夏のエアコン連続冷房時の最大消費電力を調べた結果、再熱除湿はやはり高い

一般には暖房費のほうが冷房費よりも高いものですが、ひと月の電気代で比べると、わが家の最高は 8 月です(2018 年の全館空調電気代)。夏の電気代の単価が高いせいもありますが、温暖地では冷房費も軽視することはできません。

全館連続冷房を行った場合の実際の冷房費は、断熱性能などから導き出される理論上の冷房費(消費電力量)とどれだけ差があるものなのでしょうか。

この疑問を解くため、東京電力のサイトでスマートメーターのデータを参照し、24時間全館冷房を行っていた昨夏のエアコン(正確には全館空調システムですが仕組みは同じ)の最大負荷がどの程度だったのかを確認してみました。

お急ぎの方は最後のまとめだけご覧ください。

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猛暑日の消費電力の実測値

ざっとチェックしたところ、空調機の消費電力が最大になっていた日は 8 月後半でした。その日は平均気温 30.6 度(最低気温 26 度、最高 36.7 度)という猛暑日で、1 時間ごとの消費電力は以下のとおりでした。

1 日の合計は 27.2 kWh です(うち、2.8 kWh は換気分)。1 kWh 28 円とすると、762 円にもなります。

ピークの時間帯の消費電力量は 1 時間あたり 2.0 kWh なので、換気を除くと 1.9 kWh です。

しかし、他の日のデータもチェックしていると、最高気温が 35 度を超える日でも 1 時間あたりの消費電力量が最大で 1.2 kWh(換気を除いて 1.1 kWh)に収まっているときもありました。

大きな差があります。

これはどういうことなのか考察してみたいと思います。

理論上の最大冷房負荷および消費電力

暖房も冷房も同じことなので、暖房負荷から必要なエアコン能力(kW)を計算するツールを利用してわが家の条件(断熱性能、床面積など)を入力すると、外気温 36 ℃のときの必要冷房能力は 3.2 kW となりました。

これを冷房 COP(エネルギー消費効率)= 3.79 で割ると、理論上のピークの冷房消費電力が算出されます。

わが家の場合のそれは、1 時間の消費電力量で 0.84 kWh になります。

しかし、実際のピークの消費電力(1.9 kWh)はこの倍以上あり、消費電力が少ない猛暑時のピーク消費電力(1.1 kWh)でもこれより 3 割ほど多くなっています。

Q 値からの冷房費計算は暖房と異なり、あまり当てにならないことがわかります。

理論値より消費電力が大きい理由

実際の消費電力のほうが大きくなった理由はいくつも考えられます。一番大きな理由は、おそらく、エアコンの運転モードによる消費電力の違いです。

エアコンの消費電力は、「弱冷房除湿」<「冷房」<「再熱除湿」の順に大きくなります。上記のデータでどの運転モードにしていたかは定かではないのですが、おそらくピークの消費電力のときは「再熱除湿」、暑くても消費電力が少ないときは「冷房」にしていたのではないかと思います。

運転モードの運用は、だいたい、夜は再熱除湿、日中は弱冷房除湿とし、それで暑かったら冷房に、ジメジメしていたら再熱除湿にしていた気がするからです(あいまいな記憶頼りで申し訳ないので、この夏には再確認しようと思います)。

消費電力が実際は高い理由は、他にも、日射熱の侵入があるとか、COP が実際は悪いとか、内部発熱(家電や人体)があることもあります。これらを考えると、暑くても消費電力が少ない日の 1.1 kWh は理論値に近いように思います。

それにしても、再熱除湿の電気代は高いものです。これを安く抑えるためにはどうすればよいのでしょうか。

冷房費用を抑える方法

再熱除湿の電気代が高いということは、除湿にコストがかかるということです。

エアコンで除湿を行うことに問題があるのでしょうか。しかし、消費電力に対する除湿量を考えると、エアコンはたしか優秀なほうです。少なくともコンプレッサー式やデシカント式の除湿器よりは効率的なはずです。

