木造住宅の構造材としての無垢材、集成材、SPF材 | さとるパパの住宅論

木造住宅の構造材としての無垢材、集成材、SPF材

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木造住宅の材質については、ヒノキの無垢材が一番だとか、集成材は身体に良くないとか、SPF 材はすぐに腐るとか、いろいろな意見を目にします。材料にこだわると、SPF 材や合板ばかりのツーバイフォーは良くない、木材の特性をよくわかっている昔ながらの工務店が良い、という結論になりがちです。実際のところ、どこまでこだわるべきなのでしょうか。いくつかの論点から検討してみます。

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価格

ホームセンターに行けばわかりますが、規格化された SPF 材は圧倒的な安さです。2×4 材は 180cm のものが 1 本 2 百円台で購入できます。構造用合板も、それほど高いものではありません。

いっぽう、無垢材の価格はピンキリです。

集成材は、製造に高度な技術や設備が要求されるため、高価になります。

耐久性

軸組工法の場合、木材の強度は重要です。無垢材の強度はばらつきが大きく、見る目が要求され、高級な芯材を使用したりする必要があります。

集成材は一般に高強度であり、誤差が小さいためより正確な構造計算が可能になるため、近年は多く使用されています。また、集成材は断面積の大きな木材もつくることができるので、住友林業のビッグフレーム構法などには不可欠と言えます。

一方、枠組壁工法(ツーバイ工法)では、木材単体の強度はあまり要求されません。面構造では、合板と合わせて広い面積で分散して力を受けるため、ちょっと欠けていたりヒビが入っていたりしても、大した影響がないからです。シロアリに大幅に食われたり、大規模に腐ったりでもしない限り、構造上の問題になることはないでしょう。そのため、枠材は SPF 材で十分と言えます。三井ホームのオプションの G ウォールのように、枠材に高強度の集成材を使用すれば壁倍率 10 倍などが可能になりますが、一般的には過剰です。

反り

住宅の気密性、耐震性を長期にわたって維持するためには、変形が少ないことは重要だと思われます。趣味で木工をしていてよく思うのは、「木は曲がる」ということです。木材売り場にある木材は製材時はまっすぐだったのでしょうが、よくみるとたいていは曲がっています。これは、SPF材で顕著ですが、高い木材でも多少なりあります。軸組構造の家では、木の曲がりが家の歪みとなります。この木の歪み・クセを考慮するのは大工の腕なのでしょうが、集成材ならば多数の木材を組み合わせているために平均化され、歪みは少ないものと思われます。また、枠組壁工法のように木材と合板を細かくクギで打ち合わせていれば、一方向への大きな変形が発生することはないでしょう。

シックハウス

集成材は薄い木材を接着剤で固めているため、接着剤から出るホルムアルデヒド濃度が問題になります(天然の木材からもホルムアルデヒドは放出されますが、微量なため無視できます)。そのため、建材のホルムアルデヒド放出量は建築基準法で規制されていて、ほとんどの住宅では建材として厳しい基準に合格した木材のみを使用しています。

わが家には新築の化学物質に敏感な家族がおり、モデルハウスで気分が悪くなることもあります。ツーバイ工法の新築は大丈夫かと心配していたのですが、完成後はすぐに引っ越しても問題ありませんでした。敏感な人は、建材よりも、規制の緩い家具などから出る化学物質に注意した方が良いと思います。昔、とある北欧の組み立て家具を購入したところ、家中が薬品臭くなったことがあるので。。。なお、24時間換気がきちんと機能することも重要なポイントです。

木の香り

ヒノキは良い香りがしますが、柱や梁にヒノキを使用したところで、実際に住むときに良い香りがするかというと、ほとんどしないと思います。最近の住宅では、家の内部から出る湿気が構造用の木材に入り込まないように、ベーパーバリアと呼ばれる防湿シートを張るからです。木材の香りや調湿効果を期待するなら、内装材に無垢材などを使用する方が効果的です。極端な話、木の香りのする住宅は鉄骨住宅でも変わりないのではないでしょうか。

というわけで、無垢材、SPF材、集成材はそれぞれ異なる特徴がありますが、それぞれ工法に合わせてうまく使い分けられているなと感じます。安い木材を使っているから悪い家になるという単純なものではなく、高級な木材を使っていれば安心というわけでもないのです。

参考
ツーバイシックス工法の優れた特長とデメリット
木造住宅の寿命は20年~200年?住宅仕様と耐久性の変遷

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