自宅のC値を簡易気密測定法でチェックしてみた

先日紹介したドア開放力による簡易気密測定法を利用して自宅をチェックしてみたので、測定データや注意事項などを紹介します。

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自宅の測定について

測定は、2月中旬の風のない日(風速 3m/s 以下)の昼頃に行いました。

追記:何度も測定してわかったのですが、風があると測定値が安定しません。目安としては、木の葉がほとんど揺れないくらいの条件がベストで、それならば 0.1kg 単位くらいで測定できる感じです。

基準となる玄関ドア開放力の初期値の測定

差圧を調べるためには玄関ドアがどれだけ重くなるかが重要なので、初期値として、差圧がゼロのときの玄関ドアの重さを把握しておく必要があります。

差圧をゼロにする方法は2つ考えられます。すべての換気装置を停止するか、窓を大きく開ければ OK でしょう。念のため両方で測定してみましたが、結果は同じでした。

測定に当たっては、玄関ドアを外側からラゲッジチェッカーで引っ張ってみるのですが、意外と困難です。
ドアが開く瞬間の力を測定したいのですが、それは一瞬のことで、しかもドアが開く前後で表示値が変動するので、測定値を決めにくいのです。はかりとドアを同時に見ることもできません。

また、いったんドアが開くと差圧が減ってしまうので、次の測定まで時間を置く必要が生じてしまいます(差圧ゼロでの測定では問題ありません)。

そこで、測定値は、「その値まではドアが開かない最大の力」(kg重、kgf)を記録することにしました。ドアが開く瞬間の力よりは少し軽くなりますが、差がわかればよいので、測定方法が同じであれば問題はないはずです。この方法なら、0.1 kgf くらいの単位で測定値を決めることができます。1度目に大まかな数値を調べ、2度目にゆっくり荷重を増やしていって測定値を決め、3度目に確認する感じです。

こうして得られた差圧ゼロの初期値の測定値は、2.45 kgf でした。※

ドア開放力から Pa 単位の差圧を計算する場合には、ドアのサイズも必要になるので、測定しておきます。ドアパッキンの内側の高さ・幅と、ヒンジからドアノブ付け根までの水平距離で、わが家の場合は順に 230cm、85cm、80cm でした。

※ ドア開放力の初期値については毎回測定することをお勧めします。わが家で数週間後に測定し直したところ、150g ほど軽くなっていました。室内外の温度の影響なのか、風向きの問題なのかはわかりませんが、差圧は変わらなかったので、時間を空けて測定する際は初期値を再チェックする必要がありそうです。

負圧時の測定

初期値がわかったら、今度は一般的な気密測定法と同様に、すべての換気経路を塞いでいきます。全館空調や24時間換気装置、風呂やトイレの換気扇はすでに止めています。

まずは、レンジフードの稼働時に連動して開く給気口を閉めました。強引に止めると良くないので、フィルター掃除するときの要領で一部の部品を外し、稼働しても開かないようにしてから養生テープで止めました。

そして、とりあえず、レンジフードを「強」で稼働してみました。すると、トイレや風呂の換気扇の隙間から外気が逆流していることが、手をかざすだけでわかります。これらは養生テープで塞ぎました。

「負圧をかけると大きな隙間が手でわかる」というのは今後も役立ちそうな発見です。

これに加え、第三種換気の場合は、各部屋の自然給気口を塞ぐ必要があるのでしょう。わが家は第一種換気で、住宅全体で外気との換気を担う給気口と排気口は1つずつしかないので、当初はこれを外か機械室のどちらかで塞げばよいだろうと考えていました。しかし、レンジフード「強」で稼働しつつ、住宅全体の給気口と排気口、各部屋の給気口をチェックすると、気流はほとんど発生していません。一応塞ぎましたが、ドア開放力に差は出ません。おそらく、換気を停止するとフタが閉じる仕組みになっているのでしょう。

また最後に、わが家は二世帯住宅であり、室内ドア1箇所で連結しているため、そのドアの周囲をテープで塞ぎました。突然訪問されたら、バリバリバリっとテープが剥がされるし、この状況をどう説明したらいいんだろう、という心配が頭をよぎりましたが、幸いその事態にはなりませんでした。

レンジフードを稼働していると、ここからは結構な隙間風が入ってきていました。将来、第一種換気をやめるとしたら、ここは大きな課題になりそうです。

そうして測定したドア開放力の最終結果は、4.05 kgf でした。初期値との差は 1.6 kgf で、差圧にして 15 Pa です(差圧への変換計算はこちらのツールを使用)。

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数値の考察

このわが家の差圧 15 Pa は、どう解釈すればよいのでしょうか。

動画のC値との比較

簡易気密測定法の記事で紹介したように、差圧計とレンジフードによる気密測定法を紹介したラクジュのYouTube動画では、C値 1.9、床面積 101 ㎡ の条件で差圧が 16 Pa になっていました。

差圧がそれ以下ということは、C 値 2.0 くらいということなのでしょうか?

