マンションの断熱性能を考える

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一軒家と異なり、マンションでは熱損失係数(Q値)や外皮平均熱貫流率(UA値)のような断熱性能値が示されることはありません。マンション全体でQ値やUA値を算出することは可能でも、個別の住宅では外気に面する面積の割合が少なく、区画の配置や隣接する居住者の影響を大きく受けるため、数値が大した意味を持たないからでしょう。また、コンクリートという材料は比熱が高いため、断熱性能よりも蓄熱の影響を強く受けるという側面もあります。ちなみに強引に計算した場合、マンションの真ん中の区画のQ値は 1.8 程度になるとの興味深い記事(住まいの水先案内人:「マンション居住者は要注意!」)もあります。

マンションの暑さ寒さは部屋の位置で大きく違う

マンションでは、上下左右前後の 6 面のうち、2 面~ 4 面は隣接する住宅と接します。隣接する住宅に居住者がいて、20 度前後の室温を維持していれば温度差がなくなるため、熱の移動(熱損失)は発生しません。したがって、マンションで断熱性能を重視する場合、住宅と接する面の数が多いほど良いことになります。角部屋は静かで採光しやすく展望が良いので人気がありますが、断熱性能の面では大きく劣る可能性があります。

マンションの熱損失

マンションでの熱損失は主に、外気と接する面で発生します。その面を構成するのは、鉄筋コンクリート、窓、ドアです。コンクリート(熱伝導率 1.63 W/(m・K) ) は木材(熱伝導率 0.12 W/(m・K) ) より 10 倍以上熱伝導率が高い素材ですが、厚みがあるため、単位面積あたりではドアや窓の方が熱をよく通します。鉄(熱伝導率 84 W/(m・K))は熱を伝えやすい素材であり、スチール製のドアは大きな熱損失が発生するものと思われます。窓のガラス(熱伝導率 1.0 W/(m・K) )も熱を伝えやすい素材ですが、中でもサッシに使われるアルミ(熱伝導率 221 W/(m・K) )は非常に熱を通しやすい素材です。玄関と窓際が寒いというのは、現在マンションに住んでいる実感からしても納得がいきます。

マンションの高断熱化・リフォーム術

これらの熱損失を抑えることができれば、マンションの断熱性能はぐっと向上します。窓をペアガラスにしたり、スチール製のドアを使用しないようにすれば、かなりの断熱性能の向上が期待できます。最近のマンションは関東でもペアガラスの仕様が多く、住んでいる人の話を聞いても一同に暖かいと言います。私は現在アルミサッシの一重ガラス窓のマンションに住んでいるのですが、毎年冬は寒さと結露に悩まされます。いつかマンションに住むことがあれば、絶対にペアガラスのマンションに住みたいと思っています。賃貸であれば条件として探してもらうことができますし、所有しているマンションであればリフォームで窓を交換することができます(規約上難しいかも)。ペアガラスでも現在はアルミサッシが一般的ですが、それ以上(アルミ樹脂複合サッシ)であればより大きな効果が得られます(窓の種類と熱貫流率のデータについてはこちらの記事を参照)。より高性能な住宅が普及することを期待します。

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