住宅の高気密化はアレルギーの原因か?

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大気環境は以前より改善されているにもかかわらず、近年、子供と大人の気管支喘息患者が増加しています。私の周りでも、大人になってから咳ぜんそくを発症した人が結構います。

喘息が増えている原因として、住宅の高気密化が挙げられることがあります。高気密住宅は健康に問題があるのでしょうか。結論から言うと、高断熱であり、換気が適切に行われていれば、まったく問題ありません。むしろ、気密性が高ければ高いほど、換気がムラなく適切に行われるため健康的と言えます。このことを示すデータとして、近畿大学 岩前篤教授の「高断熱が健康を守る」(外部リンク)というコラムによると、高断熱・高気密住宅に引っ越した人の多くで気管支喘息などが改善していることがわかっています。

ではなぜ、住宅の高気密化が喘息の原因と言われるのでしょうか。気管支喘息はアレルギー疾患です。患者の多くがアレルギー体質で、ヒョウヒダニに対するアレルギーをもっています。ダニは 20 度以上で高湿度の環境を好みます。乾燥には弱く、相対湿度を 60% 以下にすることで増殖を抑えることができます。昔の住宅は気密性が低く、すき間風があったため、湿気が溜まる場所があまりありませんでした。しかし、数十年前からアルミサッシが普及して、すき間風がなくなりました(高気密化)。これでは、換気が不十分だと湿気が溜まりやすい空間ができてしまいます。また同時期にエアコンも普及し、ダニにとっても快適な室温になる期間が長くなりました。このようにして、暖かく湿度の高い、ダニが増殖しやすい環境が増えたことが問題なのです。これは現在ある住宅の多くにあてはまることなので、アレルギー疾患が増えているのだと思われます。

しかし、最近の高気密・高断熱住宅にこの問題は当てはまりません。最近の高断熱住宅が問題ないと言える理由は 2 つあります。

1 つは、2003 年の建築基準法の改正により換気設備の設置が義務付けられ、常時換気が行われるようになったからです。生活しているとたくさんの水分が出るため、換気によって家の中の水分を外に排出することは不可欠です。換気が適切に行われていれば湿気は溜まりません。くれぐれも換気システムを停止しないようご注意ください。

もう 1 つは、高断熱住宅では家の中の温度差がないからです。同じ水蒸気量でも相対湿度は温度に依存するため、家の中に温度差があると湿度のムラができ、湿気が溜まりやすい空間ができます。結露が発生することもあります。家の中の温度差がなければ、湿気が溜まりやすい空間もできにくくなります。

つまり、高気密・高断熱住宅だからといって必ずしもダニが増えるわけではないのです。換気をせず、掃除をしないでいたら悲惨なことになりますが、普通に生活する分には高気密・高断熱住宅の方がダニを抑制しやすいのです。本当に高気密な住宅では、外の湿度の影響を受けにくいため、空調で家の中を快適な湿度に保つことまで可能になります。

注意が必要なのは、高気密、高断熱の本当のレベルです。次世代省エネ基準をクリアしているからといって十分ではありません。気密性能については基準はおろか測定もされないことがほとんどです。詳しくは以下の記事をお読みください。

気密性能はどこまで求めるべきか(C値)
断熱性能はどこまで求めるべきか(Q値とUA値)
家計にも身体にも優しい高断熱・高気密住宅
カビとエアコンと全館空調

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