結露が発生する条件および対策

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冬の結露は悩ましいものです。幸い、今住んでいる戸建住宅では悩まされるほどの結露は発生しません(参考記事:全館空調と結露)。

しかし、以前住んでいたマンションでは、北側の窓の結露がひどく、窓枠の木部が痛んだり、サッシや周辺にカビが生えたりと、ずいぶん悩まされたものです。ヒマなときは拭き取ったりしていましたが、拭いてもすぐに新しい水滴が付いてしまうため、被害が多少マシになる程度でしかありませんでした。

窓用の断熱シート(プチプチ)を貼っても改善することはなく、カーテンにまでカビが生える状況でした(参考記事:窓の断熱シート等がお勧めできない理由)。

一方、同じマンションでも、結露に悩まされずに暮らしている人もいました。

結露の発生する家としない家とは、何が違うのでしょうか。

結露はどのようなときに発生し、どうすれば抑えることができるのでしょうか。

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結露が発生する条件

結露が発生するのは、空気中の水分が、その空気が保持できる水蒸気量の限界を超えたときです。空気が保持できる水蒸気量は温度によって大きな差があるため、結露は空気が冷やされるところで発生することになります。

結露が発生する温度(露点温度)は、室温相対湿度によって決まります。具体的には、次の表のようになります(※)。

※この数値は株式会社第一科学が公開している湿度の計算式を利用して算出したものです(参考ページ)。

この表では、たとえば、室温 20 ℃で湿度が 40% のとき、6 ℃以下の物体があるとその表面に結露が発生することがわかります。住宅の室内側において最も冷たい場所は、熱を通しやすい窓ガラスやアルミサッシです。この温度が 6 度を切ると、結露が発生することになります。

この表をよく見ると、結露を防ぐためのヒントがたくさん見つかります。

結露を防ぐ方法

結露を防ぐには、次の対策が有効です。

・部屋の湿度を下げる
・室温を下げる
・窓の断熱性能を上げる

それぞれ詳しく検討したいと思います。

湿度を下げる

湿度は低ければ低いほど露点温度が低くなるため、結露が発生しにくくなります。しかしながら、結露が発生する冬は、乾燥に悩まされる季節でもあります。

乾燥していると健康や肌にもよくないため、 40% 程度の湿度は維持したいものです。

結露対策としてできることは、湿度を上げすぎないことです。

高断熱・高気密住宅は乾燥する?」で解説しているように冬は一般に乾燥するものですが、条件によっては湿度が過剰になることがあります。

また、家全体の平均では乾燥していても、住宅の一部で湿度が過剰になっていることもあります。

4 人家族の住宅において発生する水は 1 日に 9.4L もあり、多い順に、人体からの発散(4L)、炊事(1.6L)、入浴(1.3L)、家事、洗濯乾燥と続きます(参考:『最高の断熱・エコハウスをつくる方法』p.224)。

冬に発生する水蒸気は乾燥対策として利用することもできますが、たとえば浴室の結露が問題になる場合は、入浴後に水気を切ったり、空気を循環させるようにすると良いかもしれません。

これらの湿度が問題にならないようにするために一番重要なことには、きちんとムラなく換気を行うことです。24 時間換気を停止すると結露が大変なことになりますが、これは見方を変えると換気が結露対策に有効であるということでもあります。

ただし換気は過剰に行うと暖房が効かなくなるので、やりすぎにも注意が必要です。建築基準法で定められた 1 時間に 0.5回程度の換気をしっかりと行ったうえで、湿度がたまりやすい(=寒い)ところで空気のよどみが生じないようする工夫(物を置かないなど)が重要になります。

また、灯油を使う暖房器具を利用している場合、燃焼により発生する水蒸気量も結構な量になるので注意が必要です。結露が大量発生するほど気密性能が高い住宅で灯油式ファンヒーターを使うことは健康上も良くないので、別の暖房方式を検討したほうがよいかもしれません。

なお、乾燥対策として加湿器を使うのであれば、湿度に関係なく加湿し続けるタイプより、乾燥状況に応じて加湿量が変わる気化式が望ましいこともあります(参考:加湿器は気化式かスチーム式か、それとも…)。

