浴室の換気扇を止めたほうが省エネ・快適になる理由

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全熱交換型換気システムの効果を高める方法で少し紹介しましたが、浴室に換気扇は要らないという意見について、実体験とデータを踏まえて詳しく紹介したいと思います。

この意見は新潟県にある設計事務所・オーブルデザインの浅間氏が何年も前から提唱・実践していることなのですが、最近になってその素晴らしさに気が付きました。これは、これから住宅を建てる方だけでなく、すでに住んでいる方にも広く応用できる内容です。

なかでも、三井ホームのスマートブリーズ・プラスや一条工務店のロスガードのような全熱交換型の第一種換気を採用する場合には、特に大きな効果が見込めます。

その理論的な背景と具体的な方法について説明していきたいと思います。

浴室換気の問題点

一部の換気方式(顕熱交換型第一種換気)を除き、ほとんどの住宅では浴室に排気専用の換気扇が付きます。入浴時に気流があると寒いので気持ちの良いものではありませんが、浴室にカビが生えないよう、浴室を乾かすために必要だと思われてきたからです。

しかし、実際問題として、排気専用の換気扇だけでは浴室がなかなか乾きません。これは、新居に移ってまずガッカリしたことの一つです。わが家の場合、浴室を完全に乾かすとなると、どの季節も換気扇を強モードで 10 時間ほど回す必要があります。

こんなに時間がかかってはカビや雑菌が増殖してしまうし、全熱交換型換気システムの場合、この換気扇を通る分の空気がすべて熱交換の対象外となってしまいます。この熱損失は馬鹿にできません(詳細)。

浴室の水分は室内に散らす

そこで有効なのが、換気扇を止め(弱め)、室内の空気を浴室に向けてファンで送る方法です。これは、市販のサーキュレーターでも可能ですし、これから建てる住宅の場合は、浴室と脱衣所の間の壁に CF(循環ファン)を設置する方法もあります。

こうすると、浴室内に気流が起こり、浴室内の水分がすべて室内側に拡散します。わが家で試した結果、サーキュレーターの強運転(消費電力 31 W)だと 3 時間で完全に乾きました(浴室の壁は水切りワイパーで軽く水切りしています)。強運転がうるさく感じる場合は弱運転にしても、換気扇よりは早く乾きそうです。

これは衛生的ですし、冬には居室内の乾燥を緩和する効果もあります。換気量を減らすことで熱収支を向上させることも期待できます。

とはいえ、夏は室内の湿気が余計に増えてしまうのではないか、と心配になるかもしれません。しかし実は、この方法は夏こそ特に有効なのです(おそらく年中有効ですが)。

換気より湿気が増えない理由

排気専用の換気扇を回す場合、送風量に相当する外気を追加で室内に取り込むことになります。夏場はこの外気に大量の水分が含まれているので、換気扇を回すより、換気扇を止めて室内で乾かしたほうが室内全体の水分量は少なくなる、というわけです。

信じられないかもしれないので、わが家の場合で水分量を計算し、比較してみましょう。

わが家の場合、浴室の換気扇を回すことにより、毎日 1920 ㎥ の空気を入れていることになります。『ホントは安いエコハウス』P.83 によると、東京の 8 月の月平均絶対湿度は 16.4 g/kg なので、空気 1 ㎥ の重さを 1.2 kg とすると、その空気中には約 38 L の水が含まれていることになります。すごい量ですが、大事なのは室内の空気に含まれる水分との差です。

室内の空気の温度を 26 度、相対湿度を 55% とすると、絶対湿度は 13.4 g/kg なので、その差は約 7 L になります。

換気扇を回すことにより室内で増える水分量(= 7 L/日) が、濡れた浴室全面の水分より多いことは明らかでしょう。空調の効いた住宅で換気扇を完全に止めるということは、この差分の量の除湿効果があるということになるのです。換気扇を止めず、「強」運転をやめるだけでも、わが家の場合は 2 L/日ほどの除湿効果が期待できます。これだけの湿気を除湿器やエアコンで除去するとなると、結構な電力を消費してしまいます。一方、サーキュレーターの消費電力は、1 日 3 時間でたったの 93 Wh(0.093 kWh、3 円以下) です。

