高断熱住宅のメリットなどを説明する際に、「冷輻射」という言葉が使われることがあります。Google検索でトップ表示されるページでは、次のように説明されています。
暖房していて部屋の温度は高いのに、窓ガラスの近くに居るとゾクとするのは、自分が発生している輻射熱が冷たいガラスにどんどん吸い込まれてしまうから底冷えを感じるわけです。これが冷輻射です。
引用:https://hyuuga.co.jp/shittoku/shittoku_02_22.html
西方里見先生の近著『最高の断熱・エコハウスをつくる方法 令和の大改訂版』p.198 にも、次のような記述があります。
ガラスの室内側の表面温度が 16.8℃となり冷輻射を感じる
しかしながら、私はこのような説明を読むたびにいつも引っ掛かります。
熱輻射のエネルギーはシュテファン=ボルツマンの法則(Wikipedia)のとおり熱力学温度の 4 乗に比例するので、絶対に正(プラス)の値になるはずなのに、「冷たい輻射熱」ってどういうことなのでしょうか?
冷たい窓に熱が吸い込まれるなんてことは、本当にあるのでしょうか?
高断熱住宅で太陽熱以外の熱放射まで考える必要はあるのでしょうか?
この問題について二宮金次郎ばりに考え続け、あるときは「市民のための環境学ガイド」の遠赤外線に関する似非科学撲滅の講演を読みなおしたり、またあるときは太陽の表面温度を輻射熱から計算してみたりして、ようやく少しわかってきた気がしたので、これらの疑問についての見解をここに書いてみたいと思います。
「冷輻射」はあるのか?
冷輻射という言葉から受ける印象は「温度を下げるビーム」ですが、その認識はあまり正しくありません。この問題について説明しようと思いましたが、エネルギー保存則や電磁波についての理解も必要なので、説明するのは簡単ではありません。
OKWAVE にちょうど同じ質問があり、ベストアンサーでわかりやすく説明されていたので、そちらをご覧ください。
要は、遠くのエネルギーをうばうビームのようなものは存在しない、ということです。
しかし、冬の窓際から感じる寒さは誰もが経験していることです。「冷輻射」があると考えるとわかりやすいのでそういう言葉が生まれたのでしょうが、もう少し物理的に正確な説明を考えたいものです。
冷たい窓の方向が寒いのはなぜか?
短く答えるなら、窓際が寒いのは、窓から受け取る輻射熱が他より小さいためと、冷たい窓で冷やされた空気が下から流れてくるため(コールドドラフト)です。
この輻射熱について、もう少し詳しく見ていきます。
シュテファン=ボルツマンの法則から、温度と放射エネルギー(輻射熱)の関係を表にすると次のようになりました。なお放射率※は 1 と仮定しています。
温度 [℃] | 放射エネルギー [W/㎡] |
---|---|
0 | 316 |
10 | 364 |
20 | 419 |
25 | 448 |
30 | 479 |
35 | 511 |
太陽光を垂直面で受けた場合がだいたい 1000 W/㎡ であることを考えると、なかなか無視できないエネルギー量です。ただ、この熱輻射はあらゆる物体が全方位に向けて放出するいっぽうで、周囲から受け取る熱輻射もあります。周囲全方位の温度が同じであれば収支はゼロになるので、大事なのはその差です。
人体について考えてみましょう。
以前、「「夏涼しく冬暖かい家」の科学(体感温度編)」にも書いた気がしますが、人間が寒さを感じるのは放熱速度しだいです。つまり、単位時間当たりでの、<放出する熱> から <受け取る熱> を引いた値です。
裸の人間の表面温度が 35℃、人間の表面積が 2 m2 であると仮定すると、放射エネルギーは約 1020 W にもなります。
次に、電磁波(主に赤外線)として受け取るエネルギーについて考えます。
