9月9日、台風の影響により午前4時からわが家でも停電が発生しました。実際に体験してみると、準備不足による不便がいくつも発生し、日頃の備えの大切さを痛感させられました。今回の体験から今後の対策を考えてみたいと思います。
被害の状況
今回の台風15号は、雨、風ともに関東では久しく経験していなかったレベルの非常に強い台風でした。停電は、シャッターがないために風雨の音に悩まされて深く眠れないなか、まだ暗い午前 4 時に発生しました。近隣に大きな木が倒れているところがいくつもあったので、送電線にトラブルが発生したのでしょう。
不幸中の幸い、近隣の住宅や店舗は停電していないところも多く、物資の調達に困ることはありませんでした。
停電も、半日後の夕方には復旧されました。早期の復旧に尽力された東京電力関係者の方々には本当に感謝しかありません。
一方、地域によっては大規模な停電が長期間続いているうえ、断水まで発生しているところもあります。停電が続く事態の深刻さは想像を絶するものと思われます。皆様のご無事と早期の復旧を願うばかりです。
追記:台風15号被害に対しては「ふるさと納税」を通して募金できます(詳細はこちら)。
停電は想像以上に不便
今回、止まったのは電気だけで、ガス、水道は止まってはいませんでした。しかし、止まっていなくても電気がないと使えないものが意外に多いことに苦労しました。
火が使えない
まず給湯器が使えないのは仕方ないとして、換気扇が使用できないのでガスコンロを気軽に使えません。それなりの高気密住宅では、換気が完全に止まった状態で使用するのは危険だと思ったからです。窓を開ければ使えますが、暴風雨が過ぎ去るまでは無理でした。
また冷房期には、窓を開けて使用しても室温が上がってしまうデメリットもあります。エアコンが使えないので、停電が続くなら調理(温め)は外でやるつもりでした。
シャワーを浴びられない
朝シャワーを浴びたくても、ドライヤーが使えないとすぐに髪を乾かすことができず、出勤前には時間がありません。お湯も使えないし、洗濯物は増えるしで、いろいろ考えるとシャワーは諦めました。
トイレが流せない
一番意外で困ったのが、トイレが流せないことでした。ウォシュレット一体型トイレには手動レバーが付いていないタイプがあり、電気が止まると簡単には流せません。
わが家のトイレは手動レバーは付いていたものの、使い方どころか存在さえスッカリ忘れていたうえ、暗く狭いトイレでは操作方法を確認することすらできませんでした。
結局、何度も洗面器を使って流すことになってしまいました(バケツのほうがやりやすいです。コツも要ります)。このトイレでは以前、ウォシュレットのリモコン電池が使用中に切れたこともあり、なかなかの試練を与えてくれます。
停電による室内温度の変化
停電が発生すると、全館空調と 24 時間換気は完全に停止します。
せっかくなので、最低気温 25℃、最高気温 33℃の晴れた日に無冷房で室温がどう変化するのかを確認してみました。
停電時の朝の室温は約 24 ℃でした。台風が去ったあとは日差しが強いので、日射熱取得をなるべく少なくするよう、シェードやシャッターを閉め、カーテンも明るさを確保できる程度に閉め切りました。
すると、気温が最高になる 14 時頃の室温は高いところで 26 ℃程度で収まり、外と比べると断然涼しいくらいでした。しかし 17 時頃になると西日の影響が蓄積したのか、北側は 25 ℃で問題なく過ごせる温度でしたが、暑い部屋では室温が 27 ℃になり、湿度が高いのでやや不快な暑さになってしまいました。
それでも外よりはだいぶマシなので、日中閉め切る作戦は、まあよかったのではないかと思っています。
ただ、日射熱取得が多い住宅や断熱が弱い住宅、在宅人数が多い住宅などでは、閉め切ると逆効果になることも考えられます。
また、ずっと換気を止めていると空気がよどんだ感じになり、居心地はいいものではありませんでした。停電が続けば夜間の涼しい時間に窓で換気するつもりでしたが、外が暑くても必要に応じて換気したほうがいいかもしれません。
停電で冷蔵庫の中身は?
