高断熱住宅に特有の間取りの注意点【大は小を兼ねない】

高断熱住宅に特有の間取りの注意点というと、空調が行き渡りやすいようにオープンな間取りにするべきだとか、なるべく表面積の小さい形状にするべきだとかいう内容を想像されるかもしれません。これらももちろん重要ですが、私が家を建ててみた経験上、計画段階で気づくことができずに最も後悔しているのは、もっとコンパクトな住宅にすればよかったということです。

その主な理由は、「全館空調を安く導入する 3 つのコツ」という記事で書いたように、全館連続暖房を行う場合、冷暖房費は家の大きさに比例するからです。全館連続暖房を採用せず、一般的な部分間欠暖房にするなら関係のない話だと思うかもしれません。が、家の大きさは税金・塗り替えなどの維持費だけでなく、近年のある程度高断熱な住宅であればどの住宅にも大きな影響があるように思います。

とりわけ最近の住宅は、昔の住宅と比べ、大きい家にすることのデメリットが大きくなっているとも思います。

ここでは、そう考えるに至ったわけを書きたいと思います。

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家を無駄に広くしてしまった理由

ずっと都会に住んでいる方には実感がわかないかもしれませんが、田舎では大きな家を建てがちです。わが家は Uber Eats を使ってみたいと思ったら配達圏外であることを知って悔しい思いをしたくらいの郊外にあり、既存の古い木造住宅を壊して完全分離の二世帯住宅に建て替えています。

この以前の住宅は無駄に広く、普段は使用しない部屋がいくつもあって、ムラの農家や親戚が集まる行事を家で行うことができるようになっていました。収納も十分にあり、建て替えの際は移動・処分するものが多すぎて大変だったようです。

最近は世代も変わり、自宅に人が集まることもないので、建て替える家はコンパクトにしようという気持ちは全員が持っていました。しかし、親世帯にとっては、以前の住宅が広かった分、そのことに引っ張られ、コンパクトにしようという動機が薄かったようにも思います。

また、私たち子世帯にしても、マンション生活で収納不足を感じていたために、広い収納に対する憧れがありました。

広い家を勧めがちなハウスメーカー

そんなときに住宅展示場を見てみると、玄関脇にウォークインの土間収納があったり、ウォークインクローゼットやロフトがあったりと、広い収納スペースを備えた間取りが当たり前のようになっています。ついつい、いいな、採用したいなと思ってしまいます。

打合せの際も、こうした希望はだれに反対されることもなく採用され、そこまで必要ないという人はいません(高断熱窓へのアップグレードはチクチク反対されました)。ハウスメーカーにとっては家が大きいほうが儲かるのだから、当然といえば当然の対応です。

わが家の場合、間取りを吟味する際、提案された間取りから削ったところが多数あり、ウォークインクローゼットやロフトは採用していません。そして、一部で広い収納を採用したところでも、別に生活していて不便に感じることはありません。

しかしよくよく考えてみると、これらのスペースによって空調が必要な空間が広くなったことにより、電気代や税金・外壁塗装代などの維持費が生涯において高くつくことは明白です。

いま改めて考えると、現住宅ではそれほど広い収納の必要はなかったし、もっと慎重に検討し、極力コンパクトにするべきだったと思うわけです。ちょっと絞っただけで削ったつもりになっていただけだったのです。

なお、実際に収納スペースがそれほど必要なかったことには、高断熱住宅だからこその事情もあるように思います。

高断熱住宅に特有の事情

収納スペースや間取りにおいて、高断熱住宅は昔の住宅とは違うことに気が付きました。

一部屋だけの暖房が望ましくない

昔の住宅では、部屋がいくら多くてもあまり問題はありませんでした。それは、石油ストーブやコタツなどの暖房器具を局所的に使用する方式が中心であり、部屋全体を暖めるのも難しく、使わない部屋にまで暖房が影響することがなかったからです。気密も断熱も良くない昔の住宅では、暖房を使わない部屋の温湿度は外気と大差がなく、それゆえに結露も問題になりませんでした。

でも現代の住宅は違います。ある程度の断熱・気密性能があると、部屋はエアコンなどで暖めることができます。ただ、空気を暖めると気になってくるのが乾燥です。石油ストーブ(FF式を除く)なら燃焼で水分も発生しますが、24時間機械換気の換気量では空気汚染がひどくて使用できません。

