鉄骨住宅 vs. 木造住宅

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大手ハウスメーカーには鉄骨のプレハブ工法やユニット工法を採用しているところが多数あります。鉄骨というと強いイメージがあるため、多少高くても耐震性を最重視する人にとってヘーベルハウスなどは根強い人気があります。ここでは、当サイトで重視している耐震性、断熱性、気密性などの観点から木造住宅と比較してみます。

耐震性

阪神大震災で木造住宅に比較的多くの被害が出たことは事実です。しかし、当時倒壊した家屋の調査を見ると、基礎のコンクリートに鉄筋がない、柱が細い、柱と基礎を結合するホールダウン金物がない、柱と梁の接合部が弱い、耐力壁が少ない、など数多くの問題点があることがわかります。これらは現在の木造建築ではかなり改善されています。また、同じ木造でも、面全体で支える構造のツーバイフォー(枠組壁工法)の住宅ではほとんど被害が発生していません。 木造は弱いというイメージがありますが、日本ツーバイフォー建築協会の調査(PDF)によると、繰り返し強い揺れが観測された熊本地震において、全壊・半壊はゼロ。特に修理せずにそのまま居住できるという住宅が 97%を占めたとのことです。適当な施工業者や設計・施工のミスも含まれることが推測されるなか、この実績は十分ではないでしょうか。

倒壊しないという意味での耐震性は、鉄骨住宅はとても高いと言えます。しかし、面構造の住宅と比べると、(鉄骨・木造を問わず) 軸組構造の住宅では 2 階以上の揺れが強くなるため、家具の転倒被害などが多くなります。以下の図は、三井ホームのカタログに掲載されていた図です。
この弱点は基本的に現在も変わらないため、軸組構造の住宅では、倒壊を免れることはできても、家具、内壁、外装材などが被害を受ける可能性が高くなります。これは制震装置を付けることで軽減できますが、オプションとして選べない場合や、繰り返しの地震に効果がない場合もあるので注意が必要です。

断熱性

鉄は木よりも 350 倍も熱を通しやすい性質があります。木造住宅であれば柱の間や壁の中に断熱材を充填するだけでもある程度の断熱性を確保できますが、鉄骨住宅ではそうはいきません。構造体自体が外の暑さ寒さを家の中に伝えてしまうため(ヒートブリッジ、熱橋と呼ばれます)、外断熱を施す必要があります。昔より改善されたとはいえ、断熱性能は断熱材の厚さに比例するため、木造より不利なのは確かです。外皮平均熱貫流率(UA 値)や熱損失係数(Q 値)で比較すればその差は明らかです(UA 値、Q 値のレベルごとの住み心地についてはこちらを、大手ハウスメーカーの断熱性能の比較についてはこちらを参照)。

気密性

気密性は、冷暖房の効率を上げたり、適切な換気を行うために必要な性能です。気密性に関して、鉄骨住宅は木造住宅より劣ります。気密性能を示す C 値(相当すき間面積:少ないほど良い)を公開しているハウスメーカーは少ないのですが、木造では 1.0 未満が可能になる一方、鉄骨では最高レベルのセキスイハイムで 2.0 未満です。「気密性能はどこまで求めるべきか」で説明しているように、換気を適切に行うため、少なくとも 2.0 は切りたいものです。

耐火性

鉄は高温になると急激に強度が落ちる性質があるため、火事にさらされると突然崩れ落ちることになります。木は燃えるイメージがありますが、実は炭になっても持ちこたえることができるため、比較的長時間耐力を維持することができます。木造のツーバイフォーは標準的な仕様で省令準耐火の認定を受けることができるほど火事に強く、火災保険料を安く抑えることもできます。鉄骨でも省令準耐火にすることはできますが、外壁などで耐火性を確保する必要があるため、費用がかさむ場合があります。

耐久性

木材は腐るイメージがありますが、腐るのは湿潤条件下や風雨にさらされる場合のことであり、乾燥状態が保たれている限りは非常に長持ちします。近年は構造材の外側(外壁の内側)に防水透湿シートを張ることが一般的になっていて、木材から出る水分を逃がしつつ雨水の侵入を防ぐことが可能になっています。このため、屋根や外壁、バルコニーで防水上必要なメンテナンスを怠らなければ、長期にわたって利用することが期待できます。なお、固定資産税の計算においては、木造は鉄骨より評価額が低く計算されるうえ、すぐに評価額が下がります。このため、生涯で発生する固定資産税の負担額は木造の方がずっと安くなります。

シロアリ被害

木造はシロアリに注意、というのは常識ですが、実は鉄骨住宅でもシロアリ被害は発生します。内装材などに食害を受ける材料が使用されているからです。しかも、木造ほど注意を払われないため、被害が大きくなりがちです。鉄骨は木造と違って構造材が直接食害を受けることがないことはメリットと言えますが、注意が必要なのは同じです。

結論

以上から、木造でも十分な耐震性・耐火性が得られ、快適性に関しては木造が優れていると言えます。ただし、鉄骨住宅では、木造では限界のあるワイドスパンや大きな張り出しが可能といったメリットもあります。希望に照らし、納得いくまでよく検討することが重要です。

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