エアコンを高断熱住宅で連続運転する場合にエアコンの畳数表示が役に立たないことはこちらで書いたとおりですが、エアコンを選ぶ際は暖房能力と冷房能力のどちらに重点を置くべきなのでしょうか。
寒冷地で暖房能力が重要になるのは当然ですが、関東南部などの温暖地では冷房能力のほうが大事という意見を聞いたこともあります。
暖房と冷房の必要能力は、連続運転の通常使用時におけるそれぞれの最大値をチェックすればわかります。
必要冷房能力に関しては日射熱の侵入量に大きく左右される面がありますが、参考までに実際のわが家の空調機の消費電力データを基にして、暖房と冷房とではどちらの負荷が高いのかを考えてみたいと思います。
エアコン連続暖房時の最大負荷率
冬のエアコン連続暖房時の最大消費電力については詳細をこちらで紹介したように、最低気温がマイナス 1 度の早朝の消費電力は 1 時間で 1.4 kWh でした。
空調機の暖房の定格消費電力は 2.63 kW なので、このときの暖房負荷の割合は 1.4 / 2.63 = 0.53 = 53% です。
エアコン連続冷房時の最大負荷率
夏のエアコン連続冷房時の最大消費電力については詳細をこちらで紹介したように、最高気温が 35 度を超える猛暑日の午後 3 時前後の消費電力は 1 時間で 1.1 kWh でした。
空調機の冷房の定格消費電力は 2.64 kW なので、このときの冷房負荷の割合は 1.1 / 2.64 = 0.42 = 42% です。
暖房能力が重要
以上より、わが家の条件においては暖房の負荷のほうが大きいので、エアコンは暖房能力に基づいて選ぶべき、という結論になりました。
ただし、最初にも書いたように、必要冷房能力は日射熱量にも左右されます。
屋根の断熱が弱い住宅では、天井面から多くの熱が侵入してくることがあり、冷房負荷も高まります。
また、窓から入る日射熱も軽視できません。
夏に侵入する日射を方位別にみると、南面から入る日射量よりも東面と西面から入る日射量のほうが 3 倍近く大きくなります(参考図書:『エコハウスのウソ 増補改訂版』p.214)。
特に西日が入る時間帯は気温が高い時間帯とも重なるので、エアコンの効きにとっては西日の遮蔽が肝心です。
わが家の場合、西面にもそれなりに窓があり、昨年はゴーヤのグリーンカーテンを枯らしてしまったので、日射遮蔽はあまりきちんとできていません。それでも暖房負荷のほうが高かったので、同様の地域では暖房をメインに考えてよいのではないでしょうか。
そんなわけで、暖房負荷からエアコン能力を決めるという方法(以下詳細)はなかなか適切な方法だと思っています。
ちなみにわが家の暖房負荷率は最大でも 53% と、かなりの余裕があります。設定温度を変更したときにすぐに反映されるメリットはあるものの、エアコンの燃費の観点からは良いことではありません。詳細については、以下の記事をご覧ください。
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