室温を下げる

上の表でもわかるように、室温を下げることも有効な結露対策になります。寒いのはイヤですが、相対湿度 40 % を目標として、結露が発生しないギリギリの室温以下になるように調整する方法も考えられます。

つまり、寒さ、乾燥、結露のどれを重視し、どれを犠牲にするかのバランスを探るわけです。

しかしながら、根本的な問題は、部屋間に温度差があることです。部屋間の温度差が大きいと寒い部屋で湿度が高くなってしまうため、湿度管理も難しくなります。

リビングが室温 24℃、相対湿度 40% であるとすると、その絶対湿度は 8.7g/㎥です。室温 10 ℃ の部屋も絶対湿度が同じだとすると、その相対湿度は 90% を超えてしまいます。北向きの寒い部屋で結露が激しいのは、このためなのです。

部屋間の温度差を小さくする方法はというと、断熱性能を上げて熱の逃げ道をふさぐことです。熱が一番逃げやすいのは窓なので、結局、窓を高断熱な窓にすることが結露を防ぐ最良の方法なのです。

窓の断熱性能を上げる

これまでに紹介した窓以外の対策では、結露を減らすことはできても、完全に防ぐことは困難かもしれません。また、結露をなくすと別の面で犠牲が生じるという問題があります。

初期投資のみの究極の解決策は、窓の断熱性能を上げ、窓の表面温度(=室内の最低温度)を上げることです。

高断熱でない窓の場合、外気温の影響を受けて窓の室内側の表面温度が低くなるため、ここで結露が発生します(サッシも同様。特にアルミサッシ)。

一方、高断熱の窓では窓の室内側の表面温度が高く保たれるため、これが露点温度以上であれば結露は発生しません。

次の図は、窓を挟んだ室内外の温度(赤線の高さ)のイメージです。わかりにくかったらスミマセン。

 

高断熱窓では温度差が小さく、露点温度以下になりにくいことがわかっていただければ幸いです。

なお、窓の表面温度を上げる方法として、カーテンを閉めないという裏技(?)もあります。カーテンという遮るものがないと、室内の暖かい空気で窓が直接暖められるようになります。

特に断熱カーテンは、単板ガラスの住宅できちんと取り付けた場合には部屋を暖かくする効果があると思いますが、カーテンと窓の間の温度が下がり、窓の表面温度はさらに下がるため、結露はよりひどくなる恐れがあります。

ついでに、冬の壁内結露についても触れておきたいと思います。

壁内部の温度変化は、次のようなイメージです。室内の空気が触れるところは温度差が小さいため、結露が発生しません。

室内の空気は、通常、壁と室内との間にある防湿気密シートで遮断されています。これにより、室内から発生する水分が壁の中に侵入することはありません。

しかし、この気密シートにすき間があるとしたらどうでしょうか。水蒸気を含んだ暖かい空気が壁内に入って冷やされ、結露が発生する可能性があります。気密が重要なのは、これを防ぐためでもあるのです。

なお、多くの工法では、外壁の外側に通気層があり、壁内に侵入してしまった水分も外壁の外に排出されるようになっています。

よく、壁内結露でグラスウールがずり落ちて壁が腐っているという衝撃的な写真を見かけることがあります。しかし、あれは高断熱住宅や断熱材の問題ではなく、欠陥住宅(気密シートを貼っていない、換気を行っていないなど)の問題と認識しています。

内窓はどうか

マンションなどでは防火や規約の関係で窓の交換が難しいことがあります。そこで有効なのは、ペアガラスなどの内窓を設置するリフォームです。

内窓と既存の窓との間に空気が入り込む隙間があると結露を完全に防ぐことはできないかもしれませんが、部屋間の温度差も小さくなるため、結露対策としての効果も期待できるのではないでしょうか。

なお、窓の断熱性能を上げることは、冷暖房費の削減効果も大きく期待できます。可能であれば、高性能な窓を採用することをお勧めします。

参考
ペアガラスの断熱性能はピンキリで、その差は 3 倍以上!
窓の断熱シート等がお勧めできない理由
住宅の高気密化はアレルギーの原因か?
高気密・高断熱住宅に関するまとめ(記事紹介)

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