最近のエアコンでは高コストな再熱除湿が採用されなくなっていて、中間的な除湿方式も出ているようなので、除湿に強いエアコンを選ぶというのも有効な方法でしょう。

コメント欄より、やぐ様から再熱除湿を使用せずに冷房で除湿し続ける運転方法を教えていただきました。設定温度まで温度が下がらないよう風量を弱めるそうです。今後試してみたいと思います。ありがとうございました。

追記)夏が来て思い出したのですが、わが家では最弱運転でも温度が下がりすぎてしまいます。
全館空調機の能力過剰による弊害【除湿と電気代】

高湿度をガマンする

私が来シーズンに試してみようと思うのは、多少の高湿度を許容することです。昨年は湿度が 60% を超えると除湿に重点を置いていましたが、上記のことを考えると、湿度を気にせず冷房運転で温度をさらに下げるほうが安いはずです。

体感的にどうなのかは、実際にやってみてから追記したいと思います(覚えていたら)。

追記
梅雨と梅雨明けを経験して思ったのは、温度が低くてもあまりに湿度が高いと不快だな、と。洗濯物が乾かなかったり、湿気虫(?)が発生するのも問題です。少なくとも、外の地面が濡れているようなときは除湿したいと思ってしまいます。

そうして湿度を下げた家で生活していて、ふと窓を開けたり外に出たりして蒸し暑い空気に触れることがあると、その瞬間に強い不快感を覚えます。日本の夏は過酷だなと気づき、空調の効いた住宅でさらさらと生活できるありがたみをつくづく実感します。

湿気の侵入を抑える

これは住んでからでは難しいことですが、高温多湿な外気には大量の水が含まれているため、外から湿気が入らないようにすることは単純に効果が期待できます。具体的には以下の方法が思いつきます。

  • 気密性能を上げる
  • 全熱交換型の第一種換気を採用する
  • 浴室換気扇を多用しない(詳細

それぞれどの程度の効果があるのかはわかりませんが、どれも重要なことではないでしょうか。

この記事のまとめ

結論だけまとめておきます。

  • 現実の最大冷房負荷(消費電力)は Q 値からの計算値より大きい
  • 再熱除湿を利用する場合は特に消費電力が大きくなる
  • 除湿は高コストなので、除湿のコストを下げるか、諦める

除湿のコストについては『エコハウスのウソ 増補改訂版』の p.178 以降で解説されていますが、当サイトでも今後検討していきたいと思っています(→追加記事:除湿能力・コストの比較【エアコン、除湿器、熱交換換気、エコカラット、デシカ】)。

参考
冬のエアコンの最大暖房負荷を実測してみた結果
Q 値から算出した暖房費の理論値と実測値の差を検証してみた
暖房負荷から必要なエアコン能力(kW)を計算するツール

コメント

  1. やぐ より:

    こんばんは。いつも参考にさせて頂いております。

    エアコンは室温が設定温度まで到達すると、動作を停止して、エアコン内部の水分が湿度戻りを起こしてしまいます
    再熱除湿の電気代が高いのは、上記起こさないように冷やして除湿を行った空気を、再度温めているからですので
    エアコンの設定温度が室温より常に低い状態が続いていれば、
    再熱除湿でない、通常の冷房で低い電気代のままエアコンは常に除湿を行ってくれるようです

    これを寒くないように実行するには
    エアコンで全館冷房を行い、設定温度を室温より低くし、風量を最大限少なくする
    これをすると熱交換器は常に冷えたままで除湿を行い、
    全館冷房の広範囲を冷やすには風量が少ないので室温も設定温度まで下がり切らないということができるようです

    • さとるパパ より:

      コメントありがとうございます。

      通常の冷房では風量を自動にするのが省エネになるというのでそうしていましたが、すぐに設定温度に達して止まってしまい、湿度が上がるのが欠点でした。
      空調機の冷房能力が必要能力より過剰に高いせいなので、たしかに風量を絞れば常時運転できそうですね。その運用方法は盲点でした。
      その方法では常に風量を手動で調整する必要があるので、その手間がどれほどか、本当に寒くなりすぎないか、どれだけ安くなるか、さっそく来シーズンに試してみたいと思います。
      ありがとうございます!

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