面構造と軸組工法 | さとるパパの住宅論

面構造と軸組工法

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世の中にはさまざまな工法がありますが、木造は主に面構造(モノコック構造、箱型構造)と軸組工法に分けられます。

面構造には、三井ホームをはじめとする枠組壁工法(ツーバイフォー、ツーバイシックス)、ミサワホームに代表される木質パネル接着工法があります。

軸組工法は、大手では住友林業のマルチバランス構法、積水ハウスのシャーウッド構法 、ミサワMJ Wood、タマホームなどで採用されており、多くの工務店でもこれが採用されています。近年はモノコック構造を取り入れた軸組工法が増えており、在来軸組工法との違いが強調されていますが、当サイトではこれも軸組工法の 1 つと考えています。

参考 木造住宅の 4 つの工法

なお、鉄骨にも面構造の工法(スチールハウスなど)があり、パナホームやトヨタホームで採用できますが、ここでは木造工法について説明します。

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耐震性の違い

面構造は力が分散されるので強いと言われますが、これは段ボール箱をイメージしてもらうとわかりやすいと思います。段ボール箱はフタを閉じて固定すると、紙のわりになかなかの強度があります。上下と側面の計 6 つの面がしっかりと繋がっているため、力を加えてもあまり変形しません。この段ボール箱を、紙ではなく木で構成すれば、かなりの強度が出ることが予想できるのではないでしょうか。 反対に、紙でできた柱と梁を使って軸組構造の箱を作ったとしたら、大した強度は期待できず、ぐにゃぐにゃ変形することは想像がつくのではないでしょうか。

木は紙より強いので軸組構造でもそれなりに強い建物をつくることが可能ですが、揺れると局所的に大きな力がかかり、変形が生じます。また、木は鉄ほど強固でないため、大きな力がかかる接合部にはガタつきが生じます。地震を受けたときの揺れは、これらが積み重なって、高い位置ほど大きくなります。軸組構造では、倒壊はしないまでも、この揺れによって被害が大きくなる傾向があるのです。

このことは、過去の震災被害を見ても、実大耐震実験の結果を見てもわかります。

在来軸組工法の進化

木造の在来軸組工法は阪神大震災で大きな被害を受けたため、その後大幅に改良が進みました。接合部を削って繋げると強度が落ちるので、金物を使って結合するドリフトピン工法が普及しました。水平方向の地震力に対しては、筋交いよりも強い構造用合板を張る手法も普及しました。

揺れへの対応

これらの対策により、以前と比べるとだいぶ倒壊には強くなりましたが、揺れが大きいという問題は解消されていません(詳細は「シャーウッドは本当に地震に強いのか」を参照)。軸組工法で揺れを抑えるためには、制震装置を付ける必要があります(完全面構造の住宅には不要です)。

軸組工法で面構造並みの耐震性を得ようとすると、軸組構造に追加して、合板を張り、制震装置を付ける必要があるため、材積が大きくなり、コストがかかるのです。

断熱性能の違い

断熱性に関しても、軸組工法は面構造より不利です。軸組工法では壁の厚さが柱の太さに縛られるため、断熱材の厚みは 10cm 程度しかありません。ツーバイシックスでは、14 cm の厚みを確保できます。これを補うには、より熱伝導率の低い発泡プラスチック系断熱材を採用するか、外断熱を付加することになりますが、どちらもコストが高くなります。

結論

軸組工法には、ハウスメーカーや工務店の選択肢が多い、開口部を大きく取りやすいというメリットがありますが、耐震性と断熱性、コストの観点からは面構造に軍配が上がるのではないでしょうか。

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