「アルミ樹脂複合サッシでは結露が発生するので家が腐り長持ちしない」と高断熱住宅の会社が言っていることについてどう思うか、というご質問をいただいたので、私見を述べたいと思います。
アルミ樹脂複合サッシはわが家でも採用しているため、窓の結露で家が腐るというのは私もよくわからず少し不安なところです。目に見える表面結露はほとんど問題に感じませんが(わずかなカビ問題のみ)、枠の内部で見えない結露水が発生している可能性は否定できません。これについては、サーモスX などの高断熱なアルミ樹脂複合サッシでも問題があるのではないかと言う方もいらっしゃいます。
よくわからないのでこれまで書いてきませんでしたが、アルミ樹脂複合サッシが広く採用されてそれなりに年月が経っているのに社会問題化していない(私が知る限り)ことから、問題になるのはさまざまな悪条件が重なったときくらいなのではないでしょうか。悪条件とは、室温と湿度を高く設定している、24時間換気を止めている(意外といるらしい)、窓枠まわりの細かい処理が不十分、内部の結露水が逃げにくい構造になっている、などです。
このような住宅は多くないので、あまり問題になっていないように感じています。また、問題が発生するとしても局所的であり、柱などの重要な構造部材が腐ったりすることは考えにくく、家が倒壊しやすくなるという問題も生じにくいように思います(多くの問題事例を見ているという方がいらっしゃればコメントお待ちしております)。
私はマンション暮らしの頃、アルミサッシ単板ガラス・鉄筋コンクリートの低断熱高気密住宅で換気せずに暖房と加湿器を多用し、大量に発生する結露水をきちんと拭かずに10年くらい住み続けていましたが、カビは発生したものの木材(内装材)の劣化はそれほどひどいものではありませんでした。住宅の構造は異なりますが、アルミ樹脂複合サッシでもアルミサッシよりはずっと高性能であり、見た感じの表面結露もずっと少ないことから、ほとんどの場合は問題にならないような気がします。
ただ、アルミ樹脂複合サッシが、より高断熱なサッシと比べて結露の問題が生じやすい傾向があることは確かです。そのため、気を付けるとすれば、冬は暖房と加湿を控えめにして、絶対湿度が高くなりすぎないようにしたほうがベターだとは思います。絶対湿度の高い生活を送るためには高い気密・断熱性能が要求されるという面はあります。
参考 インフルエンザにかかりにくい絶対湿度を実現するためには高性能住宅が必須
結露の問題はケースバイケースであり、どの程度で問題になるのかがよくわからないのですが、窓の結露に関してはその程度の認識です。私としては、気流止めが不適切なために壁内や屋根裏に結露水がたまるという問題のほうが、多くの住宅の耐久性にとって大きな問題だと思っています。
なお、三井ホームはアルミ樹脂複合サッシで全館空調付きの住宅を多数建てている実績があります。近年では加湿機能付きの全館空調が主流です。問題があるとすれば表面化しやすいので、チェック対象としてお勧めです。
コメント
私のコメントを記事にしていただきありがとうございます。
これまでの主流のアルミサッシでも、躯体が腐ることが社会問題化していないのを考えると案外大丈夫かもしれませんね。
実際の所、住宅業界の広告は不安を煽る内容が多いと思います。
今後もブログの更新楽しみにしてます。
それでは失礼します。
住宅業界の広告は本当に何をどこまで信じていいのかわからなくなりますね。複合サッシで木が痛んだという事例もあることは事実なのでしょうが。。
アルミサッシが主流の時代の戸建住宅については、気密も断熱も低いがために局所暖房の住宅が多かったので、温度と湿度の内外の差が小さく、問題にならなかったという面もあるかと思います。1980年以降の住宅では、石油ストーブの燃焼などで発生した水蒸気が壁内や天井裏に移動して劣化させており、耐久性の観点では問題があると感じています。
関連 木造住宅の寿命は20年~200年?住宅仕様と耐久性の変遷
近年のそこそこに高気密・高断熱な住宅仕様で全室暖房と加湿を行って長期的に問題がないかは、私でも少し不安に感じるところもあります。
ただ近年は剛床工法、外壁通気層工法、防湿シートなどが普及しており、1999年の次世代省エネ基準や長期優良住宅の仕様に沿って建てられた住宅などは、完璧とは言えなくてもだいぶマシになっていることが予想されます。
わが家も高断熱住宅に詳しい住宅会社の仕様と比べると不十分な点が多くあるので、今後本当に問題がないかは長期的にチェックしていきたいと思っています。
とりあえず、3 年程度で目に見える問題は発生しておりません。
また何かございましたらお気軽にご連絡ください。