積水ハウス・シャーウッドは本当に地震に強いのか

積水ハウス・シャーウッド構法は何となく地震に強いイメージがありますが、実際のところどうでしょうか。

カタログやホームページでは、在来軸組工法とツーバイフォーの利点を合わせた、より優れた工法のような紹介がなされています。

軸組構造を基本としながら、ツーバイフォーのように合板を張りつけることで、「モノコック構造」であるとも謳っています。

しかし実態は手放しで称賛できるものではありません。

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2 階の揺れが大きい

しかし、公式ホームページから実大震動実験の結果を見ると、軸組構造の欠点である揺れの問題は解消されていないようです。

地震時に、2 階以上の揺れが強く出やすいのです。実験によると、1 階床の揺れが 893 ガル(加速度の単位、阪神大震災レベル)のとき、2 階床の揺れはその 1.6 倍の 1,434 ガルとなっていることがわかります。

実験画像を見ると、2 階のリビング・ダイニングはめちゃくちゃになっています。2 階の屋根部分は床よりも揺れるため、2 倍くらいの加速度で揺れているものと思われます。

この実験結果は免震住宅(数百万円のオプション)の宣伝資料なのですが、比較対象とされている非免震住宅が標準的な仕様であり、図らずも標準仕様の問題点を明らかにしてしまっているのです。

ぜひ自分の目で確認してみることをお勧めします(直リンクが禁止されているため、「シャーウッド 免震」で Google 検索して「シャーウッドテクノロジー | 免震住宅」のページにアクセスし、右下の「実大振動実験」に進んでみてください積水ハウスの当該ページは削除されました。画像は保存してありますが…)。

木造住宅は弱いのか?

シャーウッドが木造だから弱いわけではありません。

他の木造住宅で行われた同様の実大耐震実験の結果と比較してみましょう。

スウェーデンハウスの実大実験

スウェーデンハウス(ツーバイフォーと同様の木質パネル工法)の実験では、1 階床の揺れが 1,636 ガル(阪神の 2 倍)のとき、2 階小屋裏の揺れで 1.3 倍の 2,100 ガルです。2 階床ではなく2 階小屋裏でこの数字ですから、2 階床ではもっと揺れが小さいことになります。ちなみに、一般的な住宅では 2 倍程度になるという記述があり、これに基づくとシャーウッドは一般的な住宅のレベルである、ということになります。

セキスイハイムの実大実験

セキスイハイムの木造住宅グランツーユー(2×6 工法)も、2005 年に実大耐震実験を行っています。最大2,202 ガル(阪神の 2.7 倍)の振動を加えた結果が不動産ニュースで報告されており、結果は以下のとおりです。

構造体には修復不能な損傷はなく、外装についてもほとんど損傷はなし。また内装については一部クロス切れ、石膏ボードの浮きが発生したものの、大きな損傷はなかった。

以前、セキスイハイムの公式サイトに掲載されていた情報によると、2 階床の揺れは 1 階床の約 1.12~1.34 倍だそうです。

こちらで動画まで公開されています。

ミサワホームの実大実験

「内装仕上げ材の損傷ゼロ」を目指すというミサワホームの木質系住宅の耐震実験では、1 階床の揺れが 818 ガルのときの 2 階床の揺れは、制振装置付きの 2 階建てでは 1.16 倍の 949 ガル、制振装置なしの 3 階建てでは約 1.3 倍の 1,085 ガルです。

被害の程度は、クロスにシワができた程度です。

三井ホームの実大実験

最近行われた三井ホーム(2×6 工法)の実験については、次の記事で紹介しています。

5,115galに耐えた三井ホームの実大耐震実験のポイント

結果について

ちなみに以上の木造住宅は、すべて面構造の工法です。比較先がすごいということもありますが、シャーウッドの揺れが純粋な面構造の木造ハウスメーカーより大きいことは明らかです。

シャーウッドは全体に合板を張ってモノコック構造としているはずなのに、スウェーデンハウスやミサワホームなどの面構造ほど揺れを制御することはできていません。ツーバイフォーに加えて強い柱と梁を追加したのではなく、あくまで基本は軸組構造なのでしょう(ツーバイフォーほど強固な壁であれば柱は不要です)。

壁量が増えると確かに倒壊には強くなりますが、大きな力は柱などで受けるため、力を分散して受けることはできず、歪みが生じやすいのだと思います。

揺れが大きいと内外装に被害

大きな地震のときに倒壊さえしなければよい、と思うかもしれません。

しかし、揺れが大きいと、倒壊はしなくても、家具の転倒に巻き込まれたり、内外装に被害が発生することがあります。

テクニカルカタログをみると、阪神大震災レベルの実大振動実験で大きな損傷はなかったとのことですが、クロスの亀裂は発生しています。

また、揺れによってすき間が増えて気密性が失われると、以後の断熱性や遮音性が損なわれ、快適に住めなくなるおそれもあります。実際、積水ハウスのクチコミからは以下の記述が見つかります(鉄骨かシャーウッドかは不明です)。

実家が中越地震でボロボロ。外壁はヒビだらけ。クロスはもちろん、石膏ボードまで剥がれる始末。

 

東日本大震災では石膏ボード全滅だが半壊判定に至らず、地震では中途半端にやられるので覚悟が必要。

「教えてgoo」でも、東日本大震災でのシャーウッドの石膏ボードの被害が報告されています(→こちら)。

構造体の損傷でなければ修復は可能ですが、大きな震災後では時間がかかる可能性があり、その間、快適に住み続けられるかというと不安が残ります。

制振装置が望まれる

積水ハウスは最大手だけあって良い点も多いのですが、上記のようにシャーウッドの耐震性については過信できません。2014 年からは耐力壁を強化するなどした「ハイブリッド S-MJ」を導入(一部のみ?)しているので実験時よりは改善していると思いますが、完全な面構造ほどの揺れにくさは期待できません。

軸組工法で揺れを抑えるためには制振装置が有効ですが、シャーウッドにはミサワホームの MGEO のような制振装置のオプションがありません(高額な免震オプションのみ)。他のメーカーは木造軸組工法向けの制振装置を開発しているのですから、積水ハウスにもできないことはないはずです。今後が期待されます。

シャーウッド以外にも・・・

この記事ではシャーウッドを取り上げましたが、他の金物を使用した木造軸組工法も同じことです。同様の工法で 2 階の揺れの加速度または変形量を公開しているハウスメーカーはミサワMJホームなど、少数です。ミサワ MJ ホームは標準の耐震等級が 2 と低めなのが難点ですが、制振装置が標準仕様でほぼ搭載されるので、耐震等級 3 以上の耐震性を確保できるようです。最近では、木造軸組工法のこの欠点を認識し、アイフルホームのように制振装置を標準搭載するハウスメーカーや工務店も増えてきています。

木造大手の住友林業は、マルチバランス構法において変形を抑えるパネルが付くそうですが(例外あり)、2 階の加速度などの詳細データは公開していません。大地震の実験時には、内装やサイディングに損傷が生じたことが記載されています。

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