周囲全方位の表面温度が 35℃であれば、同じだけの熱を受け取ることができ、収支はゼロになります。しかし、35 ℃の環境が暑いのは明らかです。
実際には、人体は 1 日2,500 kcal くらいのエネルギーを消費しています。このうちの熱エネルギーについて単位を換算すると、約 100 W です。このため、差し引き 920 W の熱を受け取ることができればちょうどいいことになります。
920W の熱を受け取ることができる周囲温度を逆算すると、27 ℃ でした。
現実には服を着ているため、もっと低い温度がちょうどいい室温となります。
ただ、室温が低いと、室温と体温の温度差に比例して対流熱伝達による熱放出が大きくなるため、そちらも考慮しないといけません。ついでに、本当は汗などの気化熱、足などからの熱伝導もあります。
やや脱線してしまったので、窓の話に戻り、窓との間の輻射熱の収支がどうなのかを検討します。
人体からの放射エネルギーについては、周りがどうであろうが変わりません。
いっぽう、窓から受け取る輻射熱は、人体を中心とする全方位に占める窓面積の割合によって決まります。つまり、熱輻射の影響は、窓が大きいほど、窓に近いほど大きくなります。
ただ、XY平面、YZ平面の各 360 度の立体で考えると、よほどの大窓に張り付かないかぎり、全方位に占める窓面積の割合は 1 割くらいではないでしょうか。
そう考えると、たとえ面積比 10% の窓の表面温度が 10 ℃ でも、その他 90% の表面温度が20 ℃であれば、上記の表から計算すると、受け取る放射エネルギーは 414 W/㎡ となります。これは周囲全体が 20 度のときの放射エネルギーの 99% であり、全体の温度が 19 ℃ のときの放射エネルギーと同等です。
1 ℃の温度差は感じられる程度ではあるし、それが一方向から集中するのであればなおさらです。
輻射熱の差によって窓から冷気を感じる、という状況は、なんとなく説明がついた、ということでよろしいでしょうか。
※ 放射率(Wikipedia)について補足します。
放射率は物体の熱放射のしやすさを表す 0~1 の値です。光が透過しない場合、放射率(=吸収率)と反射率の合計は 1 になります。金属では放射率が 0.1 以下の物体もありますが、非金属の放射率はだいたい 0.9 以上あります(参考:放射率の一覧)。
明るい色や透明の物体は小さい気がしてしまいますが、これは人間が可視光領域の波長しか認識できないために感じることであり、実際には、白色のエナメル、水、ガラス、人体の放射率(=吸収率)はどれも 0.9 以上です(条件にもよる)。
放射温度計(こちらなど)を使う際は、放射率が 0.95 固定のものが多いことと、距離対測定範囲の比が機種によって決まっていることにご注意ください。
16℃の窓は寒いか?
ところで気になるのは、表面温度 16 ℃の窓は寒いか?という疑問です。室温 20 度、外気温 0 度のときに Low-E ペアガラス中央部の表面温度はそのくらいになります。
これも上の例と同様に面積比で考えてみると、冷輻射を感じるというほどの影響はない気がします。わが家の Low-E ペアガラスの使用感としても、すごく近づくと少しだけ冷気を感じるかな、という程度だったように思います。
微妙なところであり、西方先生に盾突くわけではありませんが、大した問題ではないかと。私としては、床の温度と素材のほうがどちらかというと重要な気がします(床の温度に窓の性能も影響します)。
今度寒くなったら、全裸で 16℃の窓の前に立って確認してみようと思います。
参考 床の温度とカーペットやマット、床材、床暖房の相性について
追記:冬に全裸になるのは忘れていましたが、窓辺の温度状況については測定してみました。
▶ APW330で床温度が上がる効果をアルミ樹脂複合サッシと比較してみた
冷輻射は考慮すべきか?
