日射で暖められた外壁のせいで暑くなる?アルミ遮熱シートは効く?

「日射熱によって外壁が熱くなり、夏は高温になった壁からの輻射熱で夜になっても暑苦しさが続く」という説明を見ることがあります。だからこそ、外壁面でも遮熱が重要だ、という結論が導かれることもあります。

これが本当なのか、考えてみました。

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アルミ遮熱の効果と断熱材の効果

まずは、とあるアルミ遮熱材付き断熱材の広告における実験結果を見てみることにします。

以下のグラフは、夏に外壁に日射があたる状況を想定した試験結果です。
外気温 30℃、室温 25℃の条件で、外気側(左)から 800W の照射熱を加えています。
赤線がアルミ遮熱材付き断熱材で、点線はアルミ遮熱材のない従来品の断熱材です。

外壁外側の表面温度は 70℃ほどもあって、通気層で緩和されるものの、通気層内側・断熱材外側の温度には大きな差が生じています。
壁内の温度差はどうでもよいとしても、壁の室内側の表面温度を見ても、それぞれ 26.5℃(室温 +1.5℃)、27.9℃(室温 +2.9℃)とまあまあの違いが発生しています。

外気側から室内側へ侵入する熱量(貫流熱量)を比較すると、それぞれ 13.1 W/㎡、25.1 W/㎡ となり、従来品より約 48% の削減になるとのことです。

このようなデータを見ると、よほど疑い深い人でなければ、壁の日射熱の影響は無視できないから対策したほうがよいと思うのではないでしょうか。

しかし私としては、以下の点が引っ掛かります。

宣伝広告と実際で異なること

上記の試験結果は不自然に差を強調しているところがいくつもあります。

実際の影響は一部の方角のみで一時的

上の実験では外壁への日射の想定として、800W の照射熱量が想定されています。

しかし、『エコハウスのウソ 増補改訂版』 p.214 の下図によると、壁(垂直面)に入射する日射量は夏至の西面 16 時頃が最大であり、600 W/㎡ 程度です。

一番暑いお盆の頃ではピークはもっと弱まります。また、壁面への日射強度が大きいのは東面と西面だけで、それぞれほんの一時の話です。

上記実験の盛った条件下で、6 面のうちの 1 面が一時的に数℃高くなることは、問題なのでしょうか。

外装材の表面温度はそれほど高くならないし、すぐ冷める

実験では外装材の表面温度が約 70℃になっていますが、屋根ならまだしも、壁が本当にそんな温度になるのでしょうか。

放射温度計を買ったので夏になったら測ってみようと思うのですが、参考までに、5 月中旬にわが家の外壁面(白系のモルタル外壁)を測定して回ってみました。最高気温 27℃のよく晴れた日の昼から夕方にかけていろいろ測定したところ、最高は 16 時の西面で 49℃でした。南面はだいたい日陰になりますが、日なたでも最高で 41℃(13 時)でした。その他の時間は、もっと気温に近い(低い)温度です。

実験で 70℃になっているのが照射熱量のせいなのか、暗色の外装材を使用したのかはわかりませんが、この感じでは、真夏の最高時でも 55℃くらいではないかと思います。

また、これらの温度は日陰になるとすぐに下がり、いつまでも熱を保つという現象は見られませんでした。

「壁の温度が下がらずに夜まで輻射熱が出続ける」というのは、熱容量の大きい鉄筋コンクリート造りの壁で断熱・遮熱ともに無対策なら起こるのかもしれませんが、木造住宅にとっては関係ない話なのではないでしょうか。

断熱材の効果を考慮すべき

上記の実験で見逃されがちなのに重要なのは、断熱材の効果です。外側の表面温度が高いのに室内側の温度がいずれも室温に近いのは、断熱材(+ 通気層)のおかげです。断熱材外側の温度には約 12℃もの差がありますが、断熱材の室内側のピンポイントでは温度差はほとんどありません。

なお、赤線の製品と点線の従来品との違いはアルミ遮熱の有無だけでなく、断熱性能も異なります(熱伝導率:赤線 0.021、点線 0.024 [W/(m・K)])。実験条件に断熱材の厚みが明記されていませんが、仮に 50mm 厚とすると、その熱抵抗値はそれぞれ 2.4、2.1 となり、結構な違いがあります。

