標準仕様で高断熱・高気密に対応すべき理由

※当サイトは、アフィリエイトプログラム(Amazonアソシエイトなど)を通じ、商品またはサービスの紹介・適格販売により収入を得ています。詳細...

スポンサーリンク

当サイトで推奨する断熱性能、気密性能を実現しようとすると、標準仕様で対応できるハウスメーカーはほとんどありません。他のハウスメーカーでは何らかのオプション仕様にすることが必要になります。しかし、三井ホームで家を建てた実体験から、これはあまりお勧めできません。今回は、その理由をお伝えしたいと思います。

多くのハウスメーカーは断熱性能を上げるオプションを用意しています。最も一般的で簡単な方法は、熱貫流率の低い窓シリーズにアップグレードすることです。この1つめの問題点は、窓に関して標準より選択肢が少なくなることです。標準仕様と比べると、選べる窓のタイプ、デザイン、防犯ガラスの可否などで制約が付いてしまいます。工務店なら問題ないかもしれませんが、大量発注でサッシメーカーと提携しているハウスメーカーではハウスメーカー固有の仕様が決まっているため、選べるオプションが限定されるようなのです。無理を言えば対応できるかもしれませんが、担当者に手間をかけさせ、費用が割高になる可能性があります。

もう1つの問題は、断熱性能を上げると、最適な空調システムが変わってくるということです(詳しくは「全館空調 vs. エアコン(全館空調のメリットが得られる条件)」を参照)。断熱性能だけを上げると標準の空調システムは過剰になりますが、それではどうすればいいかというノウハウはそのハウスメーカーにはありません。各部屋にエアコンを設置する必要がなくなるとして、間取りをどのようにして、どこにどのくらいの馬力のエアコンを設置するべきかという疑問に対する回答が出てきません。最適な方法についての情報は、より高断熱な仕様を標準としているハウスメーカーの住人や展示場などから自分で入手する必要があります。空調の設計は専門で容易に判断できるものでもないので、どうしても確証が持てない点が残ってしまうのです。

気密性能については、もっとやっかいです。気密性能を上げるのは断熱性能ほど簡単ではありません。設計段階では発泡系の吹き付け断熱材を選択すれば改善が期待できますが、どこでも用意されているオプションではありません。また、引き違い窓を減らすことで多少は改善できます(C値で最大0.5程度)が、利便性を損なうわけにもいきません。また、高気密を実現するには、設計だけでなく施工時の配慮もとても重要になります。開口部・配管・コンセントボックスまわりなどの細部の気密処理を適切に行う必要があり、経験も要求されます。

そして実体験から一番苦労したのが、高断熱・高気密の必要性が関係者に理解されず、真剣に取り組んでもらえないということです。最初から高断熱・高気密に対応しているハウスメーカーは当然そのメリットを理解していますが、そうでないハウスメーカーは標準仕様で十分だと思っています。ペアガラスというだけでも昔の住宅と比べればずっとマシだからです。また、日本の住宅の気密性が世界的に低レベルであり、問題があるということも一般にあまり知られていません。そのため、高断熱・高気密の仕様を要求しても、面倒臭い施主だとしか思われないのです。前述のように多方面に影響が出るため、簡単に対応できることではないからです。そうして、暗にオプションをやめるように誘導されたり、要求を忘れられたり、きちんと施工できていなかったりという問題が起こるのです。

標準仕様で高断熱・高気密に対応しているハウスメーカーであれば、こうした問題はなく、打ち合わせでは間取りやデザインに集中でき、ストレスが減ります。そういうわけで、標準仕様は重要なのです。

コメント

  1. kasu より:

    はじめまして
    参考というか、自身がメーカーさんに頼めなかったところや、様々な矛盾、あの業界のおかしなところを、批判や、予断ではなく、経験則と、業務経験を踏まえられた知見をおまとめいただき、自身の認識として得心できる部分が多く、拝見させていただいております。
    コンシュマー側が賢くなることと、国の政策の有り様が変わっていかないとなかなか難しいと感じていますが、一歩でも良い方向に変わっていく資となるよう、私のほうは、比較すると内容が拙過ぎますが、参考にさせていただきたく思いコメントさせていただきました。

    • さとるパパ より:

      コメントありがとうございます。住宅については調べれば調べるほどに疑問が生じてくるので話題が尽きません。何らかの参考になっていただければ幸いです。一条工務店が躍進したように高性能重視の消費者も増えているので、その傾向を後押しし、住宅業界全体のレベルが上がっていくことを期待したいと思っています。

      国の政策については、不当な広告を規制する消費者庁には期待していますが、経産省や国交省には失望することばかりです。住宅業界の顔色を伺ってばかりの住宅政策や補助金ばかりのエコ政策は住宅業界の存続を支援して淘汰を遅らせているだけであり、消費者のためにならず、むしろ歪みの元になっていると感じています。改善するとよいのですが。。

  2. 伊豆川達也 より:

    静岡市で2x4(2x6)工法専門の工務店をしています。
    さとるパパさんの主張する標準仕様が当社の標準仕様とほぼ一致していて嬉しくなりました。
    静岡は温暖と言われていますが、新住協の1.0住宅も、Q値で1.4、UA値で0.38程度の外皮性能が必要と言っていますので、2×6の140㎜にHGWの充填断熱+樹脂のトリプルガラスサッシ+熱交換換気(70%以上)で丁度の数値になります。
    基礎に関しては新住協で流行り(笑)の基礎断熱にすることで、床暖房がわりの「床下エアコン」がコスパに優れているため、当社のブームになっています。
    一条さんのスペックにはちょっと及びませんが、付加断熱をしない分お安くできるので、この組み合わせがベストではないでしょうか。

    宜しければ、以下のサイトをご覧ください。
    http://diyhome.co.jp/costperformance/

    • さとるパパ より:

      コメントありがとうございます。
      サンキハウスさんのサイトを拝見しました。売り手ではなく、住む人のことを考えた、まさに理想的な住宅を提供しておられると感じました。私はもう家を建ててしまいましたが、近所でないことが悔やまれます。基礎断熱+床下エアコンは三井ホームでは無理だろうと検討しませんでしたが、西方里見氏の著書で知り、気になっておりました。一条工務店はオーバースペックであり、床暖房がもったいないと思います。

タイトルとURLをコピーしました