工務店を中心に、「自然エネルギー活用住宅」というエアコンに頼らない家が提案されています。「ソーラーサーキットの家」、「エアサイクルの家」というのも同様です。これらについては、自然エネ活用住宅普及協会のサイトに詳しく説明されています。その中で、高気密・高断熱住宅の欠点が挙げているのが気になったので、私見を述べたいと思います。
そこでは、「高断熱・高気密住宅」は、冬だけを主眼にした建物であり、夏に熱や湿気を逃すことができず、エアコンに頼らざるを得ない、と指摘しています。一方、「自然エネルギー活用住宅」は、床下からの通気によって、エアコンをあまり使わなくてもほどほどに涼しい家になるとあります。
また、「高気密・高断熱住宅の光と影」という記事では、高気密・高断熱住宅のデメリットとして息苦しい、健康に良くない、窓が小さい、夏が暑いなどの点を挙げ、中気密で良いとする意見を紹介しています。しかし、これらのデメリットについては、「高断熱・高気密住宅のデメリット?」で説明したように、ほとんどが誤解に基づくものです。
自然エネルギー活用住宅に対する疑問
自然のエネルギーをなるべく活用してエアコンに頼らない住宅を、というコンセプトには同感ですが、その手段となると疑問を感じます。自然エネルギー活用住宅の特徴は、「外張り断熱」と「通気層」、そして「夏と冬で通気層を開閉」することです。興味深いことに、高断熱・高気密住宅を批判しながら、実のところは高断熱を志向しているのです(これらを推進しているカネカやフクビ化学工業は断熱材メーカーなので当然ですが)。ということは、批判しているのは高気密だけなのかもしれません。しかし、断熱効果を得るためには、ある程度の気密性能が必要です。気密性をより向上させるとなぜ問題になるのでしょうか。換気扇はどの家でも必要ですし、冬に乾燥するという点は自然エネルギー活用住宅も同じはずです。外気が乾燥している冬にいくら自然換気しても湿度は増えないし、室温を下げれば相対湿度は上がりますが、それでは快適とは言えません。
自然エネルギー活用住宅は夏の涼しさについてはある程度の効果が期待できるかもしれません。しかし、外気温を大きく下回るほどではないでしょうから、熱帯夜にはやはり寝苦しいのではないかと思います。暑くなってからエアコンを付ける方法では大きな電力が必要になり、停電の原因にもなります。気になるのは、ヒンヤリした地熱を活用するために、基礎外断熱という方法を用いていることです。「基礎外断熱 シロアリ」で検索すればわかるように、基礎外断熱は、シロアリ被害を受けやすい工法です。
エアコンに頼らない住宅という目的には、やはり高気密・高断熱住宅が一番というのが私の結論です。夏は日射熱をもらわないよう日射を管理し、エアコンで湿気を逃がし、高気密で低湿状態を維持することがポイントです。断熱性能が高ければ高いほどエアコンの消費電力は少なくなり、エコになります。もし停電が起きた場合は、窓を開けて換気すればよいだけです。冬に高気密・高断熱住宅が優れていることは、言うまでもありません。
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