仕様規定と性能規定

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建物の設計には、法律で定められた部材の仕様に従う「仕様規定」と、構造計算により目的の性能が得られれば方法は問わないとする 「性能規定」があります。かつては、在来木造軸組工法、木造枠組壁工法などの枠組みに基づく仕様規定が中心でしたが、最近では各種の基準が性能規定に移行しつつあります。多くのハウスメーカーは独自の色が出せるよう、独自の工法を採用し、性能規定に基づく設計を行っています。

性能規定では部材にかかる負荷や変形を細かく計算する必要があり、効率的な設計を行うことができます。ある箇所にあまり負荷がかからないことがわかれば、その箇所を削ることができるからです。それでいて、求められる性能(たとえば、震度7の地震で倒壊しないなど)をより確実に保証することができます。

一方、仕様規定では、ここの部材は厚さ何mm以上などといった仕様に従うだけで、細かい構造計算を省略することができます。多くの経験の蓄積から専門家が熟慮を重ねて定められた規定に従うことで、一定の性能を確保することができます。比較的かんたんに設計を行うことができる反面、仕様にしばられる側面もあります。個別の住宅が実際にどの程度の力に耐えられるのかについては、多少あいまいさが残ります。不経済に過剰な設計となっていることもあります。

しかし、逆に言うと、実はものすごい性能を実現できている可能性もあります。木造枠組壁工法(ツーバイフォー)の仕様がこの例だと思います。実際の強度は、これまでの震災の被害状況(参考)を見ればわかるとおりです。近年では一見ツーバイフォーに見えるハウスメーカーの商品も、正式な枠組壁工法ではなく、実は独自に認定を受けた工法であることがあります(一条工務店のアイ・キューブなど)。そこでは、過去にツーバイフォーでは常識とされたやり方が無視され、日本の大工さんに馴染みのある、在来軸組工法の方法が組み合わされていることもあります。法律で求められる性能は最低限の性能なので、それにより強度が落ちている可能性もあります。適法だからと言って、それが消費者にとって最適な性能であるとは言えないのです。

一条工務店のツーバイフォーについては、日本へのツーバイフォーの導入に奮闘した鵜野日出男さんが、ブログ記事(外部リンク)などで嘆いています。専門的な内容のため、問題視されている点の是非は判断できませんが、性能規定による特認工法にはそうした問題もあることがわかります。性能規定では性能を満たすためにさまざまな方法が取られるがため、大規模な共通データが得られず、ウンチクが溜まりにくい傾向もあるのではないかと思います。住宅メーカーには、実績のある慣習的な方法を尊重しつつ、明らかに優れている新技術は積極的に探して採り入れるといった姿勢でいてもらいたいものです。

性能規定に問題もあるとはいっても、性能規定に基づく設計は、基本的には歓迎すべきことです。きちんと細かく構造計算で検証し、無駄が減って自由度が高まることはよいことです。性能規定の性能に不満がある場合は、より高い性能を求めればよいのです。性能規定のミサワホーム(木軸のミサワMJホームは別)では、地震による内装仕上げ材の損傷ゼロを目指すとしていて、それだけの構造を提供しています。耐震性能や省エネ性能については、最高等級という言葉に満足せず、しっかりと吟味することをおすすめします。

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