日除け方法ごとの数値で見る夏の日射遮蔽の重要性

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夏を快適に過ごすためには窓の日射遮蔽が重要であるということはよく言われます。

日本建材・住宅設備産業協会によると、夏場、室内に入ってくる熱の約 70 %は窓からだそうです(細かい条件は不明です)。

日射遮蔽が重要なのは、高断熱住宅でも変わりません。

しかし実際に日射遮蔽を行うことでどの程度の効果があるかということは、なかなかイメージが湧きません。そこで、さまざまな条件での日射熱の侵入量を算出して比べてみたいと思います。

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比較の前提条件

夏の晴れた正午における、南向きの窓 1 枚への日射熱の侵入量(W)を考えます。

日射熱は約 1 kW/㎡ なので、角度を考慮し、垂直の窓に照射される日射熱を 300 W/㎡ として計算します。

窓のサイズは 3.2 ㎡(約 1.8 m x 1.8 m)とします。

窓の種類は、多くのハウスメーカーの標準仕様となっている、アルミ樹脂複合サッシの Low-E ガラス(日射遮蔽型)とします。

熱貫流率(U 値)は 2.33 W/(㎡・K)、日射熱取得率は 40% です。

シミュレーション

それでは、各種の条件を変えて、どの程度数値が変わるのかを見ていきましょう。

家に入る日射熱に影響する要素としては、庇(ひさし)の有無、窓ガラスの日射熱取得率、カーテンやサンシェード、カーテンなどの有無などがあります。

日除けが一切ない場合

最初に、日射遮蔽を一切考えない場合に侵入する熱量を計算してみます。

侵入する熱量(W)は、日射熱(W/㎡) x 日射熱取得率 x 窓面積(㎡) で計算できるので、次のようになります。

300 x 0.40 x 3.2 = 384 (W)

この熱量は、次のような、よくある電気ストーブの弱モードに相当します。

同様の窓が 2 箇所あれば、強モードで付けているのと同じくらいの影響があることになります。

庇とレースのカーテンを使用する場合

次に、よくありそうな条件として、庇があり、レースのカーテンを使用する場合を考えてみます。2 F にベランダがある場合の 1F の窓も同様の数値になると思われます。

庇の効果は、「冷房期の平均日射熱取得率」を計算する際に使用する「窓の取得日射量補正係数」を利用します。
高さ 1.8 m の窓の上端に庇を 60cm 出すとすると、この補正係数は 0.51 となります。

Low-Eの遮熱型ペアガラスでレースのカーテンを使用したときの日射熱取得率は 33% だそうなので、計算すると次のようになります。

300 x 0.51 x 0.33 x 3.2 = 147 (W)

先ほどの半分以下になりました。窓の面積にも拠りますが、これなら、それほど大きな影響はなさそうです。

庇なし、サンシェードを使用する場合

今度は、庇がなく、サンシェードを使用する場合を考えてみます。わが家にも実はこれに近い条件の窓があります。

サンシェードは色や性能により数値が異なりますが、複層ガラスと使用した場合の日射熱取得率を 13% として計算します。

300 x 0.13 x 3.2 = 125 (W)

これも、先ほどと同様、大きな影響はなさそうです。サンシェードは、きちんと使用する限りは高い効果が期待できます。

伝導熱との比較

窓から侵入する熱には、上記の日射熱に加え、室内外の温度差から発生する伝導熱もあります。

これは、温度差(K) x 熱貫流率(W/(㎡・K)) x 窓面積(㎡) で計算できます。

夏の気温を 32 ℃、室温を 27 ℃とすると、次のようになります。

(32-27) x 2.33 x 3.2 = 37 (W)

複層ガラスでの夏の伝導熱は、日射熱と比べると小さなものであることがわかります。

まとめ

いくら日射遮熱型の Low-E ガラスを使用していても、日射遮蔽をきちんと行わないと、日射熱の影響は馬鹿にできないほど大きくなります。

夏は冬より室内外の温度差が小さいため、伝導熱の影響は日射熱と比べると微々たるものです。夏を涼しく過ごし、冷房代を下げるためには、窓の断熱性能よりも日射遮蔽をきちんと行うことが大切です。

なお、冬は窓の断熱性能が効果を発揮し、日射熱がプラスの影響を及ぼします。こちらについても、いつか数値で比較してみたいと思っています。

参考
日射の管理で実現する省エネ住宅
Low-E ガラスの遮熱はカーテンではなく窓の外で
サンシェードが必要なのは南面ではない

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