今のところ全館空調を止める予定はありませんが、将来的には止めることもあると思っています。全館空調の入れ替え工事が必要になり、払いたくないほどの費用が想定される場合や、ダクトが汚染した場合、長期にわたって家を空けるときなどです。
そんなときに心配なのが、24時間換気をどうするかという問題です。全館空調には24時間換気設備が組み込まれているため、止めた場合には別の換気手段を考えなくてはなりません。
全館空調のメーカーの人にちょっと聞いてみたところ、実際に、住人が換気できなくなることに気づかずに全館空調を止めてしまい、問題になる事例もあるとのこと。しかし肝心の換気の代替案については、「それはないだろ」と思ってしまうような雑な提案しか聞くことができませんでした。
【追記】コメントによると、デンソーの全館空調は換気単独で使用できるようです。東芝の場合ではどうなのかを別のメンテナンス担当者に聞いたところ、悩んだ末におそらく換気だけで使えるとのことでした。東芝では部品交換で長期対応していくケースが多く、そういう事例は聞かないとのこと。いろいろな人に聞いていますが、結局、数十年先のことはわからないという投げやり(楽観的?)な回答に行き着きます。将来的に、低コストで本体を高効率な最新型に交換し、ダクトを清掃できるようになるというのが理想ですが、どうなることやら…
仕方ないので素人なりに自分で考えたのが、以下の方法です。
別の第一種換気に切り替える
できるかどうかはわかりませんが、全館空調は第一種換気システムが組み込まれているので、別の第一種換気システムを導入するのなら、既存の換気経路を活かすことができるはずです。
ただ、全館空調のメーカーの人の話によると、全館空調を全交換する際は、仮の住まいに引っ越しての大掛かりな工事になるとのこと。別の第一種換気システムに置き換える場合も、ダクトの交換を伴うとなると同様に大規模な工事になり、費用も労力も大変なことになりそうです。
第三種換気に切り替える
私が有力視しているのは、第三種換気に切り替えることです。しかし、第一種換気と第三種換気とでは換気経路がまったく異なります。
現在の全館空調(第一種換気)の住宅には給気口も一箇所しか設置されていません。第三種換気では、各部屋に給気口(レジスタ)や給気口付きサッシが設けられています。
そこで思い出したのが、『本音のエコハウス』に書かれていた第三種換気の実態です(関連情報は以下記事を参照)。
給気量のムラに注意
これらによると、第三種換気の住宅に設置される給気口(レジスター)の相当隙間面積の合計は、C 値 1 の住宅の隙間面積の合計と同じくらいです。つまり、三井ホームのわが家のように C 値が 1 以上ある中途半端な気密性能の住宅では、第三種換気と同様に負圧にすれば、新たにレジスターを設置しなくても住宅の隙間からだけでも必要な給気量を確保できることになります。
ただしこれは総量の話で、住宅の隙間が各部屋に均等に分布していればよいのですが、実際はそうではありません。隙間の多い引き違い窓や上げ下げ窓などがある部屋はよいとして、そうでない部屋は給気が不十分になる傾向があるでしょう。第三種換気に切り替えるとしても、第三種換気以上に、部屋ごとの換気量のムラが課題になります。そこはサーキュレーターなどで部屋間の換気を強化したり、時々窓を開けるなど、個別の対応が必要かもしれません。
とはいえ、わが家をチェックすると、各個室にはすべて引き違い窓があり、給気不足が問題になりそうな部屋は特にありません。
実際にやるとなったら二酸化炭素を測定したりして換気が十分かをチェックしようと思いますが、意外とイケそうな気がします(より高気密な住宅や、もっときちんとしたい場合はレジスターを新設したほうがよいとは思います)。
排気量を確保する方法
第三種換気には、住宅内の空気を外に排出する換気扇が必要です。しかしよく見ると、わが家にはすでに、常時排気に使える換気扇が複数あります。トイレ 2 箇所と浴室の換気扇はすでに24時間排気しているし、シューズクロークにも換気扇があります。
なかでも一番大きいのが、レンジフードの常時換気機能です。これは普段使用していませんが、オンにすれば常時 170 m3/h の風量を確保できます。
住宅に必要な換気量の計算例は、以下のような感じです。
素人計算ですが、わが家の場合、必要換気量は約 193 m3/h なので、レンジフード(170 m3/h)と浴室換気扇(50 m3/h)だけで総量的には足りています。
足りない場合、トイレや浴室の換気量は設定で増やすこともできます。
最後に第一種換気の給気口と排気口を塞いでしまえば、第一種換気から第三種換気への切り替えは完了です。素人の考えであり、あまりに簡単すぎて不安ですが、ダメでしょうか?
