全館空調を採用している家庭では、一般の電力契約のほかに、低圧動力プランを契約している場合があります。
低圧動力プランは、一般の電気プランと比べて基本料が高く、従量料金が安いという特徴があります。
低圧動力にも規制料金と自由料金があり、東電の場合はそれぞれ「低圧電力」と「動力プラン」という名前が付いています。
電力自由化により、低圧動力においても電力会社は自由に選ぶことができます。
しかしながら、つい最近まで、こちらの新電力比較サイトのページに記載されているように、新電力の動力プランは大手電力より割高になっているケースが多い状況が続いていました。
そのため、私もこれまでに何度か検討したものの、結局メリットがないと判断し、東電の規制料金プラン(低圧動力)の契約を継続してきました。実際、燃料費調整単価が上昇していた2022年の冬頃は、燃料費調整単価の上限のおかげで、電気代の上昇幅を抑えることができたと思っています。
ところがどっこい、東京電力では 2023年6月からの値上げが発表され、「低圧動力」では 1kWh あたりの料金が 4.96 円上がることが決定しました。
この 4.96 円というのが曲者で、これまでの料金単価(15.83 円~)に上限の燃料費調整単価(5.13 円)を加えたうえに 4.96 円上乗せされるという意味であり、料金単価だけで見ると 10.09 円も上がっています。
また、規制料金見直しにより、燃料費調整単価の上限が適用されることは当面なくなります。
このため、規制料金が自由料金プランに対して優位だった状況は変化することが予想されます。
そこで、2023年6月以降の新料金制度に基づいて、各プランで料金がどうなるのかを試算してみた結果がこちらです。
東電の「低圧動力(従来)」は廃止される料金のため、参考値です。
- 基本料金は力率割引適用後の金額です(ある場合)。
- 表に記載の電力量料金は夏季以外の料金であり、夏季料金は異なります(約 +1.6 円)。
- 料金は税込で、再エネ賦課金と激変緩和措置は除外しています。
- 出光(idemitsuでんき)では、電気代に省エネ割引を適用しています。使用量に応じて若干高い単価が適用されるしくみなどもあり複雑なので、詳細は公式サイトの該当ページをご確認ください。
料金の見直しにより、規制料金の電気代は1割ほど高くなっています(激変緩和措置で単価が 7 円引きになるため当面の請求額は安く感じられます)。
新料金になっても東電の自由料金プラン(動力プラン)が割高なのは相変わらずで、これを選ぶ理由が見つかりません。
そしてやはり、自由料金プラン(例:出光興産のidemitsuでんき)は従来の規制料金プランより高いものの、東電の新料金よりは安く、魅力的に見えます。
低圧動力プランにおいても、自由料金を含めて検討したほうが良い時代になったようです。
東京ガスの低圧動力プラン「ずっとも電気3」も、ほぼ同程度の電気代になりそうな感じでした。探せば他にもありそうですし、どれがお得かは、おまけのサービスや使用状況によって変わってきます。
これらのプランに共通するのは、東電の自由料金と同じ計算方法の燃料費調整単価を採用していることです(記事執筆時点)。
独自の市場価格調整単価や独自燃調を採用する電力会社が増えていますが、これらは除外しました。
たとえば、シン・エナジーは燃料費調整単価の代わりに独自の燃調単価を採用しており、現時点では非常に安くなりますが、調整単価の計算方式が大きく異なるため、今後の JEPX 高騰時のリスクを考えると微妙です(詳細:電源調達調整費(独自燃調)の注意点)。
※これらの情報はあくまで現時点(2023年5月時点)での情報であり、今後各社の料金見直しによって状況が変わる可能性があるのでご注意ください。
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