それならば残念ですが、差圧と床面積とC値の関係も考慮する必要がありそうです。

ユニックスのページによると、室内外差圧と換気風量、相当隙間面積には、次の関係があります。

\(\Delta p=\dfrac{1}{2}\rho \times \left( \dfrac{Q/3600}{\alpha A/10000}\right) ^{2}\)

⊿p:室内外差圧(Pa)
Q:換気風量(㎥/h)
αA:相当隙間面積(cm2) ※名前は同じでもC値(cm2/㎡)とは別です。
ρ:空気の密度(kg/㎥)

空気の密度を 1.2 (20℃時の密度)とすると、差圧⊿p と相当隙間面積 αA(cm2)は次式で表すこともできます。

\(\Delta p=4.63\times \left( \dfrac{Q}{\alpha A}\right) ^{2}\)

\(\alpha A=2.15\times \dfrac{Q}{\sqrt{\Delta p}}\)

これらの式からわかるのは、差圧に直接影響するのは C 値ではなく、C 値(cm2/㎡)に床面積をかけた相当隙間面積 αA(cm2であることです。差圧は αA の二乗に反比例しています。また、2 つの値がわかれば残り 1 つの値が計算できることもわかります。

わが家の実験での差圧と風量が動画とほぼ同じと仮定すると、相当隙間面積 αA が動画の条件と同じということになります。動画の条件の αA は 1.9 x 101 = 192 cm2 です。わが家の相当隙間面積 αA が 192 cm2 なら、それをわが家の床面積(142 ㎡)で割ると C 値が推測でき、1.35 となります。

もう少し正確に、動画の条件からレンジフードの風量 Q を計算すると、Q=360(㎥/h)と出ます。わが家のレンジフードの風量と同じと仮定して計算すると、わが家の C 値は 1.41 となります。

仮定が多いので、精度はそれほど高くありません。仮に風量が1割ほど異なって Q=400 だとすると、計算結果の C 値は 1.56 と変動します。

実際のC値との比較

ちなみに、わが家は 5 年ほど前ですが、実際にC値を測定しています。結果をド忘れしてしまったのですが、自分で過去に書いた三井ホームの気密性能の記事を改めて読んだところ、1.1~1.2 だった感じです(自宅を三井ホーム関係者に特定されたくなかったのであいまいに書いたのですが、明記しておけばよかったと後悔…)。

以前の記事でC 値の経年変化について書いたように、C値は築後数年で悪化します。FP の家の 7軒のデータを見ると、5年でのC値の劣化の程度は 0.01~0.51 で、概ね 0.2 前後です。

わが家の場合も 0.2 悪化しているとすると、現在の C 値は 1.3~1.4 ということになり、今回の簡易測定の結果とほぼ一致します。

簡易測定なので ±0.2 くらいの誤差が出るかなと思っているのですが、そのくらいの精度でよければ意外と使えるのではないでしょうか。

また今回は、気密改善策の効果を調べるという目的があり、そのための測定としては、私的に十分です。

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ついでに調べてみたこと

今回の測定では、いろいろ気になったことをついでに調べてみました。

勝手口ドアでも測れるか?

今回は玄関ドアのドア開放力を調べましたが、勝手口ドアでも測定できるでしょうか。

試しにやってみたところ、勝手口ドアは開きやすく、初期値が 0 kgf でした。
それでも負圧にすると圧がかかるのは同じなので、ドア開放力から差圧を計算すると、玄関ドアから計算した差圧とほぼ同じ結果になりました。

とはいえ玄関ドアと比べると面積が小さいので、ドア開放力も小さくなり、測定しにくくなります。どちらかというと玄関ドアのほうがお勧めです。

もっと簡易的な測定はできないか?

上記は C 値を強引に計算してやろうと思って目張りまでやりましたが、これを何度もやるのは大変です。そもそも私が気になるのは、気密改善策の前後で効果を確認したいだけです。

変化の差を測るだけなら、ある程度の差圧がかかる一定の条件下で繰り返し測定すれば、結果を比較できます。

そういうわけで、レンジフードに連動する給気口を閉め、その他の目張りをせず、すべての換気をオフにするだけの測定も行ってみました。結果は 3.7 kgf(初期値を引くと 1.25 kgf) でした(自分用のメモ)。

通常の第一種換気は差圧ゼロか?

ファンで室内の空気を排出する一方の第三種換気と異なり、双方向にファンを使用する第一種換気は一般に差圧がないとされています。しかし、換気システムの給気と排気が同量でも、現実には風呂やトイレの局所換気で常時排気も行われています。排気量>給気量なら、その分、総換気量は大きくなるし、熱交換されるのは一部だけということになります。

空調メーカーに聞いたら「機器の問題ではない」と逃げられ、ハウスメーカーに聞いたら「風呂やトイレが負圧になるだけ」と言われました。

実際どうなの?と思い、通常の換気状態でのドア開放力を測定してみました。結果は 2.6 kgf だったので、初期値を引くと 0.15 kgf です。やはり、住宅全体でも数 Pa の微妙な負圧は発生しているようです。

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窓を開けたら差圧はどう変化するか?

