高断熱・高気密の重要性が住宅業界でまだまだ認識されていない原因と結果 | さとるパパの住宅論

高断熱・高気密の重要性が住宅業界でまだまだ認識されていない原因と結果

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当サイトをご覧になってるような皆様は、住宅購入で失敗しないよう、いろいろなサイトを見たりして勉強していることでしょう。

そして、いい住宅を建てるためには高断熱・高気密が重要だ、という意見は当サイトに限らず多く目にしていることと思います。

それからさらに勉強した方は、UA 値や C 値といった指標についても知識を付けています。

しかし、その段階で実際に住宅展示場に出向いたりすると、拍子抜けするような現実が待ち構えています。住宅の説明を受けていても Q 値や C 値なんて話はまったく出てこないばかりか、質問してもまともな答えすら返ってこないからです。少し突っ込んで聞いてみると、「そんなところにこだわるなんて面倒くさい客だ」と思われている感すらあります。

多くの住宅サイトなどで重要だと言われていることが、住宅業界ではまったく重要だと認識されていないのです。これは、営業マンだけでなく、建物の専門家である建築士の間でも同様です。

もちろん、ハウスメーカーや工務店のなかにはこれらを重視しているところもありますが、決して多数派ではありません。

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高断熱・高気密は本当に重要?

一般の人は、ここで疑問を抱いてしまうかもしれません。

「なんだか住宅マニアみたいな人が高断熱だの高気密だの何だの言っているが、実際は大して重要ではないのでは?」と。

実は私も、実際に家が建つまでは、そんな疑問を完全には払しょくできずにいたような気がします。建築士からは過剰性能だと言われ、高断熱・高気密に対する要望はさんざん軽視されてきました。

しかし、今となっては、高断熱・高気密が重要だという見解は、ほぼ確信に変わっています

それは、実際に住んでみてわかったこともありますし、約 2 年にわたってこのサイトで主要テーマとして述べてきたことに対して、多くの支持が得られていることからも実感しています。

また、住宅性能について考えている住宅ブログなどを見ると、細部や程度に差こそあれ、高断熱・高気密の重要性についてはみな同じような結論に達しているように思います。

最近では、『ホントは安いエコハウス』(本の紹介ページ)のような本もそこらじゅうで高評価を得ており、理想的な住宅についての正しい知識がじわじわと広がりつつある印象も受けます。

国の基準以上の高断熱・高気密が大事だという認識が間違っていないとすると、住宅業界の一般的な認識との隔たりは、どうにかならないものでしょうか。

高断熱・高気密の重要性が理解されない原因

住宅業界で高断熱・高気密の重要性が理解されない理由については、いろいろと思い当たることがあります。

住まないとわからない

高性能住宅のメリットは、実際に住んでみないとなかなかわからないものです。ZEH 基準以上の高断熱住宅に住んでいる人の割合はまだまだ少ないので、自分から積極的に探さない限り、実際の住人からの情報を得ることはなかなかできません。

住宅を提供している人だって同じことです。営業の方や設計士が高断熱住宅に住んでいるケースはまれでしょうから、理解できないメリットなどを正確に伝えることは困難です。

マンション暮らしをしている場合は、断熱性能があまり問題にならないため、戸建住宅が抱える暑さ寒さ、光熱費の問題は理解できないでしょう。

高断熱にはコストがかかる

断熱性能を上げるためには、初期費用の増加は避けられません。販売側としてはコスト増は避けたいものでしょう。施主が特に要望しないのであれば、安いほうが売れると思うかもしれません。

しかし、トータルコストが安くなって、より快適になるのなら、文句を言う施主は少ないはずです。むしろ、長期的に施主のメリットとなる不都合な設計を提案してくれる住宅会社のほうが、施主としては信頼できます。何を採用するにしても、費用について説得力のあるシミュレーション結果を示していただきたいものです。

国の基準しか見ていない

建築業界には、物事の本質より、建築基準法や数々の認定基準をクリアするかどうかしか考えていない人が多いように思います。

等級があれば宣伝のために最高等級をクリアするギリギリの水準に合わせるだけであり、そこに何が理想的かという考えはありません。Q 値に替わって UA 値が基準になれば、UA 値だけで判断できない熱損失を軽視し、基準になっていない C 値については眼中にすらない、という住宅会社が多すぎます。

ペアガラスが一般的になってきたことで昔よりずいぶんと高断熱になったと思ってしまい、実際にはペアガラスの性能もピンキリなのに、さらに性能を上げたらどうなるかを考えようとしません。

住宅にはデザインなど他に考慮すべきことが多すぎるので、そこまで手が回らないというのもわかりますが、もう少し意識して見識を高めていただきたいものです。

認識のずれが生む結末

このような現状では、高断熱・高気密にこだわる場合、対応できる住宅会社が限定されてしまいます。住宅にはさまざまな要素があるので、本当はさまざまな会社を比較検討したいのに、それだけで選択肢がぐっと減ってしまうのです。

また、他の要素を最重視すると、高断熱・高気密の面で満足できない結果になるおそれがあります。これを個人の努力で覆すには、かなりの知識や労力が必要です。

どちらの道を選ぶにせよ、理想の住宅とのミスマッチが生じてしまいやすいのが現状です。

理想は、多くの住宅会社が断熱性能、気密性能の重要性に気づき、レベルの底上げを図ってくれることです。

そのためには、国が HEAT20 G2 レベル(参考)を省エネ基準の最高等級とし、C 値の測定・公表を義務化すれば話が早いのですが。。

大手ハウスメーカーにしても、YKK AP や LIXIL が一押しとしている APW330 やサーモス X などの高性能ガラスを標準仕様にするときが来ているのではないでしょうか(参考外部サイト:「断熱窓メーカー3社座談会」)。

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