 倍すると、乾燥空気 1,000 g = 1 kg に対して水が 15 g 含まれることになり、15 g/kg D.A. と表すこともできます。

絶対湿度について書かれた文で、15g などとしか書かれていないことがありますが、大抵は 15 g/kg D.A. (=0.015 g/g D.A.)の意味です。
このページでも、15 g/kg D.A. といちいち書くのは面倒なので、以降は、絶対湿度 15g と書くことにします。

ただ、空気の重さは普段意識しないため、これでもまだ実感は湧きにくいかもしれません。

空気の重さと体積の関係は空気線図に比体積(緑色の線)として書かれており、常温のとき 1 kg で 0.85 m3 くらいです。

つまり、絶対湿度 15g/kg とは、1 辺が 1 m 弱のサイコロ型(立方体)の空気に含まれる水の重さが、15g くらい、ということになります。

余計わかりにくくなってたら申し訳ございませんが、イメージとしてはそんな感じです。

相対湿度について

続いて相対湿度(RH)について書く前に、まず飽和水蒸気量について説明します。

飽和水蒸気量とは、空気が水蒸気として含むことができる最大の水分量のことで、これは温度によって決まります。

相対湿度は一般に言われる湿度のことで、%で表されていたら相対湿度のことです。
相対湿度の定義は、その温度の飽和水蒸気量に対する水蒸気量の割合(%)です。

つまり、空気線図において、飽和水蒸気量は相対湿度 100% の曲線と同じです。

たとえば、気温 14 ℃の飽和水蒸気量は、図から 0.010 g/g D.A. です。
0.010 g/g D.A. = 10 g/kg D.A. なので、絶対湿度 10g なら相対湿度 100%、5g なら相対湿度 50% ということになります。

飽和水蒸気量の曲線は、なんとなく覚えておくと便利です。
気温が 0 ℃のときを基準とすると、飽和水蒸気量は 20℃のときで約 4 倍、30℃のときでは約 7 倍と、大きな差があることにご注目ください。

空気線図の応用例

空気線図の説明はこのくらいにして、この空気線図を使うとどのようなことがわかるのか、実際に使って考えてみることにします。今はよくわからなくても、いじってみたほうが理解しやすくなると思います。

エアコンで空気を暖めるとどうなるか

空気線図を使って、気温8℃、相対湿度60%の空気をエアコンで23℃まで暖房する場合を考えてみましょう。

エアコン暖房は一般に加湿も除湿もしないため、絶対湿度は変化せず、図で見ると、次のようになります。

温度が上がると飽和水蒸気量が増えるので、絶対湿度は変わらなくても相対的な湿度が下がり、60% から 23% へと変化しています。

飽和水蒸気量との差が大きくなると、湿気を含む物体からの放湿量が増えるので、乾燥を感じやすくなります。

これがエアコン暖房で乾燥する理由です。

室内に湿気を含むものが多かったり、水を使ったり呼吸したりしていれば、湿度は少し上がる可能性もあります。

しかし、換気を行っていれば、換気量が多ければ多いほど、絶対湿度 4g、相対湿度 23% の状態に近づきます。

結露はどんなときに発生するか

今度は逆に、気温が下がる場合について考えてみます。

32℃、相対湿度 70% の空気が 24℃まで下がる場合、下図のようになります。

温度が下がれば下がるほど相対湿度が上昇し、およそ 25℃で相対湿度は 100% に達します。
100% を超える水蒸気は保持できないため、その分の水は結露となります。

つまり、当初の空気は、25℃以下になると結露が発生するということです。この温度を、露点温度といいます。

気温が低下する夏の終わりから冬にかけて早朝に露や霜が降るのはこのためです。

ただ、エアコンで室温を下げる状況は、この図と異なります。
エアコンは室内空気の温度を均等に下げるのではなく、エアコン内部の温度を下げ、そこで結露を発生させながら(=空気中の絶対湿度を下げながら)室温を下げます。
図でいうと、真左ではなく、左下方向にしか移行しません(再熱除湿は真下方向)。
エアコン冷房では除湿モードでなくても除湿が行われるため、快適に温度を下げられるわけです。

もし、エアコンが室内空気の温度を均等に下げていたら、床がビショビショになっているはずですが、そうはなりません。
これがわかると、配管による床冷房が難しい理由も納得できるのではないでしょうか。

