エネルギー消費効率のCOPとAPF、実態に近いのはどっち? | さとるパパの住宅論

エネルギー消費効率のCOPとAPF、実態に近いのはどっち?

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エアコンなどのヒートポンプ設備の省エネ基準として、最近では COP に代わって APF(通年エネルギー消費効率)での表示が中心になってきました。

どちらも、消費電力当たりの冷暖房能力、つまりエネルギー消費効率を表す点は同じですが、COP が一定条件下での暖房または冷房の効率を示しているのに対し、APF は冷房と暖房を併せた通年での効率を示しています。この違いについて詳しくは、三菱電機さんの PDF で解説されています。

実際のエネルギー消費効率は条件によって変わるものなので、これをもって、APF のほうが実態に近い指標だという意見をよく聞きます。しかし、実際のところどうなのでしょうか。

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APF は COP より高い

カタログ値を見ると、同じエアコンでも APF のほうが COP よりずっと効率が高くなっています。

たとえば、わが家の全館空調(東芝、スマートブリーズプラスII)の場合、50Hz のカタログ値は次のとおりです。

冷房 COP:3.79
暖房 COP:4.26
APF:4.8

APF のほうが 2 割ほど高い(良い)数値になっています。最近の売れ筋エアコンのスペックを見ても、APF のほうが冷暖房平均 COP より 4、 5 割も高いケースが目立ちます。

定格以下の出力のほうが高効率なので APF のほうが高くなるのはわかりますが、わが家の暖房費を Q 値などから計算して確認したかぎり、APF ほどの数値は出ていない気がします(他の変数の精度も微妙ですが)。

最近はエアコンのスペックを見ても COP が表示されていないことがありますが、COP は簡単に計算できます。暖房なら(暖房能力)÷(暖房消費電力)、冷房なら(冷房能力)÷(冷房消費電力)を計算するだけです。

たとえば、暖房能力 2.2 kW、暖房消費電力 470 W なら、単位を合わせて (2.2 x 1000) ÷ 470 = 4.68 となります。

APF はカタログ燃費

APF の数値はどうなのかと思って調べてみると、住宅のエアコンに詳しい松尾設計室の松尾和也氏が日経ホームビルダーの記事で解説していました。

間違いだらけのエアコン選び 「過大能力」避ける常識 松尾和也 松尾設計室代表 - 日本経済新聞
みなさんはエアコンをどうやって選んでいますか。木造か鉄筋コンクリート造か、畳数はどのくらいか――。これだけしかチェックしていないとしたら、過大な能力の機種を選んでいるかもしれません。住宅の断熱性能や気密性能に基づいて適切な能力を計算する方法...

なかでも目に付いたのは、APF についての次の記述です。

車の実燃費と同様に、実際はカタログの数字どおりに能力を発揮することはまずありません。冷房時は外気温が高いほど、暖房時は外気温が低いほど、実際のAPFは悪くなります。それでも一つの目安として、カタログ効率の70~80%は発揮することが多い

条件によって可変なので評価が難しいですが、実態は 2 ~ 3 割小さいということでしょう。

となると、わが家のケース(APF が 2 割大きい)で考えると、実態に近いのは COP の数値、ということになります。実際、わが家の暖房費と Q 値の関係を考えると、COP の数値のほうがしっくり来ます。

暖冷房費を考える際には実燃費を考える必要があり、その場合はどちらかというと COP のほうが使えるのではないでしょうか。APF の数値に 0.75 をかけた数値と COP とで比べたときにどちらが実態に近いのかまではわかりませんが、COP なら暖房と冷房をそれぞれ分けて考えることができるメリットもあります。

エアコンを連続運転する場合の暖房費は Q 値やエネルギー消費効率から試算することができるので、その数値を考える際は、上記のことを考慮するとよいかもしれません。

断熱性能(Q値)から冬の暖房費用を推計するツール
全館暖房を行った場合の 1 カ月の暖房費用(エアコン電気代など)を推計するツールを作成してみました。 誤差が生じる要因はいろいろとあり、例によって結果は保証できかねます。が、高断熱住宅で全館空調やエアコンの連続運転による全館冷暖房を検討して...

また、実燃費を考える際には、最適な能力のエアコンを選ぶことも非常に重要です。効率的なエアコン能力の選び方と実際の消費電力についてはこちらで紹介しています。

なお、誤解を招かないように補足すると、省エネ基準に APF を用いることに異議を唱えているわけではありません。COP から APF に代わったことで、メーカーは COP ではなく APF の数字が良くなるような製品開発をしていくことになり、そのほうが結果的に省エネになるのではないかと思います。

コメント

  1. 通りすがり より:

    COPが実情に則していたのは「偶然の話」であって、何ら論理性や規則性のあるものではないですよ。COPは定格運転したときの効率。インバータエアコンは定格値を中央値として上下に出力を振れるので、下限や上限のCOP値は必ずしも定格運転のCOPとは一致しません。そこで様々な使用状況を想定して平均値を求めようとしたのがAPF。その値ですら現実とは乖離していたという話です。

    ちなみにAPF4.8とはずいぶんと低いですね。ウチのはパナの21年モデルですが7.4あります。APFもCOPも、エアコンの能力が大きくなればなるほど低くなります。よって、一番効率が良いエアコンは一番能力の低い6畳用(定格2.2kWモデル)になります。これは、室内機の熱交換器の大きさ的に最も効率良いのが一番小さなモデルであるという事が原因です。能力が大きいエアコンは、それに見合わない2.2kWの物と同じサイズの熱交換器で高い出力を出さなければならないため、冷媒の圧縮率や流量を上げて対応しています。そのため効率が落ちてしまうんですね。

    ウチの断熱等級は20年前の家のためさほど良くありませんが、18畳リビングや12畳寝室など、すべて2.2kWモデルで冷暖房しています。新潟の極寒地ですが、実はこれで十分足りていますし、もともとAPFやCOFの高いモデルですので電気代も低く抑えられています。

    • さとるパパ より:

      コメントありがとうございます。COPが実態に近かったのは偶然であるというのはそのとおりです。偶然であっても、実燃費を知りたい場合にはAPFよりはCOPのほうが近いのでまだ使えるという主旨です。

      従来型の全館空調は冷房能力が10kW以上のモデルが多く、エネルギー効率はルームエアコンより大幅に劣ります。これでも当時は業界No.1の省エネルギー性と宣伝されていたモデルでして、国のシミュレーション資料などを見ると全館空調にはもっと低い値が使用されていたりします。効率を考えると能力の小さい全館空調機がよかったのですが、当時は選択肢がありませんでした。新潟でも2.2kWモデルで事足りるとなると、新しい住宅の多くで過剰な能力のエアコンが使用されていそうですね。

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