ここまでのくだりで表面温度が大事といわれる問題の程度はご理解いただけたと勝手に思っているのですが、問題は表面温度を上げるにはどうすればよいか、ということです。
室内側の表面温度を上げるには、室内側にカーテンを設置すればよいと考えるかもしれません。たしかに表面温度は室温に近づき輻射熱の影響は和らぎますが、カーテンと窓の間の空間温度は下がり、下から流れてくる冷気は悪化するかもしれません。実際、カーテンだけで大幅に暖かくなる感じはしません。
結局のところ、暖房以外で窓の表面温度を上げるには、熱貫流率の小さい高断熱窓を採用するしかありません(結露を考えると、サッシの断熱性能 Uf も重要です)。
上のほうで表面温度 10 度の窓を考えましたが、そのような窓であればコールドドラフトが発生し、床温度なども低下しているはずです。これは輻射熱の低下だけでなく、足の冷えにもつながり、当然ながら不快です。
逆に窓を中心とする断熱の弱点にしっかり対応していれば、表面温度は室温に近づき、輻射熱の問題も自然と改善します。
低気密も同様に重要で、冷たい空気が隙間から入ってくると下部にたまるため、快適さを損ないます。
そんなわけで結論としては、断熱・気密にきちんと配慮していれば、表面温度や冷輻射を別の問題として心配する必要はない、と思います。太陽光以外の(常温域の)輻射熱は、熱を与えてくれる存在として期待する対象ではなく、高断熱化に取り組んで暖房を行った結果として得られるメリット、くらいに考えています。
「断熱よければ輻射対策は不要」という結論は、「遮熱材が効くところ、効かないところ」の記事で書いたことと同じです。
ここまで書いてからふと本棚を見てみたら、この「熱の移動」についてもっと的確にわかりやすく説明している本があったことを思い出しました。
第2章の説明は非常にわかりやすいし、ほかの章にも大事なことがたくさん書いてあります。いま思うと、大御所がみな「高断熱住宅」を「エコハウス」と表記するようになったのは、この本の影響でしょう。。
追記:断熱をしっかりすれば日射熱以外の輻射熱はあまり気にしなくていい、と書きましたが、断熱がちゃんと機能しているかどうかは、輻射熱を測定して室温と差がないかどうかをチェックすることで確認できます。一部の先進的な工務店などは、完成後にサーモグラフィによるチェックを行っていたような気がします。
そんなわけで、私も安い放射温度計(こちら)を購入し、三井ホームの屋根断熱や壁の熱橋部などに問題がないか、次の冬と夏にチェックしてみたいと思います。
さらに追記:購入後、外気温 3℃、室温 21℃のときにペアガラスの樹脂窓 APW 330(アルミスペーサ仕様)の表面温度を測定してみました。
カーテンのない窓中央の温度:18.6℃
カーテンのある窓中央の温度:16.4℃
カーテン表面:20.8℃
コメント
窓の外が十分に開けていればその通りですが、隣の家壁ふくめてある程度の距離に輻射体がある場合はそうとはなりません。基本的に輻射ふくめて放射体が面である場合、減衰以外において距離はあまり感がる必要がありません。(面スピーカーによる音の発生の場合きわめて遠方まで音が拡散されず伝達します)
その場合では窓の外壁との輻射差し引きおよびガラスの減衰をあわせると圧倒的に外壁の影響が大きく、冬場において温度差は人体36℃に対して壁面は0~10℃もっと低い場合もざらです。輻射率もガラスより高いです。
冷輻射をガラスだけで考えるのは限定的だと思います。
コメントありがとうございます。この記事で検討しているのは、タイトルにあるように「高断熱住宅」で室内の人体が受け取る輻射熱です。
そのため、室内側の壁面温度は20度以上あることを前提としています。ガラス面を重視しているのは、ガラス面が人体周囲で一番表面温度が低い箇所だからです。内壁表面温度が0~10℃になるような、ほぼ断熱のない住宅のことは想定しておりません。
語弊があるようですので、追記します。室内温度および壁面ではなく、ガラスの向こうの屋外壁面との熱バランスのことです。ガラスはLo-eガラスなど遮熱性能の高いものもありますが、一般的な窓ガラスにおいては可視光及び赤外線領域の透過率は高く、ガラス面にたいして人体発熱による輻射はほぼ素通りとなり、体表面との輻射を介した熱のやり取りはガラス面ではなく、屋外の壁面(隣の家など)とが主となります。そのうえでその表面温度は外気温とほぼ同じであり、体温との差が大きく、ガラス面方向への冷感となるのではないでしょうか。
