全館空調の家に住んで 2 回の夏を過ごして気付いたのですが、夜中に蚊に悩まされることがなくなりました。
私は蚊に刺されやすい体質なので、昔のマンションでは家の中に一匹でも蚊がいると一晩中付きまとわれ、羽音で睡眠不足になることがよくありました。
しかし今の住宅では、夜中に蚊に付きまとわれることがありません。玄関を通じて家に蚊が入ることはよくあり、家で蚊に刺されることもたまにはありますが、なぜか夜中に起こされることはないのです。
ちょっと気になって調べてみると、三井ホームで全館空調を採用している家では同様に蚊に悩まされなくなったと書いている人がいます。しかし、第一種換気を採用している一条工務店の施主ブログなどではそういう声は見つかりません。
なぜなのか理由を考えてみたら面白いことが判明したので、紹介したいと思います。
涼しくなり寝汗をかかなくなったから?
まずは蚊の性質について勉強しました。
こういう生活情報は、NHK が頼りになります(ためしてガッテンの過去検索など)。
ここで理由として最初に考えたのは、夜も空調を効かせて涼しくしているので、寝汗をあまりかかなくなったから、ということです。
蚊は汗のにおいを感知するので、汗が減ると刺されることも減りそうです。
ただ、それでもまったく汗をかかないわけではないので、これだけで説明できるとは思いません。特に、三井ホームと一条工務店の違いは説明できません。
換気のおかげ?
次に考えたのは、換気のおかげかもしれない、ということです。
話題のシリーズ本、『続々ざんねんないきもの事典』を読んでいると、「カはそよ風で飛べなくなる」という項目があり、蚊は飛ぶ力が弱いのでクーラーの風でもうまく飛べなくなるということが紹介されていました。
本には蚊は扇風機で追い払えるとも書いてありますが、風で追い払うには身体に直接風を当てる必要があります。昔のマンションで寝るときにそれをやったら、喉が乾燥したりして不快だったのでやめた記憶があります。
でも、よく考えてみると、わが家で蚊の害が減ったのは、この性質と換気の気流が影響しているように思えます。
判明!?蚊を追い出すしくみ
わが家の換気システムでは、寝ていて風を感じるほどの気流はなくても、室外への一方通行の風が常に流れています。この風は室内ドアの下のアンダーカットに集中しており、蚊が移動できないほどの風速になっています(参考記事)。
このため、家に 1 匹だけ蚊が入っていても、それが寝室でなければ、蚊は寝室に入ることができません。以前の家では遠くからでも臭いを嗅ぎつけて寝室に蚊が集まってきましたが、この状況だと物理的にそれができないのです。もし寝室にいたとしても、うっかり換気の流れで追い出されてしまえば、再度侵入することもできません。
つまり、寝室が自動的に蚊を追い出す蚊帳のようになるのです。
とすると、このメリットは、室外側へ一方通行の気流が発生する換気方式を採用していて、ドアを閉めて寝る場合にのみ効果がありそうです。また、当然ですが、換気が機能していて気流が起こっている必要もあります。
換気方式としては、ダクト式第一種換気か、第三種換気を採用していれば同様の気流が発生するため、ダクトレス第一種換気以外※のほとんどの住宅が該当します。この恩恵を受けられる新築住宅は多そうに思いますが、換気が機能していない住宅が多く、全館空調のようなシステムでないとドアを閉めて寝る人が少ないため、このメリットに気づかないのでしょう。
これで、一条工務店との差の理由がわかりました。一条工務店のような超高断熱住宅では冷房用エアコンを 2 階の開放空間に 1 台だけ設置したりするので、寝室にエアコンを付けているケースが少なく、室内ドアを閉めて寝ている人が少ないのでしょう。
意外なところで、全館空調を採用してよかったと思えるメリットが見つかりました。
蚊に悩まされている方は、ドアを閉めるだけで、問題が解決するかもしれません。ただ、高断熱住宅でも室内ドアを閉めて寝たら暑くなるかもしれないので、その場合は寝室にエアコンを設置することになります。寝室では風や稼働音が気になりやすいため、エアコン選びはデリケートです。高断熱住宅ならば弱い運転で冷房が効くし、風が当たらないよう設置場所に気を付ければ問題ないのかもしれませんが、実際のところはどうなのでしょうか(ご存知の方はコメント等歓迎いたします)。
ちなみに、蚊の侵入を防ぐことができれば被害はありませんが、よく玄関ドアに取り付けられている虫コナーズなどはほとんど効果が期待できません。そもそも刺す蚊は対象の虫に含まれていないうえ、ユスリカなどにも表記の効果がないとして、消費者庁から措置命令が下されています(参考 PDF)。
刺す蚊は出入りするときに身体や服にくっついて侵入することが多いので、服の上からも使えるイカリジンの虫除けを付けるのが効果的かもしれません。
わが家の場合、家に入ってしまったら殺虫ラケットで撃退しています。国内向けの弱いタイプでは気絶するだけで復活してしまうので、とどめを刺す必要があります。ちょっと危険な海外向け製品もあるようです。
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