高断熱住宅は窓が小さいと言われることがあります。寒冷地や一昔前の高断熱住宅を中心に、確かに窓が小さい住宅もあります。壁は窓の 6 倍の断熱性能があるため(※)、窓が小さいほど高断熱住宅にしやすいというのは事実です。ハウスメーカーがカタログに載せる UA 値(Q 値)の計算でも、窓が小さい住宅がモデルになっています。それでは、高断熱住宅に小さな窓は付き物なのでしょうか。そんなことはありません。
高断熱=小さい窓ではない
求める断熱性能のレベルにもよりますが、近年は壁と窓の断熱性能を高める選択肢が増えたため、高断熱住宅の窓を小さくする必然性は減っています。しかしながら、高断熱住宅では、窓を大きくする必要性があまりないという面もあります。高断熱住宅では、風通しのために窓を開ける必要がないからです(もちろん開けても問題ありません)。実際に住んでみるまでは半信半疑でしたが、空調で少ない電力で室温を快適にできるので、不快な外気やチリを入れたくないと思う時期がはるかに多いのです。換気は機械的に行われるため、窓を開けないと湿気がたまるとか息苦しいということもありません。
また、大きな窓は日射熱の影響を受けやすくなります。高断熱住宅では少しの日射熱でも家を暖める効果が高いので、夏に大きな窓から直射日光を入れることはなるべく回避する必要があります。逆に、冬は大きな窓から直射日光を採り入れることで、暖房を不要にすることもできます。日射を管理できるなら、Q 値や UA 値が下がっても、南面の窓をできるだけ大きくすることがエコになるのです。ただし、Q 値が 1 を切るような高断熱住宅では、冬でも暖かくなりすぎること(オーバーヒート) を心配する必要があります。
そんなわけで、Q値 1.6 前後(?)の我が家では、南面の窓を大きくし、その他の窓はデザイン面からみてバランスの良いサイズを採用しました。住んでみて一つ後悔したのは、トイレの窓を小さくすればよかったということです。ペアガラスではトリプルガラスと違って窓際が少し寒くなるので、風呂やトイレではあまり大きくしない方が冬は快適だと思います。
※一般的な住宅の外壁の断熱材(グラスウール 100mm 厚)と、ハウスメーカーの一般的な標準仕様の窓(アルミ樹脂複合サッシの Low-E ペアガラス)を比較した場合。詳しくは「断熱性能は窓、壁、換気で決まる(部位別の断熱性能比較)」を参照。
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