この乾燥を防ぐために加湿すると、室内空気の絶対湿度が上がります。この空気は他の部屋とつながっていて容易に移動するので、他の部屋に温度の低い窓などがあると、そこで飽和水蒸気量を超えて結露になってしまいます。そういう部屋はいつも同じなので、その部屋はいつも相対湿度が高く、収納場所にもカビが生えやすくなります。

これは単板ガラスのマンションで経験したことですが、今の一般的な戸建住宅も状況は似ています。ペアガラスが採用されていても、寒い部屋の相対湿度が高くなり、カビが生えやすかったり、加湿量が多いと結露が多くなる傾向はあるのではないでしょうか。

参考 結露が発生する条件および対策

この問題を防ぐには、昔ながらの生活を送るか、暖かさを控えて乾燥を我慢するか、室内空気が触れる最低温度を上げるかしかないでしょう。間欠暖房であっても、リビングで乾燥を感じずに暖かさを享受し、カビも生えないようにするためには、ある程度は家全体を暖かくする必要があると思います。これには、窓を中心とする高断熱化と、リビングとの温度差の大きい(寒い)部屋をつくらない暖房計画がカギになるでしょう。

使用頻度の低い部屋はなくすべき

見方を変えると、現代の住宅では空調が影響しない部屋をつくることはできません(望ましくありません)。どの部屋も、外気よりは室内空気の影響を強く受けることになるので、暖房費にも影響せざるを得ません。

ある程度高断熱な住宅では、昔の外気に通じる住宅と違って、頻繁に使わない部屋をなくす必然性が高かったのです。このことは、予備の部屋が多い親世帯の住宅で全館空調を採用する際からうすうす疑問に感じていましたが、ようやく頭が整理された感じです(といっても何も言えませんが…)。

そうなると、将来使うかもしれないから、といって部屋を多めに確保しておくことも考えものです。多くの家庭では子供はあっという間に育ち、将来は二人暮らしになるのだから、子供たちにそれぞれ個室を与えたいとしても、その一時のために人数分の部屋を確保するというはもったいないことかもしれません。その期間が数年だけであるならば、一時的に自分の部屋を我慢したり、一時的にどこかの部屋を区切って個室にするという方法も考えられます。

屋外の倉庫を活用すべき

それでも多くの部屋や収納スペースが欲しいという場合、よく使う部屋だけを断熱・気密的に隔離し、ふだん使わない部屋や収納部屋に外気が通るようにすれば問題ありませんが、それも非現実的でしょう。

そこで考えたのは、高断熱住宅では屋外の倉庫による収納を積極的に活用したほうがよいということです。外気に通じる倉庫なら、室内の収納と違って湿気がたまる問題もありませんし、冷暖房費にも影響しません。全館暖房の収納スペースは湿気がたまりにくくカビが生えにくいことは実感していますが、冷暖房費に直結するし、温度が高すぎて食糧の保存に向いていないという問題もあります。

使用頻度が高くない、倉庫に入れることができる物は倉庫においたほうが合理的です。その分、室内の収納スペースは減らすことができます。

なお、その場合に大きな倉庫が必要かというと、実際に暮らしてみた感想として、そうでもありません。

収納するものが少ない

これは現代の標準以上に高断熱な住宅で全館暖房などを採用する場合に限定されることですが、高断熱住宅では不要になるものがたくさんあります。

参考 高断熱住宅で不要になるもの、あると望ましいもの 【コスト削減】

特に、季節的に必要になるものがほとんど不要になります。わが家の場合、以前の住宅から不要になった大きな物として、コタツ、家族全員の厚手の布団一式、扇風機4台、ホットカーペットとラグ、オイルヒーターなどの暖房器具などがありました。

どれもかなりの収納スペースを取っていたため、現在、これらが不要になったことで収納スペースにはかなりの余裕が生じています。

マンション暮らしの頃に必要だと思っていた収納スペースで余裕だったので、安くて大きいオモチャなど、無駄にどうでもいいものを収納してしまっている状況です。ときめかないもの(?)を捨て、その分、住宅を小さくして生活したほうがずっと良かったのではないか、と今更ながら微妙に後悔しています。

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