誤解が生じた点がわかりました。そもそも、「ガラス面にたいして人体発熱による輻射はほぼ素通り」とはなりません。
36℃ほどの人体からの輻射のピーク波長は、ウィーンの変位則より計算すると、約9.4μm(遠赤外線)です。板ガラスの分光特性(参考PDF)を見ると、可視光および近赤外線領域の透過率は高めですが、遠赤外線の透過率はほぼゼロです。また、近年の高断熱住宅の窓ガラスはほぼすべてLow-Eガラスです。したがって、日射光以外の屋外からの輻射はほとんど窓ガラスを透過できず、屋外の表面温度は影響しません。
間違いがありますので、指摘します。
輻射というのは、熱の伝わる方法が、気流ではなくフォトンによるものです。フォトンというのは「光」ですが、赤外線から遠赤外線が人間が感じる波長です。ご存じのように光は一直線に放射されるので、空気に乗って伝わるものではありません。真空中でも伝わります。
建築設備では、輻射暖房、輻射冷房両方があります。輻射冷房で調べるといくつかヒットするでしょう。私の後輩は輻射冷房のシステムで特許も取得しています。
金属パネルに冷水を流して他の壁面より温度を下げ、その「冷輻射」で体感温度を下げるのが、輻射冷房です。冷たく感じるのは他の壁面からの輻射熱と比べて温度が低い輻射熱だからです。
同様に真冬の窓ガラスからも冷輻射が生じています。コールドドラフトは全く別のもので、冷えたガラス表面層の比重が重くなって下降することから生じる下向きの「気流」です。「輻射」ではありません。
Lo-Eガラスは、「低放射ガラス」と別に言われていますが、放射ではなく「熱線」を反射するガラスです。主な目的は熱線の反射にあります。
Lo-Eガラスは、砂漠の多いアメリカで総ガラス張りの建物を建てる目的で開発されたガラスで、夏の暑さ対策のために本来作られたガラスです。逆に使うと室内の熱もガラスで反射され戻ってくるので建物からすると低放射。それがLo-E low emissive と言われる所以です。
建物の設計では、輻射が最重要課題です。いくら高断熱の住居としても、夏場は暑いと感じる場合、天井からの輻射熱が大きいためです。屋根の熱が排出されないで天井裏に籠ると高い断熱性能と相まってなかなか冷えません。小屋裏喚起で排熱設計が上手になされていいないと高断熱は逆効果となります。
下に車庫などがある寒冷地のピロティでは、床裏の断熱性能がいくら高くても体感温度をなかなか高くできないのは、床面の輻射温度が低いためです。寒冷地では床下断熱を300ミリとして不足するのはよく知られています。
間違っても、「日射熱以外の輻射熱はあまり気にしなくていい」という言葉は設計の立場からは出てきません。素人がブログに書く分には好き好きですが、間違った情報を拡散するのはやめて頂きたい。
ご意見ありがとうございます。
ただ、どこが間違いなのかという点がわかりませんでした。「輻射が空気に乗って伝わる」などとは書いていませんし、輻射冷房という一般住宅で一般的でない冷房機器の存在は否定していません。
コールドドラフトと窓ガラスの冷輻射を混同してもいません。単板ガラスならともかく、室内側の表面温度が 20℃近い高断熱窓ガラスからの輻射は冷輻射と問題視するほどか?という話です。
夏場の天井からの輻射熱が問題とのことですが、ご指摘のケースの場合、本当の問題は小屋裏の換気不足や中途半端な天井断熱であって、天井面の輻射熱(高い天井表面温度)はその副次的な現象です。
寒冷地のピロティに関しても、当ブログは温暖地の高断熱住宅を前提としていますし、床面温度が低いのは全体の断熱性能と暖房方式の問題に見受けられます。床下断熱が300ミリで「不足」しているのではなく、床下断熱以外に問題があるのではないでしょうか。
また、「日射熱以外の輻射熱はあまり気にしなくていい」ではなく、「断熱をしっかりすれば日射熱以外の輻射熱はあまり気にしなくていい」と書いています。輻射冷房や寒冷地のピロティなどの一般的でない事例を持ち出したり、一部を切り取ったりしても、本記事の主旨を覆すものとは思えず、修正する点が見当たりませんでした。
当記事を書いたのは、「輻射熱が大事といわれている事象の多くは、実は別のところに根本的な問題があるのでは?」という疑問を投げかけたかったからです。その根本的な問題を見ずに、輻射熱を重要視するあまり、断熱・気密や暖房を軽視したり、高断熱なのに床暖房を激推ししたりする風潮に疑問を感じることがあったからです。その点をうまく伝えられなかったのは私の責任ですが、間違いというのであれば、よくお読みになった上で具体的にご指摘いただけると幸いです。
