樹脂スペーサーとアルミスペーサーの断熱性能差は大きくないが…

細かい話ですが、複層ガラスにはスペーサー(Spacer)と呼ばれる部位があり(下図)、その材質によって樹脂スペーサーとアルミスペーサーに分けられます。

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リクシルのサーモスXでは樹脂スペーサーが標準ですが、YKK AP の APW330 などではどちらの仕様もあり、熱を通しにくい(=断熱性能の高い)樹脂スペーサー仕様が上位仕様として選べるようになっています。

「APW330 樹脂スペーサー仕様」発売
YKK AP株式会社のプレスリリース(2014年9月18日 14時30分)発売

防火窓がアルミスペーサー限定なのは仕方ないとして、ほかは全部 樹脂スペーサー仕様に統一してくれればよいと思うのですが、住宅会社によっては樹脂スペーサー仕様を採用することが困難な場合があります。アップグレードする際の追加費用も、住宅会社によって差があるようです。

この樹脂スペーサーに関して、調べてみると効果について非常に紛らわしい説明が多かったので、気づいた点をこの記事で整理してみたいと思います。

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樹脂スペーサーで断熱性能13%アップの誇張

樹脂スペーサーはアルミスペーサーより熱伝導率が低いので、断熱性能に優れます。
しかし、YKK AP のカタログに書かれている、「断熱性を約13%アップ」というのは大袈裟です。

APW330アルミスペーサー仕様に比べて断熱性が 13% 高いと書かれているのですが、この比較には問題があります。樹脂スペーサー仕様は「アルゴンガス入り」であるのに対し、アルミスペーサー仕様は「ガス無」のタイプのもので断熱性能が比較されているのです。

なんでこんなにセコいことをするのでしょう。。。

実際の熱貫流率データをカタログで比べてみると、スペーサーの種類による断熱性能の差は 4% 前後です(種類やサイズによる)。

住宅の断熱性能にとって窓は大事ですが、それでも、窓の断熱性能だけが 4% 改善したところで、住宅全体の断熱性能はほとんど変わりません。

当サイトの断熱性能簡易計算ツールで試算したところ、アルミスペーサー仕様から樹脂スペーサー仕様に改善したところで、Q値の差は 0.02 ほど、UA値では 0.01 ほどしか改善しません。

樹脂スペーサー仕様のカタログでは、「アルミ複層ガラスサッシと比べて年間の冷暖房費を約29%削減します」なんて書いてありますが、そんな現実離れしたシミュレーションを鵜呑みにすることはできません。

重要なのは局所の表面温度の違いと結露

と、ここまでは酷評しているようですが、アルミスペーサー仕様の住宅に住む私は、樹脂スペーサー仕様を本当に羨ましく思います。
それは、住宅全体の断熱性能の問題ではなく、樹脂スペーサーには結露を抑制する効果があるからです。

下図は、前出の APW330 樹脂スペーサー仕様のカタログにある図です。こちらはアルミと樹脂を同じガス入りの条件で比較しており、外気温0℃、室内温度20℃という条件についても、不自然な点はありません。

これを見ると、表面温度に 3 ℃の違いが生じています。注意点を挙げるとすれば、これは窓全体の温度差ではなく、窓ガラスの下端部の局所的な温度差であるということです。
が、窓の結露にとって、この局所はとても重要です。

なぜなら、わが家のアルミスペーサー仕様の APW330 を見ると、真冬、まさにこの部分で結露が発生しているからです。

参考 ペアガラスの結露の発生量を実際の画像で比較する

わが家の地域は氷点下になることもあり、冬の室内温度は 22~23 ℃です。加湿も行っており、上記より結露しやすい条件なので、結露するのは当然です(ハウスメーカーの営業担当者は結露しないと言っていました…)。

参考 結露が発生する条件および対策

毎年結露が発生しているので、掃除しにくい箇所ではカビも発生してしまっています。

参考 APW 330に発生してしまった黒カビの対策

もし樹脂スペーサーであったなら、表面温度がより高く、カビが生えることもなかったのではないかと思っています。

実際、近所にある、窓以外がわが家と同じ仕様の住宅では、樹脂スペーサー仕様のサーモスXを使っていて、結露やカビは発生していない様子です。

今度、実際にアルミスペーサーと樹脂スペーサーとで窓の表面温度の違いを実測し、こちらのページで追加報告したいと思います(内外温度差が大きい時期でないと無意味なので、1月~2月頃を予定しています)。

なお、樹脂スペーサーは重要ですが、準防火地域や三井ホームなどでは採用しづらいケースもあります。追加のコストが大きい場合は、あきらめましょう。私のように。

また、結露が発生するかどうかはスペーサーだけではなく、外気温と室内空気の温湿度の条件が強く影響します。暖房と加湿をしっかり行うとアルミスペーサーの樹脂サッシでも結露が発生することはわが家で証明済みですが、そうでない場合は問題ないかもしれません。

参考 空気線図でわかる相対湿度と絶対湿度、結露と乾燥の関係

コメント

  1. torikaji より:

    こんにちは。我が家の計画中、ほとんど全部読ませていただいて、大変参考になりました。
    どうもありがとうございます!

    下記のページに、昨年新築後、初めての冬に撮った我が家のAPW330アルミスペーサー防火窓、APW331樹脂スペーサー、アルミ樹脂複合サッシ防火窓(YKKAPは全部アルゴン入り)の冬のサーモグラフィを載せてますので、もしかしたらご参考になるかもしれない、と思ってコメントしました。
    https://torikaji.muragon.com/entry/91.html

    ただ、氷点下ではないですし、枠の材質や窓の気密の差の方が際立ってしまい、スペーサーの違いはよくわからないデータですので、あくまでもご参考程度に。

    • さとるパパ より:

      情報提供ありがとうございます!
      サーモグラフィーがあると視覚的にわかりやすくて良いですね。
      記事で書き忘れましたが、結露に対してはスペーサの違いよりも、アルミ樹脂複合サッシと樹脂サッシの違いのほうが圧倒的に大きいですね。
      また、窓の結露は温度だけでなく、隙間の気流も影響することを忘れていました。冬になったらまた調べ直して記事も改めたいと思います。
      ありがとうございました。

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