推奨はしませんが、換気を一切考えずに換気システムを含む全館空調を止めてしまう住宅もあることを思えば、それよりはずっとマシではないかと思っています。
長期間留守にする場合の考慮事項
上記は全館空調の使用をやめることを想定して書きましたが、長期にわたって家を留守にするなど、一時的に全館空調を止める場合も同様の対応が可能と思われます。
長期にわたって家を留守にする場合は、以下の点にも注意することをお勧めします。
ブレーカーを落とす
長期間使用しないときはブレーカーを切ることが推奨されています。
全館空調のブレーカーを落としておけば、専用の低圧電力契約を結んでいる場合、月々の使用量がゼロになり、基本料金を半額に抑えることができます。
再開時の注意
説明書によると、長期間停止していて運転を再開する場合、運転再開の 12 時間以上前にブレーカーを入れる必要があるそうです。入れてすぐに使用することはできないのでご注意ください。
封水の蒸発対策
長期間家を空ける場合、排水管のトラップの水(封水)が蒸発し、下水からの臭気が室内に入ってしまうことがあります。栓をしたり、専用グッズを使ったりすることで対策できるようです。
加湿ユニットを乾燥させる
説明書には書いてありませんでしたが、全館空調に加湿機能が組み込まれている場合、使用を一時停止する前に加湿ユニットを乾燥させておいたほうが良いと思います。加湿ユニットを濡れたまま放置したらカビが生えるのは当然だからです。給水栓を止め、しばらく暖房や送風を行えば乾くのではないでしょうか。
コメント
うちはデンソーの全館空調ですが、換気システムは単独で使えます。全館空調の室内外機は修理しながら20年くらいで更新ですが、うちだとあと数年後、築20年頃更新する予定です。さらに20年後だと自分の人生は終わっていてカミさんが暮らしている可能性が高いので、1. 2階に1台ずつエアコンを設置できるようにスリーブと200vコンセントを用意しておく予定です。終活の1つですね。
コメントありがとうございます。
デンソーの全館空調は換気単独で使えるのですね。
東芝のはどうなのか、近々メンテナンスが入るので確認してみようと思います(→追記しました)。ダクトの汚染を考えると、数十年後も第一種換気を使い続けたいと思えるかわかりませんが。
エアコンを設置する場合のことは建築時に考えていなかったのでコンセントなどを用意しておけばよかったと後悔していますが、私もいつか検討することになりそうです。
探していた記事が見つかった…
全館空調がついた都内の中古戸建てを検討しています。好きなのは建物と場所で全館空調はいらない。ランニングコストが高そうでスイッチオフにしたいのですがまさに第一種換気も兼ねてるので消せないのではと悩んでいます。
どれだけ調べても自分で使ってないので何か見落としとかありそうだし購入に踏み切れないですね。
固定資産税、メンテナンス費、ランニングコスト、全部合わせて他住宅よりも年間20万円くらい高いと思うんですよね。その上全館空調本体交換必要なら+200万でしょう。やばくないすか?
コメントありがとうございます。
全館空調は全体的にやや高めの贅沢設備なので要確認ですね。
全館空調の長期対応はメーカーによって異なります。デンソーの全館空調では20年くらいで機器入替することになり、性能も向上しますがやや高額になります。一方、東芝の場合では部品交換で対応するので50万前後の出費が予想されますが、性能の向上は期待できません。各部屋に多数のエアコンを設置するよりはすっきりするし、快適ではあるのですが。