窓の結露はどうして発生するのか

続いて、冬の結露についても考えてみましょう。

冬の室内の空気(23℃、相対湿度 40%)を図に示すと、以下になります。

この空気の露点温度(同じ絶対湿度で相対湿度が 100% になる温度)を確認すると、約 9℃です。

つまり、この部屋に 9℃以下に冷やされる箇所があると、そこで結露が発生することがわかります。

9℃以下になる場所はどこでしょうか?
外気温の影響を受けて一番温度が低くなる場所で、ほとんどが窓です。

窓やサッシの断熱性能が高ければ高いほど、窓の結露が発生しにくくなることがわかります。

また、壁に隙間がある場合、その中に室内の空気が入り込むと、壁内の冷たい部分でも結露が発生することがあります。断熱層の室内側に防湿シートを隙間なく貼るのは、これを防ぐためです(在来工法では、壁内の通気を止め、壁内に空気が引き込まれないようにする気流止めも大事です)。

空気線図と結露の関係がわかると、高断熱窓にすること以外にも、結露を防ぐ方法が自然と見えてきます。
室内空気が接する範囲において、露点温度以下の箇所が出ないようにすればよいのです。
絶対湿度が上がりすぎないようにして露点温度を下げたり、露点温度以下になりやすい場所を暖めるようにすればよく、その方法はいろいろ考えられます。

参考 結露が発生する条件および対策

断熱カーテンで結露が発生しやすくなる現象も理解できます。
窓の室内側に断熱層があると窓の表面温度は外気温に近づく(=冷える)ため、室内空気が露点温度以下に冷やされやすくなるわけです。

わが家を見ても、結露が発生するのは夜にカーテンを閉める箇所ばかりです。通気性のよいブラインドを使用している箇所やむき出しの窓では、ほとんど結露が発生していません。

冬に40%以上の湿度を保つにはどうすればよいか

冬は乾燥しがちなので、昨今、感染症対策などとして、冬の湿度を 40%以上にしようなどとよく言われています。
しかし、空気線図を見るとわかるように、相対湿度の 40% は温度によって大きな差があります。

ただ相対湿度 40% にするだけを目標にするなら、室温が低ければ低いほど、その達成は簡単です。
しかし温度が低いと粘膜の自然免疫力も低下したりするため、寒いことは望ましいことではありません。

インフルエンザの流行時期は絶対湿度と関係があるという説もあり、本来目標とすべきは絶対湿度です。

湿度40%以上などと言われるのは、湿度といえば相対湿度が一般的であり、測定しやすいからというだけのことでしょう。絶対湿度がわかる温湿度計はなかなか普及していません。

絶対湿度で考えるとすると、冬季に確保したい絶対湿度は、だいたい 8 g/kg D.A.(容積絶対湿度なら 10 g/m3)以上です。

室内の絶対湿度を上げる際にまず重要なのは、換気量を必要最低限にすることです。
いくら換気が大事とはいえ、飽和水蒸気圧曲線を見ればわかるように、10℃以下の外気の絶対湿度は絶対に 8g 以下です。換気は強化すればするほど、温度とともに絶対湿度が下がってしまいます。

必要な換気量は、換気回数でいうと、用途に応じて毎時0.3回から2回くらいでしょう(通常 0.5 回/時)。

詳細 「換気の悪い密閉空間」を避けるにはどの程度の換気量が必要か

この換気量は、隙間が多ければ換気設備なしでも確保できるので、自然換気量も無視できません。

詳細 自然換気量と隙間の関係

室内では、ふつうに生活しているだけで水分が発生するため、換気量を最適化するだけで乾燥を防げる場合があります。
それで足りない場合は加湿を行うことになりますが、絶対湿度が増えると露点温度も上がるため、結露も発生しやすくなります。高断熱でない窓だと、加湿すればするほど結露量が増えることになり、カビなどが生えれば別の健康問題も発生します。

冬の乾燥対策は住宅性能に左右され、そう簡単ではありません。

詳細 インフルエンザにかかりにくい絶対湿度を実現するためには高性能住宅が必須

参考までに、絶対湿度(容積絶対湿度)が一目で確認できる安価な温湿度計としては以下の製品があり、お勧めです。

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