近年注目される小屋裏換気・棟換気の問題とは何か? | さとるパパの住宅論

近年注目される小屋裏換気・棟換気の問題とは何か?

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ここ数年、小屋裏換気の問題が注目を浴びている様子です。小屋裏の湿気が排出されずに結露が発生し、劣化の要因となることは昔から問題になっていましたが、近年改めて問題視されているのはなぜなのか、気になったので調査してみました。

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情報源について

この問題について調べていくと、以下の有力な情報源にたどり着きました。

読みやすいインタビュー形式の記事はこちら↓

ユーザー訪問④: ハウゼコ社長・神戸が聞く! - 株式会社ハウゼコ
パッシブ設計の第一人者・松尾和也氏( 株式会社 松尾設計室) 屋根換気部材メーカーハウゼコとの出会いは衝撃でし

小難しいけど情報量豊富な換気材メーカーによる記事はこちら↓

小屋裏換気とは - 換気棟のメーカー バルコニーやパラペットと笠木換気材
小屋裏換気(屋根換気)とは、住宅の耐久性や断熱性能を確保するために必要な要素です。結露や湿気の発生を防ぎ、野地板等の構造体の腐朽による耐久性能の劣化や、断熱材の濡れによる断熱性能の低下、カビの発生等を抑制します。小屋裏換気の目的や効果、さま...

住まいの屋根換気壁通気研究会の技術資料はこちら↓

技術資料 - 一般社団法人住まいの屋根換気壁通気研究会【公式サイト】

これらをざっと読んだところ、「小屋裏換気が重要だ」ということはわかりましたが、それがわが家にとって大事なのかどうかまでははっきりしませんでした。

ところで、これらの情報源をチェックすると、この問題を取り上げている方々がだいたい同じであることもわかります。換気材メーカーが「小屋裏換気が重要だ」と主張するのは、商売上当然のことです。しかし、同じ問題意識をもっている関係者には、松尾設計室の松尾先生、子育て世代の家設計室の小暮先生、坂本雄三先生や岩前先生などの名前も挙がります。

これらの方々は、これまでの活動から、業界の利益ではなく施主のことをきちんと考えていると思える方ばかりなので、この問題が重要なのは間違いないと私は思います。

そこで、もう少しじっくり読んでみて、施主目線でわかったこと・わからなかったことを書いてみたいと思います。

高リスクな住宅が増えている?

小屋裏に湿気がたまり、木材が劣化するという問題は以前からありますが、それに加えて特に問題だと感じたのは、この問題が生じやすい住宅仕様が近年増加していることです。

特に気になった変化は、ガルバリウム鋼板などの金属屋根と屋根断熱の住宅が増えたことです。どちらの仕様も、最近は4割ほどの住宅で採用されるようになっています(どれだけ共通するかは不明)。

参考 各種住宅仕様の採用率がどのくらいかがわかるWebサイト

屋根断熱の採用が増えているのは、太陽光パネルを設置しやすい片流れ屋根や、キューブ型住宅の三方パラペット屋根が増えたことに伴い、小屋裏換気が難しいがために屋根断熱を採用する事例が多いようです(天井断熱ではなく屋根断熱にすることで、小屋裏換気を確保する義務がなくなるため)。

また、金属屋根は軽くて長持ちするため、重い瓦や長持ちしないスレートより人気が高まっています(私は瓦屋根派です)。しかし、金属屋根はそれ自体に通気性がないため、屋根内側の通気の重要性が増す点に注意が必要です。

この変化に伴い、従来からある小屋裏の問題に加えて、屋根断熱材と屋根材の間の結露や劣化が近年注目を浴びるようになったのだと理解しました。

自分の家は大丈夫?

みなさんが一番気になるのは、自分の家が大丈夫かという問題です。上記の情報を読むと、不安になることばかり書いてあります。もちろん、各家の仕様にはさまざまな組み合わせ(屋根 or 天井断熱、気流止めの有無、換気方式、屋根材の種類、軒の出の長さなど)があり、一概に問題ないなどとは言うことはできません。

しかしながら、近年新たに提起されているのは、金属屋根と屋根断熱の2条件を同時に満たす場合のことです。

2条件に該当する場合は、棟換気などに注意を払ったほうが住宅の耐久性を高めることができるのでしょう。一方、いずれかの条件しか当てはまらず、従来からの小屋裏換気の問題が解消されているのであれば、そんなに心配は要らないのでは、と私は思います。

たとえば、金属屋根と天井断熱の組み合わせでは、矢地板で結露が発生したとしても、小屋裏空間の換気が機能していれば、おそらく湿気は小屋裏空間へと逃げるので、矢地板が腐るリスクは高くない気がします。

また、瓦(スレート)屋根と屋根断熱の組み合わせでは、屋根材の隙間から水分が抜けていくため、屋根断熱材と屋根材の間で結露を心配する必要はなさそうです。

と呑気に考えているのですが、私の理解が間違っていたら教えてください。

ちなみに、わが家は瓦屋根と屋根断熱の組み合わせです。屋根断熱であっても、勾配天井だけでなく小屋裏空間もあります(全館空調ダクトが這っています)。屋根断熱では、小屋裏空間は室内空間扱いになるため、小屋裏換気が不要であり、わが家の小屋裏空間にも換気孔や換気設備はありません。

とはいえ、「屋根断熱であっても、小屋裏には湿気がたまりやすいので換気が必要」という気になる意見もあります。実際にわが家の小屋裏に入って確認すると、点検口を開けると水が落ちてくるとか、目立った結露跡があるといった大きな問題は見つかりません。それでも念のため、小屋裏空間の温湿度データをとり、どうなっているのか、問題はないか検討してみようと思っています。夏と冬のデータを取る予定で、まずは夏のデータをご紹介します。

屋根断熱の小屋裏空間の温湿度を調べてみた【夏型結露?】

コメント

  1. architect_G より:

    温暖地域でも寒冷地でも、小屋裏換気は必須です。
    無いと温暖地では屋根がオーバーヒートし、小屋裏温度が70度になるし、
    寒冷地だとつららが止まりません。
    どのくらいの懐寸法が必要なのかは、設計者に算出していただきましょう。
    古い金融公庫の基準の1/300では全く不足します。

    • さとるパパ より:

      コメントありがとうございます。
      小屋裏空間がある場合には小屋裏換気が必須ですが、「天井面ではなく屋根面に断熱材を施工する場合は、小屋裏換気孔は設置しないこととする」(公庫の仕様書より)とあります。
      この記事では屋根断熱の場合でも屋根周辺の水分が問題になるケースについて取り上げています。

      という前提的なことを明記していなかったので、冒頭に追記しました。

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