Q 値から算出した暖房費の理論値と実測値の差を検証してみた

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暖房費は一定の条件下で Q 値に比例するということを以前の記事で紹介しましたが、理論値と実測値の間には誤差が付き物です。実際のところ、Q 値から計算した消費電力量(電気代)と実際に検針される電気使用量との間ではどのくらいの誤差が生じるのでしょうか。

気になったので直近の請求書をベースに検証してみました。計算過程は難しく感じるかもしれないため、結果から紹介したいと思います。

検証結果

実測値

2017 年 12 月の全館空調の電気使用量は 861 kWh でした。換気分(85 kWh)を引くと、暖房に使用した電気使用量は 776 kWh です。参考までに、電気料金は 16,097 円でした。

理論値

以下で説明するように、家全体の熱損失を計算し、この熱損失を補うために暖房で必要になる消費電力量(1 カ月分)を算出したところ、752 kWh となりました。

実測値と理論値の違い

その差はなんと、3 % しかありませんでした。常に暖房のみを使用する計算しやすい時期を選んだとはいえ、ここまで近い数値が出るとは驚きです。24 時間全館冷暖房を行う場合、やはり Q 値は重要です。

とはいえ、ここまで値が近かったのは偶然の面もあります。詳細は最後に説明したいと思います。

計算の方法

今回の検証では、以下の数値を基に次の計算を行いました。間違いがあればご指摘いただけると幸いです。

必要なパラメータ

使用したパラメータとその説明は次のとおりです。

平均気温 Ta(℃):気象庁のサイトから検針期間の日平均気温の平均を計算しました。
室温 Tr(℃):我が家の平均的な気温です。
延床面積 A(㎡):吹き抜け、階段を含む延床面積です。
熱損失係数 Q(W/㎡・K):厳密な値は計算していないので、± 0.1 くらいの誤差がありそうです。
COP:エネルギー消費効率。暖房能力(kW)を消費電力(kW)で割った値であり、説明書に記載されています。

計算過程

まず、室温と平均気温の差(Td)を求めます。
Td = Tr – Ta = 18.3(単位:K)

この温度差があるときの家全体の熱損失(H)を計算します。
H = Q x Td x A = 4307(単位:W)

この熱損失を補うために必要な暖房の消費電力(P)を計算します。
P = H / COP = 4307 / 4.26 = 1011(単位:W)

これに月の時間数(24 hr x 31 days = 744 hr)をかけて月の消費電力量を計算します。
(月の消費電力量) = P x (時間) = 1011 x 744 = 7522184(単位:Wh)= 752(単位:kWh)

以上です。

理論と現実の違いについての考察

以前の記事で紹介したように、この計算では次の点を無視しています。

・日射熱取得(実際は消費電力量にマイナスの影響)
・計画換気外の換気および漏気(実際は消費電力量にプラスの影響)

我が家は日射熱取得はそう多くはありません。

また、わが家の気密性能の C 値は 1.0 より大きいので、強風時には過換気となり、消費電力量が増える可能性もあります。幸い、この期間は特に風が強い日がありませんでした。

今回の検証では、この 2 つがどちらも小さく、ちょうど相殺される具合になったものと思われます。また、COP や Q 値などは温度条件によって一定でないなど、微妙な誤差は多数考えられます。今回誤差が小さかったのは偶然の要素が多分にあるため、あくまで参考程度とお考えください。

最後に

この計算を応用すると、事前に電気料金のシミュレーションを行ったり、高断熱住宅に必要なエアコンの能力を計算したりすることが可能になりそうです。

ニーズがあるかどうかわかりませんが、上記パラメータを入力してこれらを計算できるツール(Web ページ)を作成してみたいなと思っております。

追記:ツールを作成しました

というわけで、エアコンの選定と、電気料金のシミュレーションができる計算ページを作成しました。ご自由にご利用ください(自己責任で)。

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