耐震等級3を超える耐震性能を求める理由 | さとるパパの住宅論

耐震等級3を超える耐震性能を求める理由

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当サイトでは、「耐震等級 3 を超える耐震性能」を推奨しています。大震災レベルの地震が起きてもそのまま快適に住み続けるためには、耐震等級 3 でも不十分だと思うからです。ここでは、そう思うようになった経緯について説明します。

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震度 6 は起こるものと想定すべき

日本の住宅の寿命は平均で 30 年程度ですが、これでは一生住むことができません。住宅は高いので、できれば一生に一度の買い物にしたいものです。60 年くらいは持ってほしいと思います。

その間、地震に遭うことは避けられません。今後 30 年以内に震度 6 弱以上の地震が起きる確率は、我が家では 50% 以上あります(地震ハザードステーションから確認できます)。震度 6 弱は起きて当然のものと認識し、震度 6 強程度も想定しておかなければならないでしょう。

耐震等級は倒壊しないかどうかだけ

耐震性能について一番わかりやすい基準は、品確法の住宅性能表示での「耐震等級」です。

耐震等級

日本の建築基準法は震災のたびに見直されており、現在は、基準を満たせば(=耐震等級1)、かなり大きな地震でも倒壊しないレベルの家が建ちます。

しかし、倒壊・崩壊まではしなくても損傷は受けます。耐震等級 1 の住宅の耐震性はというと、震度 5 強程度で構造が損傷しないレベルです。

これは、言い換えると、法に適合するギリギリの耐震性能では、(起きて当然の)震度 6 弱で構造に損傷を受ける可能性があることを意味します。構造にまで損傷を受けると、大規模な修理や建て替えが必要になってしまいます。

これを避けるには、等級 1 の 1.5 倍の地震に耐えられる耐震等級 3 は必要ではないでしょうか。

内外装の被害もない住宅が理想

地震の被害を受けた住宅について調べると、倒壊・半壊までいかなくても、壁紙が破けたり、内壁(石膏ボード)に亀裂が入っていたり、外壁が剥がれ落ちたりしている程度の被害が多数発生していることがわかります。

これらは見た目にはひどい被害ですが、構造体の損傷ではないため、それほど費用をかけずに修理して住み続けることができます。しかし、大規模な震災が起きた後では修理を受けるまでに時間を要することが予想されます。余震で破壊が進行するなか、そのまま住み続けるには心もとないでしょう。

内外装が損傷するかどうかは、地震力を受けた時に住宅がどれだけ変形するかによって決まります。難しいことは「地震の繰り返しに耐える住宅とは(変位角と耐震性)」に書きましたが、かんたんに書くと、変形は耐震性能が高ければ高いほど小さくなります(制震装置も有効です)。

つまり、耐震性能が非常に高い住宅であれば、内外装の被害も防ぐことができるのです。

問題は気密性能の低下

大きな問題だと思うのは、内壁が割れるような被害状況では気密性が著しく低下するということです。建物がガタガタに揺らされれば、「すき間」が増え、気密性能が悪化するのは明らかです。

以下に引用するのは、中越地震の現場で被害調査を行った、故・鵜野日出男氏のブログ記事(一読推奨)で紹介されている、被災住民の言葉です。

「たしかにわが家だけが残った。 そのことに関して 住宅メーカーと工務店の努力に対して感謝の気持ちで一杯。だが倒壊しなかったというだけで、かつてのわが家とは全然違う。 気密性が失われて、前の坂道を走る車の音に悩まされて眠ることも出来ない。 この気密性能の損傷は、誰が どういう形で保障してくれるのでしょうか?」

 

高気密・高断熱住宅の恩恵をずっと受け続けるつもりなら、高い耐震性能は欠かせません

C 値は変化するものなので、いくら住み始めの C 値がよくても、その後の劣化が大きければ意味がないからです(参考:「C値(相当すき間面積)について」)。

求めるべき耐震性能は、阪神大震災レベルの地震で内外装に被害が生じないレベルでしょう。

そこまでのレベルを求めると費用が高くなりそうですが、枠組壁工法(ツーバイフォー、ツーバイシックスなど)では、そんな耐震性能を低コストで実現することができます。そのことは、熊本地震での枠組壁工法の被害状況をみれば確認できます。

また、最近では制震装置も普及し、標準装備とされるケースも増えてきています。木造軸組工法の住宅では、是非とも採用しておきたい仕様です。

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