まさにその
「断熱・気密にきちんと配慮していれば、表面温度や冷輻射を別の問題として心配する必要はない」
が間違いです。
1. 熱貫流率は、熱の移動だけを計算するもので、輻射の程度の指標に関しては何も寄与しません。
2. 環境設計では、人間の快適性の指標に使われるプリミティブな指標はOT(グローブ温度)。
3. OTの較差限界は10度。窓、壁、天井、床からのOTの差をそれ以下にする。(壁面の表面温度では無い)
輻射熱は重要な指標。
ピロティの例
ピロティでなくとも、寒冷地では1階を車庫とする例が極めて多い。
屋外に置くと雪が積もるため。
車庫には暖房をしないので、実質的に車庫の上の室はピロティと同じ環境となる。
寒冷地では、「下に車庫のある部屋は底冷えする」というのは常識。
寒冷地の断熱性能は、現在は4等級相当が標準。窓も樹脂Lo-Eが標準。
そうであっても、部屋のコーナー、窓付近はやはり体感温度は低い。車庫上なら更に。
参考に、当方の個人住宅
三井ホーム(監督は私が直接大工に指示した)、45度切妻屋根、2階は、上り天井で屋根の形の室。
吹き抜け高さは、5メートルあって、居間と個室と食堂と玄関ホールと台所には仕切りが無く一体。
70㎡程度の広さでその高さの空間としている。
屋根は、2×10材を900毎に2段掛け渡し、懐寸法を500確保したうえでロックウールを300入れている。
通気層は、有効で10cmとし、軒と棟木すべてに換気スリットを設けている。
気流止めに構造用合板で通気層と仕切っている。
外壁は通期工法。
高さ5メートルの吹抜け上下温度差は、2度程度。この時の外気温は、外-18度室内22度。
木製サッシは当時U値1.0のヒートミラーガラスとしている。https://www.ngci.co.jp/pro/pro23_.html
車庫と個室の床間には、ロックウール300を入れている。
屋根につららは全く出来ない。築30年経つが躯体は全く健全。
それでも尚、車庫の上の個室、部屋コーナーは少し寒く、夏は屋根や壁からの輻射熱を感じる。
ヒートミラーも使い、実質4等級以上の断熱性能であっても冷輻射も感じる。
反省点
ダブルスキンとして通気層と外気の間の性能を上げて夏季の輻射熱の遮断を考えるべきだった。
車庫の間の断熱材は、500程度でも良かっただろう。
隣の似たような作りの住宅は、XPS200ミリでは夏の暑さが防げず、遮熱塗料を後に施工していたが、
当方も考慮すべきだった。
遮熱塗料として東西向きの壁面に受ける熱を低減して輻射熱を下げるべきだった。
(遮熱塗料はいくつか実際に使って、実測で10度程度裏面温度を押し下げているので、効果はあるのを確認している。)
というわけで、さとるパパさん
断熱性能だけが性能では無いのですよ。
ちなみに、竣工直後、サーモメーターで各部の計測をしています。
気密性能の実測もしています。気密性能は、当時換気回数で言いましたが、1回以下です。
サーもメーターの示す状況は根太、垂木、間柱まわりに接するロックウールの隙間による熱損失が少し。
その部分だけ色が低く出る。
壁を剥いでみても大工さんはきちんと仕事をしている。
本質的に繊維系断熱材は、どうしても間柱周りに隙間がある。
実質0.7掛け程度であると考えるのが妥当。
言い忘れましたが、
2階の上り天井、結局一度全部剥がして、一枚一枚自分で念入りに再施工。
1か月ほど費やした。
再度の天井張は、三井ホームにお願いした。
プロは仕事が早い。
サーモメーターは、サーモグラフの間違いでした。
訂正します。
当時はアナログで液体窒素で冷却する大きく高価な装置しかなかったので私の所有物ではない。
たまたま、サッシメーカーが計測するので借りたという話があったので、
ついでに家に寄ってもらって撮影した。
色が変わっていた部分は、照明配線などがあった部分で、
そこは念入りに対策したので今は大丈夫だと思ったが、
真冬に壁面に付く霜を見ていると、間柱のところだけついていないので、
やはり熱がそこから逃げていると知った。
繊維系断熱材の宿命とあきらめている。
もうひとつ追記したいのは、換気レジスター。
三井ホームの基準でやめられないと聞いたので妥協したが、
機密性能が悪かったのはそこが原因。
もちろん、あとから1か所を除き、全て塞いだ。
計測時には覆ったがやはり漏気してたのだろう。
屋根にベルックスのトップライトがあり、トリプルガラスが入っているが、
冬はそこからコールドドラフトがある。
