ミサワホームは木質系と鉄骨系の注文住宅を展開しています。木質系は昔から木質パネル接着工法を採用していましたが、最近では「MJウッド」という金物を使用した木造軸組工法もローコストなラインナップとして子会社から売り出しています。MJウッドには、MGEOという制震装置がほとんどのケースで標準仕様で付いてくることが特長です。
面構造の従来のミサワホームと木造軸組工法のMJウッドについて、どちらも耐震性は高いと宣伝されていますが、耐震性能を直接比較できる資料は見当たりません。そこで、公開資料を基に、どちらがより地震に強いのかを検討してみます。
技術のミサワと言われるミサワホームは耐震性に自信があるため、実物大の耐震実験を行い、他のハウスメーカーよりも詳細なデータを公開しています。MJウッドでは実大実験のデータは見つかりませんでしたが、試算値が公表されていたため、このMJウッドの試算値と、ミサワホームの木質系住宅の耐震実験結果を比較してみます。
MJウッドの耐震性は、ミサワMJホームの制震装置のページに公開されている次のグラフを見るとよくわかります。力の大きさ(縦軸)に対して変形角(横軸)がどれだけかを示しており、MJウッドの標準仕様(耐震等級2+「MGEO-N」)※は制震装置なしの耐震等級3よりも耐震性が高いことがわかります。
※プラン等により変わる可能性はありますが、MJウッドの標準の耐震等級は3になったようです(2019追記)。
一方、ミサワホームの木質系住宅の耐震実験では、阪神大震災レベルの揺れに対してMGEOなし(標準仕様)で2階床面の変形量が11.8mmというデータが公開されています。写真の建物は横幅が7.2mなので、2階床面の高さは約2.6mです。これから計算すると、層間変形角は1/220になります。この阪神レベルの地震はMJウッドの図の「大地震時」に相当すると思われるので、それをプロットしたのが上図の「★」です。
この結果から推測できるのは、ミサワホームの標準仕様の木質系住宅は、耐震等級3+「MGEO-N」にグレードアップしたMJウッドよりも地震に強いということです。オプションでMGEOを搭載すれば、もっと強くなります(個人的にはそこまで必要ないと思います)。やはり面構造は地震に強いということが確認できるかと思います。
ちなみに、MJウッド工法は、積水ハウスのシャーウッドやダイワハウスのxevo GranWood(ジーヴォ グランウッド)などと概ね同じ工法です。これらにはミサワMJウッドのような制震装置がないため、おそらく、図の「耐震等級3」に近いグラフになるのではないかと思っています。
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