つまり、この実験では、純粋にアルミ遮熱材の有無による効果を測っていません。この製品の場合、アルミ遮熱材があることで一部発泡プラスチック系断熱材の欠点である経年劣化を防いでいる(どの程度かは不明)とのことなので、熱貫流だけを考慮すべきではなく、アルミ遮熱材の必要性は判断できません。しかし、アルミ遮熱材を利用しているがため、電波受信妨害のデメリットがあることには注意が必要でしょう。

とりあえず、高断熱であればあるほど、遮熱の必要性は低くなります。

参考 遮熱材が効くところ、効かないところ

断熱材の厚みが室内の表面温度にどれだけ影響するかというのは、鎌田先生の著書『本音のエコハウス』にある以下の図がわかりやすいです。


(注:床表面温度の線の色が凡例とグラフで合っていない気がします。おそらく紫色の線です。)

この図は外壁外側を 50℃と想定しており、最初の実験よりも実態に近いデータのように思います。

実際、断熱材 140mm 相当のわが家で外壁外側が高温(49℃)になっていたとき、西面の外壁内側の表面温度は他の内壁よりも 0.7℃高くなっていたので、ほぼ一致しています。

この図からは、室内側の表面温度の上昇幅は、断熱材の厚みに反比例するように小さくなることがわかります。断熱材が 50mm 以下では室内にそれなりに影響しそうですが、ある程度の断熱材があれば影響は小さそうです。どれだけの厚みなら問題ないというレベルを示すのは難しいですが、概ね省エネ等級 4 の断熱仕様レベルであれば表面温度の室温との差は 1 ℃未満になり、問題ないと言えるのではないでしょうか。

なお、この断熱材は高性能グラスウール16K なので、熱伝導率は 0.038 でしょう。大事なのは熱貫流率または熱抵抗値なので、熱伝導率の異なる断熱材の厚みを知りたい場合はこちらの換算ツールをご利用ください。

たとえば、熱伝導率 0.021 の 50mm 厚ならば、このグラフの 90mm 厚に相当します。

窓の影響も無視できない

ここでは夏に西日が当たる壁面からの熱を検討していますが、夏の西日が当たる状況では、壁だけでなく窓から入る熱量も無視できません。

最初の資料には壁の熱貫流量のデータも示されており、従来品の貫流熱量は 25.1 W/㎡ と大きそうですが、これを窓からの貫流熱量と比較してみましょう。

夏至の西面の最大日射量は 600 W/㎡ なので、遮熱型 Low-E ペアガラスの日射熱取得率を 40% とすると、その貫流熱量は 240 W/㎡ です。壁とは一桁違います。

ただ、面積としては壁のほうが大きいものです。窓面積:外壁面積の比率を 1:5 として考慮すると、その貫流熱量は窓と壁で 240 : 126 となります。面積を考慮しても、窓からの熱の影響のほうが大きいことになります。

壁の遮熱・断熱にこだわるよりも、窓(特に外部)での日射遮蔽に気を付けたほうが効果的であることがわかります。

参考 夏の日射熱対策のカギは西日にあり。その理由と対策

暑苦しさが続く原因は?

そんなわけで、外壁を通じた日射熱の影響は、50mm 厚の高性能でないグラスウール断熱が一般的だった頃の住宅はともかくとして、断熱材がそれなりに使用されている近年の住宅にとってはあまり大きくなさそうです。

いまどき壁内部の遮熱が効くと主張している住宅会社は、効果を科学的に判断できないか、自社の断熱材が少ない(=冬が寒い)と言っているようなものだと思います。もしかしたら、科学的な効果よりも、単なるセールスポイントの一つとして考えているのかもしれません。

ただ、実際問題として、高断熱住宅では冷房を使用しないと暑いという声もあります。冷房を使用すればよいのですが、その効果的な使用が難しかったり、電気代が高くつくといった問題もあります。この原因は、日射熱と内部発熱、そして換気にあると考えています。これについて、次回詳しく検討したいと思います。

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