高性能とはいっても所詮ガラス、壁面の5倍以上性能が悪いのだから仕方ない。
気密性能の換気回数1回は、一時間で室の空気が全て入れ替わる程度の隙間があるということで、
暖房代に直結する。
レジスターが無ければ、0.7回くらいはあると思うが、風呂と台所とトイレの換気扇からの漏れがあるので、ゼロにはできない。
本当はそこも覆って計測すべきなのだろうと思う。
熱交換換気システムは、30年前はよく宣伝されて使われたが、
今は換気扇にかかる電気代より、小さい換気扇で捨てる電気代と灯油代のほうが安いということで、
使う家は少なくなったと思う。
母親の家のロスナイも全く使われなくなった。
私も不要と考える。パイプファン1個で十分だ。風呂や台所の換気扇あたりから給気できる。
それで、どの部屋にもカビは一切出たことが無い。
1か所だけ残した換気扇にはダンパーがついていて普段は閉じているが玄関扉を使う時だけ開く
玄関扉を開けるたびにダンパーの動作する音が聞こえる。
個室の扉は開けっ放しで、玄関ホール扉も同様。不要だった。
玄関扉は木製の断熱扉でサッシより遥かに高断熱。
私の家は、予算が無かったので、トイレの100φのパイプファン1個で換気しているが、
止めると、確かに灯油消費が減るのが面白い。
暖房は24時間運転の温水暖房で、面積70㎡天井高さ5メートルの空間を2枚の温水パネルで賄っている。
これで寒いと思ったことは無い。
当初は玄関や脱衣室、それからトイレにも設けたが、不要だったと後から知る。
どの室の温度も20度以上あるので。
ボイラーは、1度交換したがこれは消耗品。
最近は耐久性が悪く10年持たないと聞くので、そのときのために新品ボイラー代積み立てが必須だろう。安くない。
給湯ボイラーはもっと頻度が高く3回交換したので、耐久性は10年程度。こちらは18万円くらい?
冬場の水道管は、一度も落としたことが無いが外が-20度でも凍結事故は皆無。
基本的に縁の下も暖かいのだろう。
そこは基礎断熱の効果だろうと思う。
コンクリートのべた土間と相まって、夏でも冬でもカラッカラッに乾燥している。
母親は1階に住んでいるが、床下が冷えるという話は全く無いどころか、体感的に暖かい。
100パーセント木製のサッシは特に問題なし。キシラデコールを3年に一回増し塗しているせいか。
今から思うと金属はあり得ない。
樹脂は隣近所の火災で溶けて延焼したのが、会社の同僚の家で、やはりなあとちょっと驚き、納得した。
桜材の木は火で焦げるが抜け落ちないので、実質どの材料よりも良いと考える。
今は作られていない。
木製扉の樹脂ガスケットは15年くらいすると硬化して漏気が始まるので、定期的な交換は必須。
以上参考まで。
輻射熱を測定することや、指標として重要だということに異論はありません。
ただ、表面温度や輻射熱は冷暖房、日射、断熱・気密などさまざまな条件に左右される従属的な結果です。それを基にフィードバックすることは有益でも、それで問題が発覚したときに対処すべき箇所は結局のところ主に断熱や気密なので、そのように書きました。
architect_G さんがそうだとは思いませんが、遠赤外線の疑似科学が幅を利かせていたように、輻射熱を何か特別なもののように勘違いしている方がときどきいらっしゃるので、そういう方を想定して書いたつもりでした。
そういうわけで訂正はしませんので、間違いかどうかは、コメント欄を含めて読者の方に判断していただければと思います。
30年前の三井ホームで、外気が-20℃にもなる地域にお住まいなのですね。
こちらはせいぜい -4℃くらいなので事情が異なると思いますが、2016年築の三井ホームでは冷輻射を感じることはありません。
真夏に日射が当たる面の室内表面温度は屋根面で室温+1.4℃、外壁面で+1.0℃で、輻射熱は感じません(断熱材は屋根も壁も140mmです。関連記事)。
遮熱塗料も遮熱シートも使用していません。
換気回数での気密性能についてはよくわかりませんが、換気回数1回というのが温度差換気だけで隙間で換気される換気回数のことであれば、C 値で 10 以上に相当しそうなので、最近の高断熱住宅との大きな違いかもしれません。
冷輻射という似非科学っぽい表現を初めて見て(ポケモンの冷凍ビーム?)疑問を持ち、調べててたどり着きました。
冷え対策の結果検証するのに、表面温度だけ調べて室温全く見てないサイトや動画ばかりで驚いたのですが、そういう業界慣習ある背景がわかって有益でした。
コメントありがとうございます。熱力学をちょっと学ぶと、疑問に感じるような説明は多いですね。