「換気できるエアコン」の注意点(換気量、換気システムへの影響)

換気に対する注目が集まっている昨今、「換気できるエアコン」が注目されています。
感染症対策に限らず、適度な換気をムラなく行うことが重要なのは言うまでもありません。

とはいえ、換気は通常、建築基準法で定められている24時間換気で行うものです。
エアコンで換気する必要性があるのかというと、特にない気もします。

「換気できるエアコン」が話題になるほど、エアコンの換気ってどうなの?という疑問が膨らんできたため、ちょっと調べてみました。

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換気できるエアコンはダイキンだけ?

空気清浄ができるエアコンは昔からありますが、外気を取り入れる換気ができるエアコンは、現在、ダイキンの RXシリーズと MXシリーズ 2020 年モデルだけのようです。「うるさら」には、一般のエアコンにはない無給水加湿用のホースがあるので、これを換気に利用しているのでしょう。

空気清浄と換気は、似て非なるものです。空気清浄は室内の空気を循環させるだけで、二酸化炭素などの物質は減らすことができません。一方、換気は外気と交換することで、空気中のあらゆるものを希釈することができます(寒い時期に逃がしたくない室内の熱や水分なども…)。

そんなわけで、この うるさらX RXシリーズの換気機能をチェックしてみました。

換気量はどの程度か?

まず気になったのは、エアコンの換気量です。
24時間換気の必要量と比べて、多いのか、少ないのか。

換気量はエアコン能力クラスによって異なるので、次の表に、製品紹介ページに記載されていた換気量(太字)と、それらの数値を基にした計算値を示します。

換気できるエアコンの換気量

エアコンの換気量はホース長さなどの諸条件によって低下するようですが、運転モード「」での換気量がこのくらいとのことなので、これがだいたい最大値でしょう。

計算値について説明すると、6 畳用エアコンを 6 畳の部屋に使用した場合、天井高を 2.5m と仮定すると、部屋の空気の体積(気積)は、6m x 1.8m x 2.5m = 27 m3 となります。
建築基準法で要求される換気量は 1 時間に 0.5 回以上(=換気回数 0.5 回/h)なので、部屋では 14m3/h の換気量が確保できればよいことになります。

これに対し、「換気できるエアコン」の換気量は 22m3/h なので、必要換気量の約 1.6 倍の換気が可能という計算になります。
換気回数に換算すると、エアコンによる換気だけで換気回数 0.8 回/h を実現できることになります。

なかなかの換気量ですが、これが音のうるさい「強」運転での最大値であることには注意が必要です。

また、表を見るとわかるように、エアコンが大きくなればなるほど、必要換気量に対する割合は小さくなっています。

それに加え、この計算は、畳数のとおりにエアコンを使用した場合の計算です。たとえば 6畳用エアコンを 12畳の部屋に使用している場合には、エアコン換気の必要換気量に対する割合(および換気回数)は表の半分になります。

エアコン畳数のルールは古すぎて現代の戸建て住宅やマンションでは当てにならないので、そのことを考慮して小さめのエアコンを選定していれば、大した換気量は期待できないでしょう。

詳細 エアコン畳数と断熱性能の関係(一般的な住宅の場合)

これらのエアコンの換気量が少なすぎると言いたいわけではありません。
換気量が大きすぎると冷暖房が効かなくなったりもするため、絶妙な換気量に思います。

以上のことから、「換気できるエアコン」の換気量は不安定であり、高断熱住宅では不足しがちになるため、あくまで補助的なものと考えるべきでしょう。人が集まるところで、窓を開けずに若干換気量を増やすことができる、というのがこのエアコンの付加価値であり、基本は 24 時間換気です。

給気換気の副作用

換気できるエアコンの機能説明を見ると、「給気換気」と書かれています。

これはどういうことかというと、換気設備には、外気を室内に送る「給気」と、室内の空気を外に排出する「排気」の2 種類があります。つまり、換気できるエアコンは、外の空気を室内に送る一方向の換気を行うということです。

住宅の換気設備としては、「給気」と「排気」にそれぞれ換気扇を設置する第一種換気システムと、「排気」にのみ換気扇を設置する第三種換気システムが多く採用されています。

詳細 第一種換気と第三種換気 – 特徴とコスト、デメリット

多くの住宅の換気は、「排気」のみに換気扇を使用する第三種換気です。常時稼働している換気扇で室内空気を排出すると、家の中の空気は負圧になります。負圧になると、給気口や隙間を通じて外から自然に空気が入ってくるため、家中が換気されるという仕組みです。

ここで気になるのが、そんな仕組みの住宅に、「換気できるエアコン」という給気設備を入れてよいのかという問題です。

給気と排気で第一種換気と同じになるのでは、と思うかもしれませんが、第一種換気システムでは給気量と排気量が同じくらいになるように設計されているし、第三種とは空気の経路も異なります。

「換気できるエアコン」で給気換気を行ったら、その分、負圧が弱まり、エアコンのない部屋の換気量が減ってしまうのではないでしょうか。

床面積 100m2、天井高 2.5m の住宅の必要換気量は 125m3/h です。これに対し、上記のエアコン換気量が相殺されるとすると、若干の影響は出ることでしょう(当然ですが、エアコン換気を使わない時間は影響しません)。

とはいえ、多くの住宅では大して問題ないとも思います。
そもそも、戸建住宅で第三種換気がきちんと機能するほど高気密な住宅は少数派です。24 時間換気が義務付けられる前の戸建住宅は、隙間を通じた自然換気だけでも換気不足にはならないでしょう(石油ストーブを使う場合は別)。

詳細 低気密・中気密は何がどう問題なのか

影響が出やすいと思うのは、床面積が小さくて気密性能が高い、鉄筋コンクリート造のマンションです。エアコン換気を常時使用するのであれば、「換気できるエアコン」を設置している部屋以外が換気不足気味になるかもしれません。ただ、常時使用する使い方をする人も少数派なので、問題ないケースがほとんどでしょう。

結論として、「換気できるエアコン」の換気は、一般的な住宅でエアコンを間欠的に使用する場合に換気量を増やす、という使い方が適当です。高気密・高断熱住宅で連続運転し、常時換気の一部として使用する機能としては、向いていません。強運転はほとんど使わないですし。

一時的に換気量を増やしたいとき、私なら、窓を開けずに 24 時間換気の換気量を増やすため、エアコンの換気機能に必要性を感じません。無給水加湿用のホースがあるダイキンにしか採用しにくい独自機能ですが、これがあるからといってダイキンにしようとは思えませんでした。

ダイキンが嫌いなわけではなく、むしろ好きなのですが、「ダイキンの「うるる加湿」の効果が期待できない理由」という記事も書いています。ご参考までに。

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