トリプルガラスは暑すぎるという誤解

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自宅を建てる際にトリプルガラスを検討していたという話をしたとき、「温暖地でトリプルガラスは暑すぎるのでは?」という感想をもらいました。

ペアガラスでも暖かそうなのにトリプルガラスはオーバースペックではないか、と思うのは一般的な感覚だと思います。

しかし、いろいろと考えると、この心配は杞憂です。理由は以下のとおりです。

高断熱になっても冷房費は上がらない

高断熱 = 熱が逃げない = 暑くなる、と考えるかもしれません。

確かに、室温が外気温より高いときに逃げる熱は、トリプルガラスのほうがペアガラスより少なくなります。

しかし、夏に室温が外気温より高いことはあまりなく、あっても温度差は大きくありません。このため、暑くなるかどうかは、窓の断熱性能よりも、日射熱の取得量に大きく左右されます。

実際、冷暖房費の詳細なシミュレーションでも、断熱性能が高ければ高いほど暖房費が安くなるのに対し、冷房費はほとんど変わりません。この詳細は、「高断熱住宅ほど冷房費は高くなる?」の記事で紹介しています。

それでは、日射熱の取得量は、ペアガラスとトリプルガラスとで、どう違ってくるのでしょうか。

Low-Eトリプルガラスの日射熱取得率は低い

最近の住宅の窓では、日射熱を調整するコーティングが施されている、Low-E ガラスが一般的です。トリプルガラスでは、この Low-E 層をペアガラスより多く設定できるので、日射熱をより多くカットすることができます。

YKK AP社の資料(PDF)によると、Low-E ペアガラスの日射熱取得率が 40% であるのに対し、Low-E トリプルガラスの日射熱取得率は 33% です。

つまり、トリプルガラスのほうが夏に室内に侵入する熱量を少なくすることができるのです。

このため、トリプルガラスにしたからといって、夏に暑すぎになることを心配する必要はあまりないでしょう。

ただし、前述のとおり、暑くなるかどうかは日射熱の取得量に大きく左右されるので、この点での注意は必要です。いくら日射熱取得率が小さいからといって、夏に多くの日射しが入るような設計では、暑すぎになります。

参考
日射の管理で実現する省エネ住宅
サンシェードが必要なのは南面ではない

冬のオーバーヒートにも注意

温暖地でトリプルガラスを採用するにあたって注意が必要なのは、条件により、冬に暑くなりすぎてしまうことです。

一般的に、冷暖房費のかからないエコハウスを実現するためには、南面の窓を大きく確保し、庇(ひさし)などによって夏は日射熱を遮断し、冬は日射熱を取り入れることが推奨されます。

しかし、トリプルガラスの場合、冬の日射熱取得を重視した設計を採用すると、冬に無暖房で過ごせる状態を超え、暑くなってしまうことがあります。

このバランスをとるためには、南面に庇付きの大きな窓がある場合、ペアガラスでは日射取得型の Low-E ガラスを選択することも有効ですが、トリプルガラスでは日射遮蔽型に統一したほうがよいかもしれません。

南面の窓の面積を大きくしない、という方法も考えられます。

そんなわけで、温暖地でトリプルガラスを採用することは問題ありませんが、注意も必要、というお話でした。

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