耐震性を比較する方法3:耐震実験の結果

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大手のハウスメーカーでは、実物大の家で耐震実験を行い、結果を公表しています。結果は良い点だけを抜粋して公表しているため注意が必要ですが、それでも多くのことがわかります。注目すべき点は、①何ガルの加速度で実験を行ったか、②一般的な仕様かどうか、③2階の揺れの大きさがどの程度か、ということです。一つ一つ解説していきます。

①何ガルの実験か
ガルというのは加速度の単位で、揺れの強さを表します。実験を行っているハウスメーカーは、阪神大震災レベルの818ガルか、それ以上の揺れで実験を行っています。ざっと見ると、積水ハウスのシャーウッドの実験では阪神レベルの818ガル、へーベルハウスの実験ではその1.5倍程度、セキスイハイムスウェーデンハウスミサワホームでは阪神レベルの2倍、住友林業では約3倍、三井ホームの実験ではなんと6倍以上の5115ガルでの実験を行っています。

②一般的な仕様か
実験内容は各社まちまちで、構造体だけで実験しているものから家具まで設置しているものまであります。もちろん、実態に近いものほど信頼できます。骨組みの実験で損傷がないように見えても、屋根が瓦だったら落ちていたかもしれないし、窓があったら割れていたかもしれません。また、3階建てで実験を行っているケースも多く、2階建てより厳しい条件だと思いがちですが、3階建てでは構造計算が義務付けられていて1階の構造も強固にできているため、3階建てで大丈夫なら2階建てはより安全だ、とは言えません。

実験モデルは標準ではない高価な免振装置や構造を採用していることがある点も注意が必要です。たとえば三井ホームの5115ガルの実験では、小さく「プレミアムモノコックタイプG」と書いてあります。これは、Gウォールという特殊で高価な構造壁を使用しており、一般的な仕様ではないのです。ただし、三井ホームに関しては、通常のプレミアムモノコックタイプSでも最大4176ガルの実験を行っており、十分な結果が得られています。

③2階の揺れの大きさがどの程度か
2階の揺れの大きさについては記載していないハウスメーカーが多いのですが、とても重要です。1階に対して2階の揺れが大きい場合、変形量が大きく、家具の転倒被害や内壁のひび割れなどが発生しやすいことを意味しています。気密性が損なわれ、遮音性まで落ちるおそれもあります。変形の大きさは層間変形角で表され、1/120を超えると構造体に損傷が発生します。スウェーデンハウスやミサワホームはこの数値を公表しています。なお、変形量を示さずに加速度だけを示しているところもありますが、1階に対して2階の揺れの加速度が大きい場合は変形量も大きいことが推測できます。

一般に、面で支える構造(ツーバイフォーや木質パネル工法など )は、軸組構造(鉄骨造やシャーウッドなどの金物を使用した木造軸組工法など)よりも変形量が少ない傾向があります。面で支える構造では制震装置などなくても十分なデータが得られているように思います。軸組構造を採用しているハウスメーカーは、都合の悪いデータは出さないため、ほとんど変形量のデータを示していません。免震を宣伝するためのシャーウッドの実験では、免震のない標準仕様の住宅において、2階の床が1階の1.6倍の加速度で揺れていて、家具もぐちゃぐちゃになっていることがわかります。これでは3階にスローリビングなんて恐ろしくてできません。ただし、軸組構造であっても、MGEOなどの制震装置を付けると変形量を抑えることが可能なようです。

上記のデータから考えると、面で支える構造であれば耐震性が高いだけでなく揺れも小さくて済むため標準仕様でよく、軸組構造であれば制震装置(金があれば免震装置)を付けるべきであると思います。

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