サンシェードが必要なのは南面ではない | さとるパパの住宅論

サンシェードが必要なのは南面ではない

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夏に冷房費用を抑え、快適な住まいを実現するためには、窓の日射遮蔽が欠かせません。わが家は南北に長い形状であり、それほど日射の影響を受けやすいほうではありませんが、設計段階では以下のようなことを考えて対応しました。

参考 日射の管理で実現する省エネ住宅

今回は、その後、実際に住んでみて気づいたことを紹介したいと思います。

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夏の南面は意外と日が入らない

南面は日射が強いから一番に対策しないといけないと思っていましたが、実はそうではないことに気づきました。夏はほとんど日が入らないのです。

夏至の南中高度

東京の場合、夏至で南中高度は 78 度にもなります。このとき、南向きの高さ 2 m の窓があるとすると、庇(ひさし)が全くない場合でも、日が入る奥行きは 40 cm ほどにしかなりません。そのため、侵入する日射熱の量は意外と大きくありません。

方位別の日射熱取得

このことは、冷房期の日射熱取得率を計算する際に使用する方位係数にも表れています。

東京などの温暖地(6 地域)で庇がない場合の方位係数は次のようになっています(『枠組壁工法住宅工事仕様書』より)。

0.341
北東 0.431
0.512
南東 0.498
0.434
南西 0.491
西 0.504
北西 0.427

つまり、冷房期の日射熱取得は、東>西>南東>南西>南>北東>北西>北の順に多く、日射遮蔽において真南方向の優先度は高くないのです。

実際、夏は西面の窓のほうが横から深く日が差し込み、暑さに大きく影響してくることを感じます。

この数字をよく見ると、北向きに近い方位でも意外と日射熱取得が多いこともわかります。たとえば、北方面の窓であっても、遮蔽がない場合には、最高となる東方面の窓の 67% もの日射熱取得が発生することになっています。

高度の低い日差しは隣の家などで遮蔽されることも多いですが、夏の日射熱を遮蔽するためには、方位にかかわらず面積の大きい窓すべてに注意を払う必要がありそうです。

参考までに、冬季の日射熱が最大になる方位は南、最小になる方位は北で、その差は約 3.6 倍もあります。

南面は管理しやすい

なお、先ほどの例を逆に考えると、高さ 2 m の窓の上部に 40cm 程度の庇があれば、夏至の直射日光は家の中に入らないことになります。つまり、南面については、上の階にベランダがあったり、少しでも軒の出があったりすれば、簡単に日射熱の多くを防ぐことができるのです。

軒や庇で日射を遮蔽する方法は、そのままで冬に日射熱を取り込むこともできるので、非常に簡単です。

追記:夏至については上記のとおりですが、猛暑の 8 月などはもう少し南中高度が下がるため、もっと長めの庇が望ましくなりそうです(一般に窓の高さ x 0.3)。たとえば 8 月末日東京の南中高度は 63 度なので、同じ例で南中時に完全に直射日光を防ぐ庇の長さは約 1 m になります。

日除けのタイプと方位

日除けには、サンシェードや「すだれ」のように斜めに設置するタイプが多くあります。これらは南面でも当然使用できますが、春と秋に出し入れしたり、強風時にしまったりする必要があるので、なかなか面倒です。

これらの日除けは、南面では軒や庇で遮蔽できない場合の手段として使用し、本来は南面以外の方位に設置するのが効果的でしょう。

わが家では、YKK AP のアウターシェード(窓と平行も可能)を新築時に設置したほか、以下のシェードも使用してみました。そのうち、使い勝手なども紹介しようかと思っています。

追記:こちらでアウターシェードの使用感を紹介しています。

植生の日除けを目指した我が家の反省

我が家では、「落葉樹による日射光調節のススメ」で書いたように、なるべく植生で日除けを行うことを目指しています。家の周りには、イロハモミジなどの落葉樹を多く植えています。

しかし、木は成長が遅い!
まだまだ日除けの役には立たず、本格的に活躍するのは何年も先になりそうです。

ゴーヤなどのつる植物なら今からでも間に合うので、今年はちょっと検討中です(枯れた後の処理や水やりも面倒なのでたぶん何もしません)。

関連 窓辺の表面温度から植生による日射遮蔽の効果をチェックしてみた

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