床の温度とカーペットやマット、床材、床暖房の相性について

住宅内の体感温度は、室温と平均放射温度(MRT)を足して 2 で割った温度である、という説明を見ることがあります。平均放射温度とは、周囲(床・壁・天井・窓など)の全方向から受ける熱放射を平均化した温度のことです。

しかし全方位を均一に評価することには私は懐疑的です。人には頭髪があり(私もかろうじて…)、服を着ているので、壁や天井からの熱放射は直に受けないのに対し、床は直接足が接することによって常に熱伝導の影響も受けるからです。靴下やスリッパを付けていても軽減されるだけで、温度差が大きいときに熱移動が発生しやすい部位であることには変わりありません。

つまり、体感温度にとって重要なのは、床面です。足の体感温度は、どれだけのスピードで足から熱が奪われるかによって決まります。

重要なのは、(体温との温度差) x (床材の熱伝導率) です。住宅で足の体感温度を上げるには、床の温度を上げるか、熱伝導率の小さい床材を使用すること、またはその両方が解決策になります(暖かい靴下とスリッパも重要)。

床下にいくら高性能で分厚い断熱材を使用していても、床表面の温度(≒床の空気温度)が低く、熱伝導率が高い素材が使用されていれば床は冷たく感じられるのです。

また、床の温度は変化するため、温度の変化のしやすさを表す比熱も多少関係してきます。

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床の材質と熱伝導率

最初に、よく使われる床材の熱伝導率をざっと調べてみました。資料・製品によって多少の違いはありますが、数値はだいたい以下のとおりです。

材質熱伝導率 [W/mK]
モルタル1.5
タイル1.3
クッションフロア0.19
Pタイル0.19
合板(複合フローリングも同様?)0.14
木材0.087(杉)~ 0.14(オーク)
0.083
カーペット0.08
段ボール0.07(床に敷かないと思いますが参考までに)
羊毛0.05

下の素材ほど暖かい、というのは経験的にも納得いくのではないでしょうか。

これを見ると、木材(無垢の床材)は樹種によって結構な差があります。一般に、高級家具などに使われる硬い広葉樹は空隙が少ないので熱伝導率が高く、比較的安価で柔らかい杉やパインなどの針葉樹は熱伝導率が低い傾向にあります。無垢で床材を安くしたいなら、その暖かさを推していきましょう(傷つきやすいですが)。

なお、容積比熱が小さい物質(カーペット、畳、木材など)はずっと触れていると体温に近づきますが、容積比熱が大きい物質(石やタイル、ビニル系床材など)はなかなか温度差が縮まらない性質があります(材料の厚さも関係します)。タイルの床は同じ場所にとどまらない玄関などでは問題ありませんが、リビングには向いていないわけです。

樹種ごとの熱伝導率のデータは こちらの PDF に、熱伝導率と容積比熱の詳細データは こちらのPDF に掲載されていました。

床の暖かさレベルと床材の関係

暖かい床材は、床が寒い住宅ほど好まれる傾向が強いように思います。

昔は多かった絨毯(カーペット)や畳が減り、フローリングが増えてきたことは、ダニや掃除のしやすさといった要因もありますが、住宅の断熱性が向上したこととも無縁ではない気がします。

そこで、床の暖かさを勝手に 3 段階に分け(全段階の生活経験あり)、それぞれの床事情について私の感想を書いてみます。

古い日本住宅

家の中と外の温度があまり変わらないような住宅では床の温度も当然低く、フローリングの床は寒いという印象が強くなります。人がとどまる場所は冬はマットか絨毯か畳でもないとやってられず、それでも寒いので、ホットカーペットやヒーターなどもそこらじゅうに欲しくなります。家の中でも厚着が基本です。こういう住宅で生活していると、霜焼けができる人もいます。

ふつうの住宅(間欠暖房)

マンション(単板ガラス)や最近の住宅はもう少しマシです。暖かいスリッパなどを履けばフローリングでもやっていけます。ただ、足元の温度は室温よりも何度か低いので、ジッとしていると足が冷えてきます。台所にはキッチンマットがあると足元の寒さがだいぶ和らぎます。

床の温度はエアコンを付けっぱなしにすれば改善するかもしれませんが、電気代が恐ろしくてできません。そのため生活時間だけ暖房を付けるのですが、部屋の上下に温度差があり、床の温度が上がる前に室温が暑くなってしまうので、あまり快適にはなりません。このため、床の温度を上げようとすると、リビングなどで局所的にホットカーペットや床暖房を使用し、床を直接暖めるしか方法はありません。

上下の温度差はサーキュレーターやシーリングファンで少しはマシになるのかもしれませんが、風や音が不快にならないように設置するのは難しく、個人的にはイマイチです。

問題は個室です。個室は寒く、エアコンを付ければマシになるのですが、一人で使うのはもったいない気がしてあまり使えず、冬の個室は布団にもぐって寝るときにしか使いたくない部屋になっていました。

高断熱住宅(連続暖房)

ZEH レベル以上くらいの高断熱住宅になると、連続暖房が可能になり、床の表面温度を室温と同じくらいに高く保つことができるようになります。一条工務店の高温にしない全館床暖房もよいと思いますが、床暖房でなくても裸足でなければ(靴下や春夏用スリッパを使っていれば)足が冷えることはありません。

どこにいても足が冷えないので、ホットカーペットや床暖房があればいいなと思うこともありません。キッチンマットも敷く必要性を感じないため、使っていません。

個室の温度は暖房方式にもよりますが、快適にできます。

参考
昭和の木造住宅、RC造マンション、ツーバイシックスの住み心地
「夏涼しく冬暖かい家」の科学(体感温度編)

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