気密性が低いと差圧が測定できないそうですが、それはどの程度なのでしょうか。
窓を開ける面積を追加分の相当隙間面積 αA と見なし、完全に目張りを行った状態から、C値が 1 ずつ悪化するように窓を開けて測定してみました。

すると、測定値から初期値を引いたドア開放力および差圧は、次のようになりました。

1.6 kgf → 15.1 Pa(C=1.4?)
0.6 kgf → 5.7 Pa(窓開けて C=2.4?)
0.35kgf → 3.3 Pa(さらに窓開けて C=3.4?)

住宅の大きさにもよりますが、C 値が 3 以上とかの住宅で差圧を測定するのは難しそうです。

レンジフードの風量は、差圧が大きいと小さくなり、差圧が小さいとカタログ上の風量に近づくはずです。わが家のレンジフードの仕様上の風量は 420 ㎥/h でしたが、これらの相当隙間面積と差圧から風量を計算すると、それぞれ 360、380、410(㎥/h)となりました。C 値をどうしても計算したい方には、風量を推定する参考になるかもしれません。

小屋裏からの漏気はあるか?

前記のとおり、負圧にした状態では、大きな隙間からの空気の侵入を手で感じ取ることができます。
ということは、小屋裏に大きな隙間があれば、小屋裏の点検口を少しだけ開けたときに、そこから強い気流を感じられるのではないでしょうか(天井面が気密層ではない屋根断熱の場合で、天井面に大きな隙間がない場合に限る)。

そう思って小屋裏の点検口を少しだけ開けたところ、弱い気流が感じられました。
おそらくですが、小屋裏の気密は完ぺきではないものの、それほど大きな穴はなさそうです。

屋根断熱で太陽光パネルを載せていて気密の穴が気になる方などは、この方法で何かわかるかもしれません。

レンジフード強を使わないで測定できるか?

レンジフードと一口にいっても、いろいろなタイプがあります。わが家のレンジフードは連動型の給気口があるシロッコファン(円筒型のファン)のレンジフードですが、外壁面に直接設置するプロペラファンのものや、同時給排気型のレンジフードもあります。

この測定では差圧を発生させるため、給気を止めて排気のみを行う必要があり、レンジフードの種類によってはそれが難しいかもしれません。

そこで、レンジフード「強」を使わずに差圧を発生させることができないか試してみました。

レンジフード「強」の風量は 420 ㎥/h ですが、トイレと風呂の換気扇を合計すると約 200 ㎥/h になり、レンジフードの常時換気機能(風量 170 ㎥/h)を使えば、単純合計では 400 ㎥/h に近づきます。

しかしこれは失敗でした。目張りした状態で測定しても 3.0 kgf だったので、初期値を引いて 5.2 Pa という、レンジフードの 1/3 ほどの差圧しか出ませんでした。

これはおそらく、ファンの種類のためでしょう。シロッコファンと違ってプロペラファンは圧力に弱く、圧力がかかると一気に風量が低下してしまう性質があります。差圧から計算した合計風量は 210 ㎥/h ほどしかありません。

そういうわけで、レンジフードのタイプによっては簡易測定も難しいかもしれません。

レンジフードの掃除前後で差はあるか?

実験後に気づいたのですが、そういえば、レンジフードのファンは入居後一度も掃除したことがありません。
フィルター等の掃除はしていましたが、シロッコファンは取り外しが難しそうだったのと、説明書にも「長期にお使いになり、汚れがひどい場合に」手入れすると書かれていたため、まあいいかと放置していたのです。

しかし調べてみると、「半年に一度掃除すべし」という意見もあります。
掃除しないと風量が落ちるそうで、風量が落ちていたら同条件での測定になりません。風量が落ちていたら、差圧が小さくなり、C値は実際より大きめに評価されてしまいます。

そこで慌てて説明書を引っ張り出し、5年目にして初めてシロッコファンを取り外して掃除してみました。
ひどい汚れというほどではありませんが、それなりにしっかりホコリが付いており、換気量に影響しているかもしれないレベルです。

掃除を終えて改めて前記の簡易的な測定を行ってみると、風量が復活したのでしょう。3.7 kgf だった測定値が 3.8 kgf に増えていました。1 Pa ほどの差です。

ということは、わが家の C 値は本当は 1.4 を切るかもしれない、と嬉しい反面、上記のデータの信頼性がやや落ちるので、やはり最初に掃除すればよかったと後悔しました。

新築以外でこれから測定する人は、まず掃除することをお勧めします。

最後に

なお、今回の測定で思ったのは、購入したラゲッジチェッカーは使えるものの、やっぱりアナログ式の「ばねばかり」のほうが使いやすいだろうということです。重さを量るものなので、デジタル式では値が安定すると体重計のように数値を固定してしまい、動的な測定に使いにくいところがありました。電池切れの心配もありますし。

そういうわけで、買い直すまではしませんが、以下のような手ばかりもお勧めです(ドアにかけるベルトがないので、別途ヒモは必要になります)。

また、養生用テープは目張りに大活躍でした。適当なテープで代用すると、テープ跡が残って苦労するので。

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