屋根の断熱材は 140mm で足りない?猛暑日に測定した結果… | さとるパパの住宅論

屋根の断熱材は 140mm で足りない?猛暑日に測定した結果…

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三井ホームの屋根の断熱が弱いのではないかという記事を以前書いたのですが、どの程度問題なのかがビミョーだったため、先日購入した放射温度計を使って猛暑日に確認してみました。

三井ホームでは8インチDSPパネルの製造が中止されたため、現在は標準以上の屋根断熱にすることは困難ですが、「300mm 程度にする必要はあるのか」などとお悩みの方の参考になれば幸いです。

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測定結果

測定は、屋根面が一番熱くなるであろう日、時間帯を選んで行いました。

午後の天井温度と室温の差

その結果、室温が 24.0 ℃、外気温が 32 ℃のとき、屋根の室内側にあたる勾配天井の壁紙の表面温度は 25.4 ℃でした。

天井の温度はピーク時で室温 +1.4 ℃ということになります。

なお、日射の当たらない外壁方面の壁紙は 24.4 ℃、日射の当たる西側の外壁方面の壁紙は 25.0 ℃でした。

このことから、+1.4 ℃のうち、0.4 ℃程度が室温と外気温の差の影響で、1.0 ℃程度が日射で屋根が熱くなった影響ということでしょう。だいたいですが。

夜まで暑い?

この +1.4 ℃の温度差は 18 時にも続き、21 時で +0.8 ℃と下がったものの、影響はまだ残っていました。
後述する条件のせいもありますが、屋根の熱の影響は日が沈んでしばらく経っても続くようです。

暑さが一番気になる時間帯に影響してくるのは厄介なことです。

参考 夏の日射熱対策のカギは西日にあり。その理由と対策

測定条件など

わが家の屋根の断熱材は EPS で、熱伝導率 0.038 W/m・K、厚さ 140mm です。熱抵抗値 は 4 を切る程度になります。

断熱方式(屋根断熱・天井断熱)ごとの仕様基準値などは以下の記事を、
壁・天井(屋根)・床に必要な断熱材の厚みはどの程度か?

熱抵抗値などの計算は以下のツールをご参照ください。断熱材は厚さだけでなく、熱伝導率も大事なので。
断熱材の熱伝導率と厚さから熱貫流率Uおよび熱抵抗値Rを計算するツール

測定日は 8 月初旬、最高気温 34 ℃の良く晴れた日に行いました。5 月の 30℃くらいになった日にも測定してみましたが、1 ℃も差がなかったので真夏を待っていました。

屋根材は黒色の瓦です。測定した部屋の屋根瓦の温度は測定できないため、別の屋根を測定したところ、12 時頃で表面温度は 67 ℃まで上がっていました。測定した部屋の屋根でも 70 ℃近くまで上がっていることが予想されます。ちなみに瓦は平たんなスレート屋根やガルバリウム鋼板屋根よりも空気層が大きいので、屋根材の熱を少しは軽減できているかもしれません。

また、方位も影響するでしょう。わが家は太陽光パネルを付けていないので南向きに傾いている屋根はなく、測定した部屋の屋根は西向きに傾いています。南向きの屋根であれば、最高温度はもう少し高いでしょう。方位によって暑くなる時間帯も変わってくると思われ、測定した部屋は太陽が西に傾く夕方の時間帯が一番高温になっていました。

測定では、室温は室内側の内壁の表面温度と同じであると見なしました。参考までに、明け方の時間における室内の表面温度は、天井面と外壁方面(東・北・西)でほぼ同じでした。

結果から思ったこと

この結果はやっぱり微妙です。もっとも暑くなる条件下でも表面温度が +1.4 ℃になる程度なので、ややボリュームを失いかけた頭髪で生活していても、天井からの熱を感じることはありません。冷房費は若干高くなっているかもしれませんが、それほど大きいとも思えません。

しかし、こう感じるのは、「空調が効いている部屋だから」というのも大きい気がします。エアコンを付けていない部屋だったり、1 台のエアコンで家中を冷やそうとしている場合には、この影響が大きくなり、多少の暑さを感じるようになるのではないでしょうか。以前、「エアコン1台での全館冷房が全館暖房よりも難しい理由」に書いたように、冷房期には少しの温度差が体感では大きな差に感じられるものなので。

超高断熱な住宅会社が屋根(または天井)断熱にこだわるのは、部屋別エアコンではなく少数のエアコンで家中を冷房することが多いことと関係がありそうです。全館空調を売りにしている三井ホームの屋根断熱が低めで、住友林業などが割としっかり天井断熱を入れているのも、そうした冷房方式の違いが影響しているのかもしれません。

そんなわけで、かんたんに安く高断熱にできるなら高断熱に越したことはないですが、三井ホームで全館空調を付ける場合などには、無理して対応するほどでもないかな、と思います。

なお、わが家は 140mm の断熱材があるからマシですが、100mm 以下などになると、やはり問題に思います。屋根や天井の断熱が足りないことによる悪影響は、断熱材が少ないほど著しく大きくなるし、天井面の熱は体感温度的にも影響しやすいからです。

以前、壁の遮熱の記事で紹介した、鎌田先生の著書『本音のエコハウス』にある下図をもう一度掲載しておくので、ご参考までに。

ついでに書いておくと、猛暑日にいろいろ測定した結果わかった表面温度最高の箇所は、南向きベランダで、なんと 90 ℃超でした。直射日光と、遮熱型 Low-E ガラスに反射した光のダブルで、窓の外側が局所的に暑くなっていたのです。どうりでサンダルが溶けるわけです。

コメント

  1. tech より:

    いつも記事を楽しみに拝読しています。
    私も三井ホームで新築し、7月から入居しました。
    2019年仕様の屋根断熱ですが、勾配天井にしたため、DSP+厚さ55mmのロックウール仕上げと記載がありました。
    ただし、設計士さんからは55mmのロックウールはどちらかと言うと、断熱ではなく、雨音などの遮音が目的と説明を受けました。

    どのようにロックウールを仕込むのか興味があったので、着工後に大工さんから教えてもらったのですが、ロックウールを仕込むために、DSPの下にツーバイフォーでを枠を組むため、物理的には90mm厚までのロックウールが入れられるようです。
    6インチのDSP+90mmのロックウールであれば、それなりの断熱性が期待できそうですね。

    • さとるパパ より:

      最近の情報を教えていただき、ありがとうございます。
      わが家は勾配天井でも6インチDSPのみで遮音性も気になりませんが、最近の仕様はより改善されているのですね。
      屋根の遮音性は屋根材によっては問題になるかもしれず、断熱的にも熱抵抗値 5 以上をクリアできるようになるので、
      55mm や 90mm のロックウールはあったほうがよいと思いました。

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