エアコンを連続運転するときに一番高い負荷がわかれば、それに見合う暖房能力のエアコンを選定すればよいという考えから、当サイトでは「暖房負荷から必要なエアコン能力(kW)を計算するツール」というものを公開しています。
高断熱住宅では過剰な能力のエアコンを選んでいるケースが多いのが現状です。夏の最大負荷はまた別ですが、冬についてはこのツールの計算により理論的な最大負荷(=必要暖房能力)を求めることができます。
ただし、これは理論値です。実際の暖房負荷はどうなのかは、全館空調のわが家で簡単に検証できるので、実際に検証してみました。
結果からいうと、ほぼ理論値どおりの結果が得られました。
検証の詳細
実測値
暖房を連続運転している状態で、最低気温が 1 度のときの 1 時間あたりの消費電力を確認し、そこから暖房負荷を計算します。
家の外に設置されているスマートメーターを夜明け前からパジャマでスマートに目視したところ、1 時間の消費電力は 1.3 kWh でした。0.1 kWh は換気分なので、実質 1.2 kWh です。
わが家の全館空調の暖房 COP は 4.26 なので、このときの暖房負荷は以下のようになります。
1.2 [kW] x 4.26 = 5.1 [kW]
理論値
暖房負荷から必要なエアコン能力(kW)を計算するツールにそのときの条件(Q 値、C 値、床面積、室温、外気温)を入力して得られる暖房負荷は、5.0 [kW] でした。
実測値と理論値の誤差は 2% 程度です。
考察
全館暖房時の暖房負荷はほぼ計算どおりです。つまり、暖房能力が 6 kW のエアコンなら冬に室温を保つことができるということになります。まれに氷点下になることもある点を考慮すると少し余裕があったほうがよいですが、それでも、暖房負荷だけを考えるならば 木造 16 畳用のエアコン 1 台でまかなえるレベルです。
わが家の全館空調システムの暖房能力は 11 kW(2.6~14.0 kW)なので、なかなか過剰です。
しかし、他の時間帯の消費電力をチェックしていたところ、1 時間で 2.5 kWh ほど消費している時間がありました。暖房負荷に換算すると 10.6 kW であり、空調機のカタログ上の消費電力は 2.63 kW(+換気 0.12 kW)なので、フル稼働に近い状態です(最大は 14 kW なので余力はあります)。振り返ると、その時間帯は設定温度を上げたり窓を開けたりしていた時間でした。
暖房能力が 6 kW しかなかったら、室温が上がるまでに、より長い時間がかかっていたことが予想されます。寒い時間帯でも室温をすばやく上げたりしたいならば、暖房能力に余裕があったほうがよいのかもしれません。その必要性はそれほど感じませんが。
なお、エアコンを選ぶ上では冬だけでなく夏の視点も欠かせません。最大冷房負荷の課題についても、データが揃いしだい確認してみたいと思います。
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