停電時に困るのは、冷蔵庫、特に冷凍庫の中身です。今回は急いでクーラーボックスに移しましたが、最近の省エネ冷蔵庫は保温性が良いので、なるべく開けずにそのままにしておくのが良いそうです。17 時頃に一度も開けていなかった製氷室を見たら半分も溶けていなかったので、これは有効だと思います。
ふだんケーキなどに付属する保冷剤をケチ臭くため込んでいたことが幸いし、被害は部分的に解凍される程度で済みました。夕食は、解凍されてしまった傷みやすい食材を温めて賄うことになりました。
ただ、この方法のコツは冷蔵庫をなるべく開けないことですが、そう思えば思うほど、「あれあったっけ?」とつい開けたくなってしまう気持ちが膨らんでしまいます。
そんなわけで、今度から停電したら、冷凍庫から保冷材の塊を一部取り出して冷蔵庫の一番上に置き、その際にスマホで中の写真を撮っておこうと思いました。
いますぐ確認しておきたいチェックポイント
今回、停電の前に確認しておくべきだと思ったことは以下の通りです(水・食糧などの備蓄も当然必要です)。
- 電動シャッター、電動式カーゲートなどの開閉方法がわかるか
- 停電時にトイレを流せるか
- 照明・電池の備えは十分か
- カセットコンロはあるか
- モバイルバッテリーが使えるか
3 の照明については、小さいランタンや懐中電灯をいくつか用意していても、それで生活の作業をこなすとなると明らかに光量不足でした。キャンプで使うようなランタンが活躍します。電池式の明るさ 400 ルーメンくらいで明るい GENTOS の LED ランタンが何個かあると重宝すると思います。
4 のカセットコンロは今回は使いませんでしたが、外で使えるので、IH の家庭だけでなく都市ガスの家庭でもあると便利だと思います。レンジも使えないので、お湯を沸かせることは停電時には特に有難いことです。
5 のモバイルバッテリーも、次にいつ充電できるかわからないままスマホに頼る心細さを和らげてくれるので、持っていて本当に良かったと思いました。ただし充電が少なかったので、きちんと使える状態にしておく必要があります。私が使っているのはAnker PowerCore 10000ですが、非常時にはソーラー充電タイプが便利かもしれません。
このような防災グッズは災害直後は通常より手に入りにくくなり、値段が高騰することもあるのでご注意ください。
通電火災を避けるためにブレーカーを落としておいた場合、復旧したかどうかの情報は待っていても入ってきません。大まかな情報は防災ラジオで得られるかもしれませんが、〇丁目単位の細かい復旧情報は電力会社のサイトで都度確認するしかないのです(メール通知サービスが欲しい)。
追記:登録した住所の停電情報をスマホにプッシュ通知できる「TEPCO速報」というアプリがあったのでインストールしました。東電以外も似たようなアプリがあるかもしれません。
先行きがわからないまま電池を使うのは不安なものです。太陽光パネルもないわが家では、いざというときに車からも急速充電できるよう、シガーソケットの USB カーチャージャーも用意しておくことにしました。
なお、電力会社 Web サイトの停電情報は、近隣で停電していない地域を探すことにも使えます。いざというときの給油・買い出し先、避難先を検討する場合に役立ちます。
※このページに関連する収益(だいたい)は台風15号被害支援金に募金いたします。証拠は残しませんが。
(9/29 追記:微々たるお金ですがセブンイレブンを通じてちゃんと募金しました。本当に。本当ですって!)
(さらに追記:その後の台風19号では浸水など別の被害も深刻です。募金はYahoo!基金からTポイントでも可能です。)
コメント
さとるパパさま、初めまして。
家づくりの勉強を始めたばかりの者です。
三井ホームは無理ですが、大変参考になります。これからも更新期待しております。
(具体的なコメントでなく、申し訳ありません)
コメントありがとうございます。
自分の記事がどう受け取られているのかよくわからないので、そういっていただけると励みになります。
これからもよろしくお願いします。