つまり、この方法は、夏においても冬においても、エネルギー収支上だけでなく、湿度管理上のメリットもあることになります。

必要なものは、サーキュレーターだけです。首振り機能は壊れて音が鳴りやすいので不要です。

これを、浴室に向かって空気が流れるように設置するだけです。夜使うにはタイマー機能があると便利ですが、次の器具を使えばタイマー機能を付加することができます。

とても画期的な方法で、効果は絶大だと思うのですが、注意点もあります。

換気方式ごとの効果と注意事項

この効果は換気方式によって異なるため、それぞれの効果と注意点について、気づいた範囲で書いておきます。

第一種全熱交換型換気システムの場合

この換気方式では浴室の換気扇を完全に止めることができるため、最も高い効果を発揮できます。ただし、換気扇を止める(なくす)場合、塩素系漂白剤の使用には注意が必要です。これは熱交換素子を痛める可能性があるため、浴室で漂白剤を使用するときは、窓や換気扇で換気したほうがよいかもしれません。

また、浴室の換気扇が要らないというのは日本の住宅の常識から外れるため、建築業者の理解を得るのは困難が予想されます。循環ファンを設置する場合は反対向きに設置される恐れもあります。とりあえず一般的な換気扇を設置しておいて簡単に止められるようにしておき、住んでからサーキュレーターで対応するのもお勧めです。

参考までに、三井ホームのわが家の場合、後から換気扇を止めることは困難でした。まず、常時換気設備であるため、換気扇を止めるスイッチがありません(一時オフ機能のみ)。また、換気扇の説明書には専用のブレーカーを設けるよう指示があるのに、浴室共同のブレーカーとなっていて、浴室換気扇だけブレーカーを落とすことができません。いずれ何らかの対応を取りたいと思いますが、とりあえず「強」運転の使用をやめることから始めようと思っています。

これから住宅を建てる方で、換気扇を設置する場合は、専用のブレーカーを設置するよう注意することをお勧めします。本来はメンテナンス上の理由でそうすることが推奨されているのでしょうが。。

第一種顕熱交換型換気システムの場合

この換気方式では浴室も熱交換できる換気計画に組み込まれているため、メリットは浴室が早く乾くことだけになります。

室内の湿度を一時的に微妙に上げてしまう可能性がありますが、増えた分の水分は常時換気で排出されるため、大きな悪影響はないでしょう。浴室を早く乾かす目的では、除湿器を使用するより安上りで静かだと思います(併用もありです)。

第三種換気システムの場合

第三種換気の場合、もともと浴室から排気を行う換気計画が組まれているため、換気を止めるわけにはいきません。換気扇の風量を最低限にするだけです。風量を強くしなくてよい分だけ、換気で流入する水分を減らす効果が期待できます。

ただし、空調を使用せず、室内の湿度を下げていない場合は、換気で流入する水分量と室内の水分量に差がないため、早く乾く以外のメリットはありません。室内の湿度が高い場合、なかなか乾かない可能性もあります(改善効果はあるはず)。

顕熱型と同じで、室内の湿度を一時的に微妙に上げてしまう可能性がありますが、増えた分の水分は常時換気で排出されるため、換気が機能していれば大きな悪影響はないでしょう。浴室を早く乾かす目的では、除湿器を使用するより安上りで静かになるかもしれません。

最後に

換気扇を止めるのは常識外れの方法なので本当に大丈夫なのかと心配になりますが、考えれば考えるほど、わが家では換気扇が不要に思えます。もし問題があるようでしたらご指摘いただけると幸いです。

私としては、サーキュレーター、とても気に入りました。洗濯物の部屋干しにも効果が期待できそうなので、首振り式のサーキュレーターも追加で購入するかもしれません。

今回は比較的乾燥した夏の日に試用してみましたが、湿気の多い日や冬にも使用してみて、新たにわかったことがあれば追記したいと思っています。

追記:入浴後すぐにサーキュレーターを回すと一気に暖かい湿気が広がって夏は不快なので、湯気が消えるくらいまでは換気扇を回したほうがいい感じです。

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『浴室の換気扇を止めたほうが省エネ・快適になる理由』へのコメント

  1. 名前:むらやん 投稿日:2018/08/01(水) 13:21:27 ID:66b85ba5a 返信

    こんにちは!いつも情報ありがとうございます! 除湿機を浴室に使用しだして、除湿効果の短さからうすうす気が付いていましたが… 日本の夏は外気の湿度が高すぎます。顕熱で湿度を下げるのはかなり難しいです。室温を下げると解決しそうですが、うちは28度設定が快適なので、湿度60%をなかなか下回りません。この記事で解決策を思いつきましたが、リスクもあるので検討とDENSOさんに確認してから試してみます。

    • 名前:さとるパパ 投稿日:2018/08/01(水) 19:50:29 ID:4e4f9d53b 返信

      いつもお世話になっております!わが家は真夏でも除湿運転を多用しておりますが、夜間温度を下げずに湿度60%以下にするのは特に難しいです。大阪は特に湿度が高いので大変なのかもしれませんね。顕熱型での解決策は私には思いつかないので興味があります。何か結果が出ましたらリンクさせていただきたいと思います。