電力供給が不安定化するなか、太陽光発電を設置するべきか | さとるパパの住宅論

電力供給が不安定化するなか、太陽光発電を設置するべきか

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わが家は太陽光発電を設置していません。それにはさまざまな理由がありますが、最近では少し後悔していることもあります。

太陽光発電が必要かもしれないと考えるようになった背景は、主に将来の電力供給の安定性と価格高騰に対する不安です。このことについて、私見を述べたいと思います。

不安定化する電力供給

一昔前は停電など滅多に起きることはありませんでしたが、東日本大震災以降、電力事情は大きく変化しました。

稼働しない原子力発電

一番大きな変化は、電力供給上、経営上、あるものとして組み込まれていた原子力発電がほとんど停止したことです。

夜間電力を安くする制度を含め、以前の電力供給システムは原子力発電を利用することを前提として設計されていました。そんななかでも、原子力発電を徐々に減らしていくのであれば対応しやすいものですが、急に運転を止めることになったので、代わりに既存の火力発電の稼働率を上げる必要に迫られるようになりました。これには老朽化した発電所が含まれており、これらのコストや環境負荷が高く、故障も起きやすいことは簡単に想像が付きます。

この結果、電気料金が上がり、電力の安定供給に問題が生じやすくなったことは、原子力発電の是非はともかく、近年の状況を見れば事実でしょう。

2018 年に起きた北海道の大規模停電は、原子力発電所が稼働していれば防げた可能性もあります(この議論についての参考外部記事はこちら)。

また、他の地方でも同様の停電リスクが高まっているという指摘もあります。

電力自由化に伴う供給義務の撤廃

電力が自由化されたことは一見よいことのようですが、そう単純なことではありません。

個人的には電力会社を切り替えて電気料金が安くなりましたが、無視できないのは、自由化に伴い、電力会社の供給義務がなくなるということです。

これまで電力会社に課されていた供給義務がなくなるのは 2020 年度以降であり、すぐに変化は生じないかもしれません。しかし、義務がなくなれば、これまでのように電力会社が安定供給のために苦労することが減り、より経営的に合理的な判断が行われるようになります。

将来的に電力供給が一層不安定になることは間違いないでしょう。

再生可能エネルギーに期待せざるを得ない国の政策

温室効果ガスの排出量に関して圧倒的に有利な原子力発電を停止したまま、「2030 年までに温室効果ガス排出量を 2013 年比 26% 削減する」というパリ協定を守ることは、はっきり言って非現実的な目標です。

しかしながら国としては真面目にその方向で施策を考えなくてはならないので、今年閣議決定された第 5 次エネルギー基本計画外部参考記事)をはじめ、2020 年までの新築住宅標準 ZEH 化などの大きな(無理な)目標を打ち立てているのが現状だと思います。

ZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)を目指すべきではない理由」にも書いたように、ZEH は条件がややこしいだけでなく初期費用が高くつくため、みんながみんな導入すべきものではありません。初期費用が高くなるからと言って、そのために国民から集めた税金を補助金として注ぎ込むというのも、公平な所得の移転という観点からどうかと思います。

なんにせよ、国としては、太陽光発電などの再生可能エネルギーを増加させていく方針です。再生可能エネルギーの出力が不安定なのは周知の事実なので、この面でも、電力供給は不安定化する傾向にあると言えます。

また、再生可能エネルギーは補助金なしでは厳しい場合がほとんどなので、増やせば増やすほど発電コストは上がり、電気料金が上がることが予想されます。

太陽光発電を設置すべきか

上記のように電力供給が不安定になり、停電が多発するようになるのであれば、それに備えないわけにはいきません(「全館空調が止まったときのための備えを検討する」に書いたように、わが家の場合は基本的な防災グッズや寝袋などが必要になります)。

余裕があれば太陽光発電+蓄電池を

将来への備えとして、蓄電池付きの太陽光発電はやはり魅力的です。太陽光発電装置だけでは非常時にあまり電気を利用できませんが、蓄電池があれば自家消費を増やしたり、非常用電源として利用したりすることができます。国が電力の地産地消を勧める背景には、暗に「今後の電力供給は不安定になるから自分で何とかしてね」という意味もあるのではないかと思うほどです。

太陽光を利用するなら太陽熱温水器のほうが高効率でエコですが、電気には汎用性があります。電気なら、暖房にも、調理にも、通信機器にも、照明にも(電池式 LED ライトも非常時に役立ちます)利用することができます。

蓄電池の問題は、導入コストです。蓄電池の価格は安いものではありません。今後多少は安くなるものと思われますが、いくら安くなったとしても、自家消費で儲けたり、元を取ったりすることは困難ではないかと思います。

しかし、非常用電源やエコのためには、多少の追加費用はやむを得ません。経済的余裕がある方にとっては問題ないレベルでしょう。早いうちなら、補助金も受けられるかもしれません。(別の言い方をすれば、現在の日本の電力事情は経済的余裕がない方に大きな負担を強いる仕組みに変化しているということです)。

個人的に後悔していること

私個人としては、現時点で、わが家に太陽光発電や蓄電池を導入するメリットは大きくないと考えています。太陽熱温水器はもう少し真剣に検討してもよかったかもしれないと思いますが、太陽光発電を採用しなかったことは後悔していません。

しかし、将来の電力供給事情がどれだけ酷くなり、電気料金がどれだけ高くなるのかは、実際のところ、よくわかりません。将来的には、太陽光発電や蓄電池のシステムをもっと安く導入できる可能性もあります。何十年か経ってから、太陽光発電を導入したい、と思う可能性は 2 万パーセントあり得ないわけではありません。

個人的に後悔しているのは、将来的にいつでも太陽光発電を導入できるよう、設置する可能性を検討しておけばよかった、ということです。屋根形状などは後から変更できないので。

追記:2019年9月、わが家でも台風による停電を体験しました。千葉県で被害が大きく、9日から1週間以上たった17日時点でも6万軒以上の停電が続いています。まれにみる強風ではありましたが、東電がインフラに投資する余裕がなくなった分、被害が大きく長期化している面もあります(「送電関連の設備投資の抑制による電柱の老朽化が倒壊を増やした可能性は否めない」日経新聞9/11より引用)。この停電を機に、太陽光パネルもあったほうが役立つし、ないならないでそれなりの備えが必要だと思いました。

詳細記事>>全館空調で停電を体験して思ったこと(冷房期)

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