セキスイハイム・グランツーユーの耐震性・断熱性・気密性・特長について | さとるパパの住宅論

セキスイハイム・グランツーユーの耐震性・断熱性・気密性・特長について

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セキスイハイムの木造住宅グランツーユーについて、いくつかの面から評価してみます。地震に強く高断熱・高気密でメンテナンス費がかからない住宅、というコンセプトが好きなので、わが家で最後まで候補としていた商品でもあります。セキスイハイムは鉄骨と木造(ツーユーホーム)に分かれており、昔から高断熱・高気密に力を入れているハウスメーカーです。鉄骨ではトップクラスの断熱性能があり、鉄骨メーカートップの気密性能を実現できますが、当サイトとしてはそれでも不十分なレベルなので、ハイムのなかで最高性能を誇るグランツーユー(木造2×6)について検討します。

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評価項目

耐震性:★★★(大震災で損傷も少ない)

セキスイハイム・グランツーユーは面構造のツーバイシックスです。過去の震災で全壊・半壊の被害がなく、十分な耐震性を備えていると言えます(ただし、熊本地震についてはデータが見つかりませんでした)。実大耐震実験でも、1,873ガル(阪神大震災の約2倍)に耐えることが確認されています。2階がどれだけ揺れるかを示す応答加速度のデータも公開されていて、1.12~1.34倍とのことなので、大きな震災が起きても内装材や家具倒壊の被害も少なく、そのまま住み続けられることが期待できます。このレベルであるからこそ、瓦屋根や吹き抜け空間も問題なく採用することができると思います。

断熱性:★★☆(冷え性が改善されるレベル)

標準仕様のQ値は1.6という数字が公開されていますが、これがモデルの試算値なのか実際の平均値なのかは不明です。熱交換式換気システムの空気工房は標準仕様に含まれないことがあり、採用しない場合のQ値は下がるでしょう。また、建物の形状や窓の割合によっても変わるため、個別の住宅で実際の値はどうなるのかを確認する必要があります。本当に1.6未満になるのであれば、全館冷暖房を行っても個別エアコンより冷暖房費がかからないのでお勧めできるレベルですが、そうでないのであれば、より高い断熱性能にするとよいと思います。断熱性能をさらに上げられるのかについて問い合わせたところ、窓の仕様を上げる(おそらくトリプルガラスにする)ことで対応できるとのことでした。

気密性:★★★(湿度の管理が可能になる、C<1.0レベル)

建築後にきちんと気密測定を行い、1.0未満の数値が期待できるようです。耐震性も高いことから、長期にわたって高気密の恩恵を受けることができます。このレベルの気密性能を実現できるハウスメーカーは、大手では他にスウェーデンハウスと一条工務店だけです。その他のハウスメーカーでの実現はオプションでも難しいことから、これは大きなメリットです。

コストパフォーマンス:★☆☆(割高)

坪単価は80万円台後半あたりで高価格帯になります。初期費用は高くなりますが、外壁は総タイルとすることが多く、塗り替えが要らないためメンテナンス費用は安く済みそうです。屋根材はコロニアル(スレート瓦)が標準的なようですが、いずれメンテナンス(足場要)が必要になるため、より長く持つ陶器の瓦を選択することもできます。

2017年10月に、「グランツーユーV(ファイブ)」を発表しました(詳細PDF)。性能を落とさずに低価格化を実現し、強度の改善とデザインの拡充を行ったようです。

主な特長

工場生産

三井ホームなどのツーバイフォーでも工場で部品を作ったりしますが、グランツーユーではその割合が多くなっています。工場で作る部品については欠陥が少なく、工期が短いことが特長です。

しかし、工場で作ったパーツは、輸送する際に受ける衝撃で問題が生じるリスクもあります。また、設計や間取りで融通が利かず、そのことに不満を抱く方も多いようです。このメリット・デメリットについては三井ホームと正反対です。標準的な仕様で満足でき、細かいこだわりがない性能重視の人には向いていると思います(ハウスメーカーでより性能を重視するなら一条工務店)。

空気工房

地域により標準仕様ではなくオプション(+50万程度)となるようですが、全熱交換式の第一種換気システム(三菱電機製)を採用できます。効率的な換気ができるだけでなく、除加湿と加温もできます。また、全熱交換式なので、換気で家の外に捨てる熱を回収(換気による熱損失全体の4割くらい?)したり、冬の湿度を保ち、夏の除湿の効果を高めることができます。ただし、この第一種換気システムの消費電力は換気だけで133W(古い情報なので要確認)とのことなので、月2千円ほどの電気代がかかることになりますし、いずれ機械の交換などで大きな出費が予想されます。つまり、コストはかかるけれど快適にはなる、という仕様になります。

「空気工房プラス」という冷暖房をプラスしたものがありますが、これは1台ですべてをまかなう三井ホームなどの全館空調とは異なり、複数のエアコンを一元管理するシステムです。個人的には空気工房プラスに魅力は感じず、その分、窓のグレードを上げて必要なエアコン台数を少なくしたほうが良いのではないかと思います。

空気工房を採用して主な居室のエアコンを付けっぱなしにすれば、全館空調ほどでなくても家中の温度差を少なくすることができるでしょう。

第一種換気と第三種換気 - 特徴とコスト、デメリット
住宅の換気が必要な理由、第一種換気と第三種換気の違い、それぞれのメリット・デメリット、そして気になる費用について紹介します。第一種換気については、全熱交換型と顕熱交換型、ダクトの有無による違いについても説明しています。

エネルギー設備に強い

太陽光発電を効率的に利用することに長けており、ZEHなどの補助金も受けやすくなっています。これらの利用を希望する方にはメリットとなります。蓄電池や太陽光発電は採用しなければしないで、価格を下げることもできます。

ここが不満

昔から高断熱住宅を提供してきたグランツーユーですが、近年の進歩があまりないのが残念です。性能値では一条工務店にとっくに抜かれています。トリプルガラスを標準仕様にするくらいにしてほしいものです。また、同様の仕様のウィザースホームなどと比較して、価格が高すぎます。空気工房は魅力もありますが、空気工房プラスは中途半端な感じなので、本体が一台の全館空調を採用できるオプションが望まれます。個人的には、トリプルガラスにグレードアップしてスウェーデンハウス並みの断熱性能にすることで家中の温度差を少なくし、エアコン2、3台を連続運転したりして運用するのがよいのでは、と思っています。

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